Camp in 朝霧 Jam 07
-It's a beautiful day-

2007年10月7日(日)
(2日目)


2日目の朝

 朝8時、目を覚ますと、素晴らしい快晴です。1日目の寒さが嘘のようで、Tシャツでも大丈夫なくらいの暖かさ。
 そして、テントサイトからもハッキリと拝める富士山の姿は、本当に最高の景色です。


朝霧Jamでサンマソニック

 新潟から冷凍して持ってきたサンマを炭火で焼いて、朝メシです。おろし金と大根も持参してきました。朝霧で大根おろしを作ったのは、俺達くらいだろうなぁ(笑)。
 周りのテントを見ると、朝から焼き肉している(笑)グループもいますが、日本人の朝メシは、やっぱりこれでしょう。


ゴミ収集とトイレ

 野外フェスを気持ちよく過ごせるかどうかの最重要ポイントがゴミ収集とトイレの問題です。
 朝霧Jamもスマッシュ主催なので、フジロックでお馴染みのA SEED JAPANがゴミのリサイクルを担当しているのかと思ったら、地元のボランティア組織がしっかりと活動していました。朝早くから楽しそうにゴミ分別の仕事をしている姿にリスペクト。

 そして、野外フェスと言えば、定番は仮設トイレですが、朝霧高原はキャンプ場なので、常設のトイレや水場もありました。朝のテントサイト近くのトイレは行列していましたが、フジロックでのトイレの大行列に比べれば、全然問題ありません。RAINBOW STAGE近くの仮設トイレエリアも、男性に関しては待ち時間もなく快適でした。


A HUNDRED BIRDS ORCHESTRA (RAINBOW STAGE 10:00)

 RAINBOW STAGEからも富士山がはっきりと見えます。この景色を見たら、演奏する方も気合いが入るよね。
 「フジロック」って、本当はこういう環境で演るべきなんだよなぁ・・・。苗場にフジロックが定着してしまったことがよかったのか、複雑な気分です。

 2日目のトップ・バッターは、20人近い大編成でハウス・ミュージックをノン・ストップで演奏するバンド。ステージにはドラムとベースが2組いて、ターンテーブルを切り替えるように、左右のリズム隊が曲毎に切り替わるという珍しいスタイルで、もちろんリズムが途切れることはない。左側のドラマーは女性で、2人のベーシストもそれぞれサウンドが違うので、まさに生演奏をDJミックスしている感じです。
 最近のジャム・バンドのツインドラムとは違って、DJ的な発想でリズム隊を使い分けるアイディアがとても面白い。

 フィラデルフィア・ソウル的な楽曲を、現代的なオーケストラで演奏するというコンセプトは、非常に刺激的ですが、終盤に女性ボーカルが加わると、一気に「歌と伴奏」の雰囲気になってしまったのが残念なところ。インストでの演奏の方が、このバンドの魅力が発揮されると思う。


KICELL (MOON SHINE STAGE 11:10)

 青空の下での景色の美しさは、MOON SHINE STAGEも負けていません。しかし、山の天気は変わりやすく、早くも富士山には雲がかかってきました。この後、だんだんと曇り空になっていきます。

 キセルも去年のフジでのフィッシュマンズでしか観たことがなかったので、単独ライブは初体験。
 DJが流す打ち込みトラックに合わせて演奏するのですが、柔らかなボーカルとギターの音色が心地よい。空にはパラグライダーが浮かび、浮遊感のあるキセルのサウンドと絶妙にマッチ。


PARA (MOON SHINE STAGE 12:20)

 元ボアダムスの、というかROVOの山本精一の別バンド。ドラムとギター2人にキーボード2人という編成で、エレキベースではなく、キーボーディストがシンセベースを手弾きするというスタイルが面白い。
 各楽器の反復フレーズがだんだん変化していって、シンプルなループからポリリズム的な演奏へと深みを増していくという、初期のROVOを連想させる演奏でした。山本精一のバンドにハズレ無し。


朝霧豚丼 VS 苗場食堂けんちん汁

 朝霧Jamの良いところは、屋台に地元系のオリジナリティのある店が多いことですね。なにしろ、今年は6月のTAICO CLUBに始まり、フジロックメタモルフォーゼWIREとフェス連発だったので、東京から来る常連の屋台には正直飽きてしまっていました。
 本部テント近くの朝霧食堂が割と空いていたので、昼食はまずは朝霧豚丼を食ってみた。そうそう、新潟県人としては、やっぱり苗場食堂の売り上げにも貢献しなければいけませんね。具だくさんのけんちん汁が300円とは、とってもお得です。


