内なる宇宙・U

D:地下鉄サリン事件というのがあったやろう。

n:おう、衝撃的な事件やったね。

e:うん、地下鉄の中でサリンを撒くなんて、常人には思いもよらん事やからね。まして、自らサリンを製造しよったなんて、その発想自体、俺自身の想像を超えた事件やったね。

D:最近、俺達の想像を超えた衝撃的事件が多発している、って感じてるんやけど。なぜ「彼ら」・「彼」がそういう衝撃的事件な起こしたか?、をずっと考えてたんよ。そんな時、浮かんだのが、「内なる宇宙」の「共有できない宇宙」のことなんやけど。

e:ああ、この前話しよった、俺達の頭の中にある「150憶光年の広大な宇宙」のことやね。でも、その「内なる宇宙」と衝撃的事件がどう繋がってるわけ?

D:結論から先に言うと、サリン事件に関わった「彼ら・彼女ら」は『サリン星に住んでた』、ということなんやけど。

彼らの「内なる宇宙」には「サリン星」があり、そこで生活し、尚且つ、その星にバリヤーを張って外からの情報を遮断し、内部だけの情報でより以上に「サリン星」での生活を強化していった。そうするうちに「サリン星」が「内なる宇宙」の中心になってしまった。
「サリン星」から見た時、地球は単なる外部の惑星でしかなかった。

こんな図式が見えてきた時、初めて、彼らの行動が説明できる様な気がしたんやけど。

n:確かに、俺の「内なる宇宙」には、「サリン星」なんか存在せんし、考えもつかんことやけど...

e:でも、「内なる宇宙」に、なんで「サリン星」なんかが出来てしもうたんやろうね。また、その「サリン星」がどんな惑星なのか?、ってのは分からんね。

D:「サリン星」がどんな惑星なのか?、は俺にもよう分からんね。でも、「サリン星」の発生メカニズムはいくらかは説明できるとおもうよ。

彼らの中に、突然「サリン星」が出現した訳ではなく、
第一段階、最初は宇宙のチリが集まって、形も定かでないボンヤリとしたもの。そのボンヤリとしたものが徐々に密度を増してきてある形を形成しだした。でもそれはまだ雲みたいなものでしかない。
第二段階、更に密度が増し、水が凍って氷になる様に、雲みたいなものが一定した形に固まる。やがて半透明だった形のものが更に密度を増し、一つの物体として認識出来るまでに固まってくる。
第三段階、認識出来るまでに成長した物体は初めて惑星となった。そして、更に独自の成長を遂げる為に自らをバリヤーで包み、外部からの影響を全て排除した。

n:聞いてると、本物の惑星の誕生みたいやね。

e:でも、最初の「宇宙のチリ」はどうして集まったんやろうね?

D:最初のキッカケは、「見ようとしなければ、見えないもの」を捜し求める行為から始まったのではないか、と思っとるんやけど。
第一段階と第二段階は、「見ようとしなければ、見えないもの」を捜し求める行為と、「見つけたもの」を自らが醸造する行為と言えるんじゃないか、って思う。しかし、第三段階になって、外部からの情報を全て遮断するに至って、全ての行為・思考の中心がその惑星を中心に動いてゆく、と言えるんじゃないの。
そして、第四の最終段階になると、「内なる宇宙」の中心に「サリン星」が居座ってしまっているため、誰が何と言おうが「サリン星」から逃れられない。マインドコントロールの完成、ってことやね。

e:あんたが言いよった、「見ようとしなければ、見えないもの」、っていうのも危険なものなんやね。

D:そのやり方・その方向を間違うと非常な危険を孕んだもの、って言えるやろうね。でも、問題は第三段階の「自らをバリヤーで包む」ってことで、ここのところさえ間違えなければ、また間違えさせなければ、大きな問題にはならない、って思うけど。

n:でも、最近の種々の衝撃的な事件のことを考えると、「見ようとしなければ、見えないもの」の危険性、っていうのが非常に気になるけど。

D:「内なる宇宙」の中で「共有できない宇宙」が拡大してる、ってことの問題でもある、って思う。「サリン星」も「共有できない宇宙」に存在している訳やから。もし、「サリン星」を「共有できる宇宙」に引き戻すことが出来たらそんな惑星は自然と消えて無くなる、って思ってるんやけど。

n:え〜っ、そんなに簡単にいくと?

D:「共有できない宇宙」の存在をなるべく早い段階で潰していく、「共有できる宇宙」を強化・拡大していく、ってことになるやろうね。
そのためには、人と人のコミュニケーションを強化する方法しか無い、って思うとる。

e:「人と人のコミュニケーション」ね〜。でもそれって普通日常的にやっることで、今更、って感じになるね。

D:「内なる宇宙」はその人が受け取ってきた「情報の質と量の問題」で左右される、ってことを前に言ったと思うけど、同じ情報を同時に受け取ったとしても、「内なる宇宙」に投影されたものは、俺とあんた達とは違ってる、って思う。「内なる宇宙」をお互いが確認すること無しに放っておけば益々この違いは大きくなってしまうやろうと思う。増してや情報社会と言われる様な現代では俺とあんた達の受け取る「情報の質と量」は大きく違っている訳やから「共有できない宇宙」は拡大の一途に突き進んでいる、って思うとる。

e:でも、コミュニケーションをどう具体的にやれ、っ言うわけ?

D:まず本人が、「共有できない宇宙」の存在を認め、「共有する宇宙」を強化することを認識することやろうね。その上で、人とコミュニケーションをとる努力を自らに課す。をそうすれば、具体的コミュニケーション手法は、自ずと見えてくるちゃない?

e:コミュニケーション、って言うても今の時代、イロイロな手段があるけど。自分に合った方法を見つけないかん、ってことかね。

n:まあ〜、この三人の議論も、そういう意味じゃ価値がある、ってことやろうね。

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