4月30日(金)

ドゥニャンは、取りあえず、いや取り合えずも何も悲しくも嬉しくもおこがましくも主婦である。
主婦と言えば、色んな家事を毎日やって大変だろうと思われる方も意外に多いのではないかと思う。

そうだ。大変なのだ!!毎日毎日同じ事の繰り返し・・・。やってもやっても減らないと来ている。ドゥニャンはガマンに我慢を重ねて、とにかく毎日のことをやっているつもりなんだけど・・・。


うちの家事は大体ヘンヘンと協力(?)し合ってやっている。



お風呂にびーびーを入れるのはヘンヘン。朝一番に起きて、お弁当のためのご飯を仕掛けるのはヘンヘン。お布団を敷くのもヘンヘン。お掃除は気分の乗った時に出来るだけドゥニャンがやる。
夜ご飯を作るのはドゥニャンだけど、つくってお腹がくちくなった後は、どうしても動けない。

ドゥニャンはトドになっちゃうから。

それで、お茶碗やお皿のお片づけは、もちろん、ヘンヘン。
お洗濯は全自動のイタリア製の洗濯機が勝手にやってくれる。それから干すのは、ドゥニャンかヘンヘンの気の向いた方。
土日は、基本的にお休みの日だから、ドゥニャンは家事をなるべくやらないようにする。

アッ!!それから、このごろ、なんな(上の娘)が家事に参画している。昼ご飯を食べた後の片づけは彼女の仕事だから、ドゥニャンは越権行為は決してやらない。



ロシアの学校は、朝8時50分に始まって、一校時が40分。その間に10分の休憩があって、それぞれの先生のいらっしゃる教室移動に使ったり、一階にある売店でアイスクリームやチョコを買ったり、ピザを食べたりする。
そうやって、5校時ないし8校時をお昼の休憩なしにこなしてくる。

もちろん給食の時間なんてのは、上級生になったら、ない。
あるのは3年生までで、担任の先生に従って皆お行儀よく一列に並んで、学校の食堂にやってきては、カーシャ(オートミールやそば粥など)を食べたり、じゃがいものピューレにカツレツを食べたりしている。おとなしく静かに食べている様子を見るのは可愛いものだ。
上級生には給食が出ない代わりにモスクワ市から、給食代と称して、毎月50ルーブルくらいをただでいただいてくる。

と、いうわけで、学校から家に帰ってくるまで、むすめはお昼ご飯を食べていないのだ。週に2回は3時まで授業があるから、それまでチョコやアイスクリームで空腹をしのいでいる可哀相ななつめちゃんなのだ。

それで、家へ帰ってからは、ママであるドゥニャンと自分の昼食のお片づけをするいい子なのである。



あれ〜!!どうしたんだろう??随分、回りくどい説明になってしまったが、とにかくぅ。
ドゥニャンにとっては、毎日、ちょっとずつヒマがある事はある。
ただ、家事というのは細切れに>いそがしい<ことだけは、わかっていただきたい。


そういうわけで、ドゥニャンはバレエを習いに行く事にしたのだ。毎週水曜日、9時30分から10時45分まで。


一昨日がドゥニャン、バレエの初体験。
スタジオは、総ガラス張り。しかもグランド・ピアノの生演奏で、足をバタバタやるのであ〜る。

先生は、カフカス系の情熱的な美形。性別、男。すらりと長い足は、基本の動作をやっている時、床に吸い付いたようにビタリとも動かず、長い手は優雅にそったり、中を舞ったり・・・。

先生を見ているだけでウットリしてしまって、何を次にしていいのか、わからない。
必死で、足を交互にくっつけたり、開いたり。
手はお留守になって、胸の辺りから肩まであくまで柔らかく、静かに動いていかなければならないところ、丸太棒のようにグギっと動く。でも、初めてだから・・・。と、思って、先生のお顔を拝見していると、
「鏡をしっかり見て!!自分の動作に気をつけましょう!!」


ウッウ!!


鏡ねぇ。自分のこんな全身をバッチリ見たのは、はじめてだった。
ドゥニャンはナルシストだったから、横で美しく踊っているアメリカ人くらいの足の長さがあり、スゥっと後ろに伸びた足が格好良く、決まっているはずだったのが・・・。

それに生まれてからこのかた、ずーっとずーっと、自分のことカッコイイと思って疑った事はなかった。そのうえ、うちの子どもたちもヘンヘンもドゥニャンのこといつもいつも、
「ママはきれいだよ。」
「ママはクラスで一番素敵だよ。」
「ママは小さいけど、スタイルがいいねぇ。」

「でも、その足邪魔になりませんか?」
って、時々だけど、付け加わっていたけど・・・。
鏡を見たら・・・。
なんとまぁ。

ドゥニャンって短くって丸かったのね。



結構、全身に余分な脂肪がついているらしく、なかなか足が上がらない。上げようと思うと、小刻みに重さに耐え兼ねて震えてしまうのだ。
微妙に震えるその足を数秒間支えるのって、結構、辛い。


困った事に、昨日の木曜日は足が筋肉痛で・・・。動けないよぉ。


なんて、甘えていられないのが、主婦の悲しいところ。足に力をあまりいれないように頑張ってソォ〜っと歩いて、朝からお弁当作りをした。


バレエリーナの人たちの日々の研鑚がよ〜〜〜く、痛い!ほどにわかった水曜日であった。
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