中納良恵 (RAINBOW STAGE 13:10)

 EGO WRAPPIN' のボーカルのソロ活動。昭和歌謡風味という特殊な味わいを持っていたEGO WRAPPIN' とは異なり、普通のロックと言っていいのだろうか? 中納女史本人もキーボードやギターを弾き、バンドのサウンド全体を自らコントロールしている様子。最後の曲では、モグワイみたいにフィードバック・ギターがガンガンのサウンドでした。
 ちなみに、ドラムとギターはあらきゆうこ、清水ひろたか夫妻。前夜のコーネリアスに続いて、夫婦で2度目の登場でした。


ABE DUQUE (MOON SHINE STAGE 13:45)

 名前は「アベさん」ですが(笑)、黒人です。DJプレイでもラップトップでもなく、ドラムマシンや音源類を同期させてのライブ。
 音数の少ないエレクトロ・ビートの上で、「Let Your Body Free!」と宇宙人ボイス(笑)みたいなエフェクトのかかったダミ声で語りを乗っけるという、なんとも独特なスタイル。P-FUNK的な雰囲気がありますな。


OZOMATRI (RAINBOW STAGE 14:00)

 ラテン系の大男達が10人ほどステージに登場して、最初の音が「バン!」と鳴った瞬間、いきなり場内は沸騰しました。ラテン的な哀愁のあるメロディーとロック、ラップが融合したサウンドは、フェスティバルの主役に相応しい。見た目はちょっと腹の出たオッサン達(笑)ですが、一気に観客の心をわし掴みです。
 そして、世間で言う「ロック」とは全く異なる音でも、いい音には即座に反応するお客さん達も素晴らしいですよ。
 ライブの最後では、太鼓を持って観客の中に突入し、生音で演奏していました。まさに百戦錬磨のバンドですな。


高原のシチュー屋さん

 前夜から気になっていた店だったのですが、大行列中だったり、「空いてるな」と思うとシチューが品切れだったりで、なかなかタイミングが合いませんでした。OZOMATRIの後半は、シチュー屋の近くに張り込んで(笑)、シチューの出来上がりを待っていました。
 牛乳たっぷりのシチューも美味いけど、バターの香りがプンプンするパンが激ウマ。俺の心のベストテン第1位です。


RECLOOSE (MOON SHINE STAGE 15:15)

 夕方になって空も曇ってきて、ちょっと肌寒くなってきたので、防寒具を取りに一回テントまで戻ることにしました。
 MOON SHINEに向かう山道を歩いていると、ファンカデリックの“One Nation Under A Groove”が聞こえてくる。でも、なんだか聴いたことのないバージョンで、リミックスか?と思ってステージに向かうと、レコードに合わせて、何と男女4人がボーカルを勝手に加えている(笑)。
 DJプレイなのかライブなのか、はたまたカラオケなのか(笑)よく分かりませんが、ファンキーなサウンドはなかなか心地よい。お客さんも数は少ないけど、なかなかの盛り上がりでした。


そろそろ撤収の時間

 2日目の夜も泊まる「オーバーナイト・キャンプ」ができるのは、場内駐車場に車を泊めた人達だけなので、半分以上のお客さんは、そろそろテント撤収の時間です。シャトルバスの乗り場には、早くも行列が発生。まだ明るいうちに、お祭りが終わる態勢に入ってしまうのは、ちょっと寂しいですね。


SOULIVE (RAINBOW STAGE 15:55)

 テントからRAINBOWに戻ってきたら、なぜか黒人ボーカルが熱唱中。「ん!? SOULIVEって、インスト・ジャムバンドだったよな?」と、タイムテーブルを見直しても、俺が時間を間違えていたわけではないようだ。
 すると、黒人ボーカルが袖に引っ込んで、インスト曲が始まったので、ようやくSOULIVEだと納得(笑)。あの黒人はゲスト・ボーカルではなく、正式メンバーらしいですが、歌物を演ると即興性が失われて、ただの古いソウル・バンドみたいに聞こえてしまい、演奏のスリル感が無くなってしまう気がします。
 このバンドもPARAと同じくベーシストがいなくて、キーボーディストが左手でベースを弾いていました。「ベースレス」というのは、ジャムバンドの世界で流行っているのか???


