原油価格の高値安定でロシアが国際政治だけでなく経済面でも強国になるのは個人的に喜ばしいこと。
たとえば98年チャイコフスキーコンクール優勝のピアニスト、マツーエフ出演の公演がありラフマニノフをやるというのでホールへ足を運ぶと売り切れ。で、余った券がないかと立っていたら「あるけど、3階(バルコン)の一番後ろだよ。1000ルーブル(4000円)でいいなら譲ってあげる」という人がいたので迷っていたら、横からおばちゃんが「私が買う」と即答して切符は去っていきました。文化を楽しむ金持ち層が安定的に育ってきたみたいです。
他方、次代の文化を担うことになるけれど今はお金がない若者にボリショイ劇場は「学生券」というのを最近用意したようです。券は20ルーブル(80円)だけど、空席がないと3階最上部の脇で立ち見。オペラを見るために音楽大学の学生がたくさん来ていました。
ボリショイバレエについていえば、いろいろな条件が重なり超多忙なスケジュール。
第一の理由は大劇場が改築のために閉鎖になったこと。新館だけになれば公演が少なくなり、暇になると聞いていたけれど、それは大間違い。新館とオペレッタ劇場の後ろ部分の稽古場しか使えなくなったのでやりくりに大変だそうです。第二の理由は新作の嵐。今回滞在した次の週がプリセツカヤ誕生日記念週間になっていて、プリセツカヤがかつての十八番であるカルメン・スイートを振付けに来るし、バレエ監督ラトマンスキーがその合間にストラヴィンスキーの賭博(豪華メンバー)を、さらに来年新作公開の「赤頭巾」のためにユーリー・ポソホフ(ボリショイ→デンマークロイヤル→サンフランシスコバレエ)がボリショイに戻って来た。さらにパリからドレスデン出身のミヒャエル・ドゥナールが稽古をつけるために訪露という具合。
その結果、10時からレギュラーレッスン、12時から本番の公演、16時から新作の稽古というのはざらで、時には19時から22時まで本番公演を踊り、そのあと23時から夜中の1時まで新作の稽古という日もありました。
ラトマンスキー体制になって二年目。今までは前月20日にキャストが決まっていたのが、シーズン開始前に年内すべての公演の出演予定を決めるなど「近代化」されたのは確かだけれど、いつまでこの状態がもつやら。
ちなみに大劇場閉鎖に伴い、楽屋口は新館の裏側、オペレッタ劇場正面の通りがある「14番」入り口に変更されてました。
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