1月7日、モスクワへ帰ってきた時、気温は2度。雨がショボショボ降っていた。
次の日から、今日まで連日、マイナス10度以下。
昨日10日には、サラサラとした雪が終日降り続いた。
つまり、道路上は、7日までのぬかるみが完全にアイスと化して、その上に雪が7センチ以上積もった。
スケート・リンクに雪。
滑るのは当たり前。
そこで我らがマドンナの登場である。
マドンナは昨年!12月31日から7日までの8日間、空港の有料駐車場でお泊まりしていたのだ。(一泊75ルーブル也)
ほおって置かれたマドンナは、もしや、機嫌が悪いのでは、と、空港に近づくに連れ不安がいや増していた。
やっぱり、案の定、マドンナの機嫌は超悪かった。
エンジンを始動させようとするとモクモクと煙が出てくる。
マドンナがまともに走って家まで帰り着けるかどうか、とても心配だった。いや、それ以上にエンジンもろとも爆発の憂き目も考えた。
空港にいるタクシードライバーの一人に声をかけて、マドンナの調子を診てもらった。
すると、ロータリーエンジンの中の部品が壊れかけているという。
とりあえず、そこを触ってもらって、コチョコチョしてもらうと何とか動いた。
次の日、ヘンヘンは自動車修理へマドンナを連れていった。
ところが、それでもちっとも調子は良くならない。
今日になってみると、全くマドンナはウンともスンとも言わなくなってしまった。
エンジン始動の鍵をまわしても、いつもなら、それと一緒にアクセルを踏むとどうにかこうにか、言うことを聞くのに、押し黙ったまま。
では!!と、ヘンヘンと共にドゥニャンまで駆り出されて、道路を挟んで斜め向かいにある自動車修理工場へ、エッチラ、ホッチラ、押して動かそうとした。
ところが!!である。
アイスバーンに雪とあって、足が滑って、押しても押しても力が加わらない。
「せーの!!よいっしょ!!!」
と、威勢のいい掛け声をかけながら、押しても引いても、足が後方に滑ったり、前につんのめったり・・・。
エエ〜イ、ヤー!!
と、力を入れれば入れるほど、足が・・・・。
我がマドンナに動いていただくために、泥でドロドロになった車体を、タオルできれいに拭いてあげた。頭の上に積もった雪も払って差し上げた。(モチロン、それはエンジンをふかすためではなく、押して差し上げてチョットでも動いていただこうとしたからに過ぎない)
「こら、動かんかい!!」
と、叱咤激励もしてみた。
マドンナはデン!!と構えて動かない。
のみならず!!マドンナの窓が、閉まらなくなってしまった。クルクル窓を閉める取っ手を回すと、ある程度まで窓は上がってくる。そして、ある一定の場所まで上がると、ストンと落ちてくるのだ。上がるスピードはのろい。だけど落ちるのは早い。
まだ、ある。今日は方向指示器までが点滅しなくなったのだ。
ああ〜。マドンナよ。マドンナ。
どこまでやってくれるのか。
「これぞロシアのゲンジツなのだ。」マドンナのボンネットを、いたわるように軽く叩きながら、ドゥニャンはつぶやいていた。
その後、近所の人が、自動車に乗り込むのを見て、すかさずその自動車で引っ張ってもらうように頼んだ。
自動車のお尻と自動車の前をロープで繋ぎ、ノロノロ引っ張っていく。
モスクワでは、よく見る光景だ。
ロシア製の車がアウディとかベンツ、トヨタを引っ張っているのを見るのは気持ちがいいものだが、人を笑わば、穴二つ。(こんなことわざあったっけ?)
明日は、君の姿なのだよ。ロシアでは・・・。
追記:マドンナの故障は、近所の修理工場では間に合わず、遠くの工場まで連れていった。
道端で白タクを止めるように、何台も行き過ぎていく車を見送って、やっとゲットしたドライバーに頼み込んで引っ張ってもらったそうだ。
近所までの引っ張り賃・50ルーブル、遠くまでの引っ張り賃・120ルーブル、ヘンヘンの帰りのタクシー代30ルーブル、この間の修理代310ルーブル。(やれやれ・・・。今日は修理にいくらいるやら・・・。)
ルーブルは羽を生やして飛んでいくぅ〜〜〜〜〜〜。
追記2:マドンナの修理代に毎月約200ドルはかけてます。(ガソリン代は別途支給)
教訓その1、絶対にロシアの中古車は避けましょう。自動車が便利な分だけ、手間とお金がかかります。
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