1999年1月6日(木)

モスクワのシェレメーチェボ空港も便利になったものだ。今まで出国手続きをするのにどうしても行列を免れなかった。ところがここ数年の間に税関申告の必要のない人たちのための窓口が出来たのである。
パスポートを見せて、ヴィザを見せるだけでOK。
なんとモスクワも変わったものかと、ここを通る時に切実に思う。
十年前など、子どもを連れて人だかりの中、行列にならばないで入れてもらえるかどうか、いつも賭けをしているように心配かつ不安だったものだったが・・・。
だいたいの場合、3歳以下の子どもを連れていると、ロシア人はとても優しく、行列を譲ってくれたし、係官も何も調べることなく、すんなりと通してくれたものだが、人によってはそういう訳には行かない時もある。
そんな時のために万全の心構えをしておかなければならなかったのだ。

それはともかく、とにかくシェレメーチェボでは全く並ぶ、待たされる(!)ことなく機上の人となっていた。

ところが、イタリア。サミットの一員でもあるこの御国が!入国手続きで待たせること、待たせること。
1時間は並んだであろうか。それでも全く行列は進んでいない。
これではひと昔前のロシアである。
予期していなかったボディブローにうんざりしてくる。
それに機内食が少なかったせいもあって、とにかく機嫌が超スーパー、ミラクル級に悪くなってくる。
「ヘンヘンの立派なイタリア語の舌の見せ所だね。」
ドゥニャンにせっつかれ、ヘンヘンは考えた。

やおらイタリア人の入国窓口にびーびーを連れて突進して行った。
そんなところへ行っても絶対駄目だよ。パパってやっぱりバカだよね。
と、思っていたら、行列後方に連れて行かれている。並べ直させられるのだ。キョエ〜・・・。



全く、私たちの並んでいるところまで連れて来ないと行けない。

ドゥニャンがヘンヘンとびーびーを呼びに行くと・・・。

「出してもらえるよ。おいでこっちへ。」
と、言う。
「なんで、そんなことできるの?」
キョトンとしていると、
「びーびーに病気になってもらったのよ。そしたら、御丁寧にも医務室に連れてってくれるって言うんで、それはお断りして、早く出して下さいってたのんだの。日本人ならば問題ないって言われたもんね。」
調子いいのだヘンヘンは。(もちろん多くの日本人は延々とならばされていた。)

無事、皆さん並んでいらっしゃるのに、申し訳なくも早々と入国審査を全然せずに通過してしまった。
失礼しました。

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