1999年9月9日(木)

花のパリィと、言うけれど、そんなにお花屋さんが多いわけでもないパリィ。
よっぽどモスクワのお花屋さんの花束の方が豪華で立派。

道歩いているおばさんもおじさんもお姉さんもお兄さんも別になんということない格好してるし。モスクワの方がよっぽどファッション雑誌から今抜け出てきました!!みたいないでたちの若者が多い。
圧倒的にオシャレに気遣い、お化粧を念入りにして、頭に香水ふりかけて頑張ってるのがモスクワ。

地下鉄もモスクワのほど重苦しく危なっかしく、古っぽくないけど、どことなく汚いし、使い古されている。町には落書きなんかいっぱいあるし、道には有名な犬の>ナニ<が沢山落ちていて、危なくって仕方がない。


ルーブル美術館へ行っても切符を買うまでに行列あり。暑いピラミッド型のお日様カンカンのガラス張りの建物の中で、待つこと待つこと。

フィ〜〜。

切符買うまでに疲れてしまってどうするの??


これからの道のりは遠いのよ。


本当に実に遠かった。インフォメーションの窓口で日本語版の案内書をもらって来たら、観光客にとってめぼしい作品が展示されている部屋番号と地図が載っている。

まずは、サモトラケのニケを見て、すぐさまレオナルド・ダ・ヴィンチのモナリザを見に行く。もちろんここは人だかり。
「ねえ、びーびー。この人笑ってる。普通にしてる??」

「笑ってんじゃないの?」
答えはこれだけ。


そうか。やっぱり笑っているように見えるんだ。
だけど、じっと見詰めると、やっぱり深みがちがうんだ。人物像の内面まで映し出されてくるって言うか。他の作品にない奥の奥の方までの何かがある。

「ちがうよねぇ。やっぱり。」
「うん。違うよ。」

今日は全部を見るのは無理と踏んだドゥニャンたち。
すぐ3階へ上がってコローの真珠の女、モルト・フォンテーヌの追憶を見る。
やっぱり色が・・・ステキ。
そしてアングルをみて、ヴァットーを見る。

デューラーの次にオランダ派の部屋へ・・そこでフェルメールのレースを編む女を見て・・・。

そうしているうちにびーびーがトイレを行きたくなる。
「じゃあ、ドゥニャンとなんなはちょっと見てるからね。」
と、言って他のを見ているうちにあの二人(つまりヘンヘンとびーびー)はどこをほっつき歩いているのか、待てど暮せど、やってこない。

ええ〜〜〜い。いいやい!
あの二人なんかどうにでもなれ!

と、思っても、ドゥニャンはホテルの住所も電話番号も知らないし、お金を一銭もいや一サンチームも持っていないことに気が付く。

「どうしよう・・・。」
「いいよ。ママ。お金なら、持ってるから。」
「でも、知らないのよね。ホテル。」
「あの二人のことだから、出口で待ってるんじゃないの。早く見てさっさと出ようよ。」

こうなったら、美術鑑賞どころではない。

「ねえ、でもルーベンス見ないと損したような気になると思わない???」
「うん、そうだね。どうせ歩くことだし、行ってみよう。」
と、なんな。

ルーベンスの部屋に行くと、
「やあ!」
なんて、涼しい顔で二人が座っているではないか。

「必ずここに現れると思ってね。」

人の心配をよそに平気な顔しているヘンヘン。

「まったくぅ。」
「でも、ルーベンスを見たいって言ってたのはドゥニャンだよ。だから言う通りしたんだよ。怒らないでよ。」
そう、確かに怒っているヒマはない。強烈にルーベンスなのだ。隣りの部屋もここも壁一面。
ひたすらため息。ひたすら感動。ひたすら眺める。

何と言って良いのか。これこそ筆舌に尽くし難い。

ここでドゥニャンの無駄な筆舌を尽くしても意味はないだろう。あれほどの量とあれほどの芸術を次から次へ溢れるほど見るって言うのは、百聞一見にしかずというところだろう。


エルミタージュもプーシキン美術館も凄いが、ここはその比ではない。

強烈にありまくる。


とにかく疲れた。


一度休もうということになって、街角に出て、アイスクリームを買うと、250円なり。そしてそこでビールを飲んで、ちょっとしたサンドウィッチ一個を買うともう3000円。高いなぁ。
フランスの物価は・・・。


便利な分、ちゃんとお金はとってある。


もう一度、ルーブルへ戻ろうかとも思ったが、足が棒になっていた。
あ〜〜。今日も疲れた。

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