1月3日、もうすでにスペイン時間に慣れてしまった我が家のメンバーは、10時を過ぎてやっと起き始める。
ベッドの中で、子どもたちはしばらく遊んでから、シャワーを浴びて、やっと服を着替える。
でもって、出かけるのは12時半。観光バス、乗り放題チケットを、大人2日間2300円。
子ども1日だけ1100円。
目指すはガウディで有名なグエル公園。
でも着いたのは、すでに2時。
またまた、おなかの空く時間。バスの中で目ざとく見つけた中華料理屋に入る。
誰も客は来ていない。
あわや!休みか・・・と、思うが。そこは押しの一手のドゥニャン一家。
レストランのドアを押し開けてみた。
すると、開いてる空いてる。どんな席でもお好み次第。
ビーフン炒めややきそば。竹の子と厚揚げのからめ。魚のあんかけとか、とりあえず、6皿ほど頼んでみる。
まだ、足りない。
それではと、再び、ビーフンとやきそばをおかわり!
なんて、たっぷり食べる家族なんだ!!わたしたちは・・・。
満腹した後は、一休みしたいのが人情だが、出かけたのが遅すぎる。
では、とばかりに、公園へ直行!!レストランから歩いて10分くらい。。
と、いうわけで今日の観光第一スポットに着いたのは3時半。
奇妙な門を入って、真っ直ぐに行くと、自然とも人造とも想像のつかない岩の周りに植え込みのある泉が・・・白いタイルに張り巡らされて中央に構えている。
なんともキッカイ、妙な形。
階段を続けて上ると、カラフルなタイルでかざったは虫類の噴水がある。
木陰から見える柱の上の屋根は一体、なんと形容するか。
グニャグニャな曲線を描きながら階段にまで張り出している。
全ての線や造形が奇妙でヘンなのだが、なんとなく、ロシア語でいうシンパチーチナヤ。
可愛らしいというべきか、素敵だというのか。嵌まりまくっているというか。
斜めの柱があるかと思えば、粗削りな岩を砕いた壁あり。
石を積んで、窪みを作っているかと思えば、また、そこからすぐ横の建物はひし形の窓のついているべったりと煉瓦色の壁・カベ。
太陽の申し子のような模様のモザイクあり。回虫がうねっている(ドゥニャンが一人そう思っているだけかなぁ。)タイルの絵があれば、どっかで捨ててあるタイルを、ただ拾って貼り集めただけっていう風な図柄あり。
そのタイルがまた、ごちゃ混ぜで、イスタンブールのどこかの寺から盗んできたのかしら?
というのから、タイシルクのゴチックあり。
お日様が笑ってるのやら、カメがぐっすり昼寝をかこっているのも・・・。
土偶が手を上げ下げしているのもあるし、フェンシングの剣の柄もある。
まあ、とにかく、なんでもござれ。
U字形が斜めにくねった回廊もちゃんと存在する。
丸ぼこの石の横には棕櫚の木がず〜っと続いて植わっている。
と、思いきや。石で囲まれた菜園は、ローズマリーやタイム、ラベンダーのハーブ・タイム。
グニャラ・グニャラと曲がった石とタイルが、張り出した広場を囲むベンチになっている。
座ってみるとおしりがスゥーと沿っていくような冷たい感触。そこからは真っ青な空と地中海が見える。
なんて色彩なんだろう。
奇怪で重〜い造形なのに、こころは宙空を翔けてゆく。
岩や石、タイルといったどちらかといえば、無機的で冷たい素材を使っているにもかかわらず、どこか暖かい人間味溢れた安らかさを見出してしまう。
ホットな図柄が続きまくるのに、なぜか冷静な理性を感じる。不思議な不思議な空間だ。
グエル公園の中のガウディ記念館を訪ねたが、その人となりが分かるような落ち着いた内装だった。凝ってはいるが、決して装飾過剰ではない。
歩きつかれたし、もうそろそろ夕暮れ時、バスに乗ったのは、たったの一度。
これじゃあ、あまりにも勿体無い。
それでは、南周り観光ルートに乗ろうと、カタルーニャ広場で乗り換えたが、バスに乗っていた2時間、ドゥニャンはほとんどグッスリ、眠ってしまった。
あのバスの揺れは、優しいゆりかごのようだった。
スペインのバスは本当にスムースに動く。
今日も一日幸せだった。
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