1月18日(月)

1月4日は、びーびー、ヘンヘン組が水族館とロープウェイに乗ってモンジュイックの丘へ。なんな、ドゥニャン組はシッジェスという郊外の海辺の町へ電車で行った。

電車の駅を降りた途端から、白い家が建ち並ぶ。
日の光はちょうどいい加減の強さで降り注ぎ、家々の庭や小窓に咲くパンジーやゼラニュームに優しくキスしているようだ。



大きな門のある家の庭では、ちいさめのブーゲンビリヤやゴールデンシャワーが咲き競っている。
敷石の敷き詰められただらだら坂を下っていくと海辺へ出る。




見渡す限り碧い海、これが地中海ブルーというものか。
空の蒼さが丸く天空を蓋う。
何という明るさなんだ。ここは。

視線を翻すと白い建物。
太陽の光がスペクトルを通すように、淡い光と透明な色をともなって白い壁にはじける。
澄み切ったその美しい色が重なり合ってガラスのモザイクを織り成す。




海岸はベージュ色を伴ったこまかな白い砂で埋められ、緩やかなカーブを成している。
波は、海岸線まで青く寄せ、静かに海に戻っていく。

70にもなる老女がビキニを付けて、杖をついて海岸沿の壁で日の光を満喫している。
金色に縁取られたサングラスをかけた女性がのびのびと肢体を横たえ、本を読みふけっている。



時間の感覚が狂ってくる。



海岸線の向こうを見ると、岬の突先に明るい茶色のチャペルが見える。
何もかもが、なんて美しい。絵葉書のようだ。


海岸に沿って道路がくねり、その向かい側ではレストランやカフェが軒を連ね、色とりどりのパラソルをさして、お客を待っている。



それでは!!いざ、いかん。


だって、まだ、スペインへ来て、パエリャもガスパッチョも食べてないんだもん。



太陽の光が、光の条を作って目の中に直接入って来る。外のパラソルの中で食べようと思ったんだけど、あまりにも光が眩しく、目がバシバシ。

レストランの一番窓際にテーブルを取る。


ガスパッチョが先に出てきた。(もちろん、スープだもの。)
あんまりヒンヤリ冷えていない。美味しいことは美味しいのだが・・・。
トマト・ソースのビシソワーズなんて感じで、ちょっとがっかり。
味にもう一ひねり欲しいところ。

パエリャも思っていたほど大したことない。
手長海老の丸ごとが乗っていて、見た目はぜいたくだったけど、なんとなく、オリーブオイルが多すぎて大味。

なつめは、飲み物を欲しがる。ドゥニャンだって、この光の中、ビールでもキュってやると旨いだろうな。っとは、思うが、顔が真っ昼間から、真っ赤になってしまうので、やっぱり止めて、水で我慢、ガマン。




レストランの外に出て、路地を歩いていると、やっぱりスゴイ!
木陰の中でも、光の粒がキラキラと舞っている。
地中海の光って、色って。なんと濃密なのに軽い。そしてエネルギッシュだ。
それでいて、繊細。


ミロがピカソが、ガウディが、育ったわけを、なんだか知ったような気がしてくる。


光に驚くのはこの町の建物がみんな白いからだろうか。それとも、この碧い海のせい?
行ってよかった。もし、これからスペインへ行って、バルセロナに立ち寄る人がいるのなら、是非とも、このシッジェスに来てもらいたい。






1月5日は、ガウディの有名な建築、サグラダ・ファミリアへ行く。 生誕の門を見た時、優しさを感じた。これでもかというほど重厚な装飾が積み重ねられているにも関わらず、伸びやかで温かい。


天才って、天才なんだ。


腑に落ちるとは、こんな感じをいうのかな。
心の底から、(キリスト)生誕の歓喜が沸き上がってくる。
人が生まれてきた瞬間の喜び、母親の安堵。それに続くなんとも言えない開放感と、重層的な充実感。
これは、生命そのものの喜びでしかない。
その感覚が見事に表現されている。




ガウディの建築は、全て写真と実際では、印象が異なる。
あの地へ行って、あの空気と光りに触れて、やっと納得の行くものなのかもしれない。



海の家も山の家も、グエル公園もサグラダ・ファミリアも何もかも全部、装飾に満ち溢れているが、それがその大きな器の中ですっぽりと調和を奏でている。
頭の真上に向かって大きく拡がる軽い空間が突き抜けていく。


是非是非、バルセロナにいける人は行っていただきたい!!そして自分の目でそれを確かめてもらいたい。一緒に時空を超えた感動を分かち合うために・・・。





6日は、ピカソ博物館に行った。ピカソの作品が数多く置いてある。ベラスケスの「王女マリー」を下敷きにした、連作が58点。
いや、それよりも線描画の女性の裸体の連作に参ってしまう。好きだなぁ。
女性の外陰部、ヴァギナ。どの作品にもちゃんと全部描かれていて、可愛い。 どの絵の女性もちょっと小太りで大股広げて・・・。一番楽な格好をして寝そべっているんだもの。いいなぁ。うらやましいなぁ。
女性讃歌とでも言うべき、作品群だ。人は単純にして、生き生きと息づくもの。
あ〜。ドゥニャンもこうありたい。



夜はミシュラン一つ星、ジャン・ジャック・フィゲラスへ行く。料理を堪能。
充実した一日だった。


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