UA (RAINBOW STAGE 16:50)

 2002年の「泥棒」あたりから、UAはアブストラクトなよく分からん世界に行ってしまっていたのですが、今回のライブはすごく良かった。
 1曲目は久々に聴く“雲がちぎれる時”。高音域まですっと伸びつつ、柔らかな声質を失わないUAのボーカルのパワーにいきなり圧倒されますが、バンドの演奏も非常に独特。キーボードがいないので、3人のホーン隊がまるでストリングスのような役割を果たしていました。アナログ・シンセがブリブリいうサウンドに慣れた耳には、ホーン隊のオーガニックな和音の響きが非常に新鮮。この特殊なバンド編成での演奏をアレンジする手腕も素晴らしい。
 そして、ドラムとベースはリトル・クリーチャーズの人だと思うのですが、手数が多いのに全く無駄な音がない。特に“情熱”での、アバンギャルドにすら感じられる重たいリズムのコンビネーションは非常にカッコよかった。
 主役のUAも、普通の歌物に回帰したかと思わせておいて、沖縄の言葉なのか造語なのか分からない意味不明の言葉で歌ったりして、絶好調。ラストの曲“Moor”でのボーカルは、ビョークを思い起こさせるほどの美しさと狂気を感じさせてくれました。

 

 考えてみれば、今回の朝霧はハナレグミ、原田郁子、キセル、UAとフィッシュマンズのゲストボーカル陣がほぼ勢揃いだったんですよね。もしかして、バイオリンのHONZIが元気だったら、フィッシュマンズを出演させるつもりのブッキングだったのかな、なんて想像してしまいます。
 朝霧の1週間前にガンで亡くなってしまったHONZI。この日のUAは、きっと天国のHONZIのために歌っていたはず。


牛タンカレー

 前日の夜ほどではないですが、日が暮れた朝霧高原はやっぱり寒い。牛タン焼きを食べようと思って並んでいたのに、体が温まりそうな牛タンカレーを思わず注文してしまった。


OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND (RAINBOW STAGE 18:20)

 ブラフマンのメンバーによるバンドだそうで、名前から「アコースティックなジャム・バンド」だと想像していたのですが、全然違いました。アイリッシュ系というかジプシー系というか、非西欧的な演奏に、ボーカルは完全にネイティブな英語。音だけ聴いていると、日本のバンドとは全く思えない。
 しかし、ボーカル兼バイオリンの白人男性が、思いっきり日本語で話しまくるので、MCになるとズッコケる(笑)。「フジヤマ、ゲイシャ、スキヤキ、欧米か!? 欧米です」とか「そんなの関係ねぇ!」とかコテコテのギャグを連発。この唯一の外人の存在感が強烈すぎて、バンドとして、どこに向かっているのか、イマイチ分からなかったなぁ。ま、クロージング・バンドとしては、熱くなりすぎない丁度いい演奏だったと思います。


オーバーナイト・キャンプ

 全てのステージ終了は19時30分頃。野外フェスとしては随分早い終了ですが、オーバーナイト・キャンプができないお客さん達が、この日のうちに帰ることを考えると、仕方ないですね。
 ライブが終わってからの夜はまだまだ長いので、2日連続のバーベキューをするしかない(笑)。今夜はステーキ肉を焼いてみました。
 「翌日は雨」という天気予報だったので、翌日の早起きに備え、22時頃には就寝。


朝霧高原の朝の霧

 翌朝は6時に起床。幸い、まだ雨は降ってはいませんが、霧が濃い!「朝霧高原」という地名に偽りなし(笑)。
 いつ雨が降り出してもおかしくない天気なので、早朝のうちにテントを撤収開始。

 そして、小雨の中を30分歩いて、場内駐車場へ。
 8時前に駐車場に到着すると同時に、本格的な雨になってきました。雨の中でテントを撤収するのは相当キツそうなので、早起きしておいて本当によかった・・・。


10年ぶりの上九の湯

 静岡から山梨に戻る途中、旧上九一色村の温泉「上九の湯」に寄ってみた。1997年、第1回フジロック2日目中止の後、この温泉で傷ついた心(笑)を癒したのでした。あの頃はオウム真理教事件で有名だったこの村ですが、もうニュースに出ることもなくなりましたね。
 ちなみに、営業中の看板がありますが、朝10時前に行っても営業はしていないので、気をつけてください(笑)。



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