2000年1月8日(土)


ローマからフィレンツェへ向かってユーロスターに乗った。
1時間半。
郊外の景色を見るのがドゥニャンの旅行の楽しみである。車窓から見る景色がそれを満たしてくれる。
ところが!さにあらず・・ドゥニャンはユーロスターに乗っている間、一分も余さずぐっすりと寝込んでしまう。席に着いた途端、一人サンドウィッチを食べてお腹がくちくなってしまって、後は人間本来の第二の欲望である睡眠欲を満たしてしまったのである。
残念ながら、帰りのユーロスターも一分も余さずに眠りこけるという、悲しい性にあった。
揺れがドゥニャンにちょうど良すぎたと思うしかない。
残念だ。ユーロスターよ。もうちょっと居心地の悪い揺れであっても良かったぞ。

さて、フィレンツェへ着くと、重い荷物を運びながら、駅の近くにあるというホテルを探す。
道が石畳でスーツケースの車が溝にはまってなかなか上手く動いてくれない。

ホテルに着いた途端、よく眠ったドゥニャンのお腹の虫が騒ぎ出す。
「何か食べたい!!」
うちの旅行と言えば、食べることが勝負でいつもドゥニャンとヘンヘンの意見が違って大きな喧嘩にまで発展する。
今回はヘンヘンがやけにおとなしい。
しかし、ドゥニャンのお腹がどうしたのか。
ホテルはドゥオーモの教会の近く、メディチ家礼拝堂のまえ。。革製品や素敵な文房具の露天の店が並んでいる。
なんなは文房具店を見たいようだが、ドゥニャンの食欲は抑えられない。

近くのトラットリアでピッツァやスパゲッティ・ボロネーズとボンゴレ、お肉も頼む。
ドゥニャンのピッツァは詰め物のピッツァ。美味しいんだなぁ。これが・・・。
そして、子ども達の分も全てお味見してみる。ただしドゥニャンのは一人で食べる。
ボンゴレはあさりが砂をかんでいてあまり美味しくなかった。ドゥニャンの作るボンゴレの方が美味しい。
そこでワインをもちろん頼む。奈良漬でも酔えちゃうドゥニャンのことだから、しこたまいい気持ちになる。だって、おかわりまでしたんだモン。
と、いうわけでホテルに帰ると眠くなる。
ぐっすり寝込む。

さて、夕方はミシュラン二つ星のテンダ・ロッサへ!
目が覚めたら、もう夕方だった。

チェルバイヤというフィレンツェから20数キロの所にある町。
20数キロだから、タクシーで行けばたいしたことがないと思っていた。
ところが!そこは緩やかな山岳地帯。タクシーはいろは坂のようになった道を縫って走っていく。自動車に弱い子どもたちは車酔いに悩まされる。
ヘンヘンも危うかったらしい。

30分ほどかかってテンダ・ロッサに着く。
室内の装飾は明るくモダンである。ただ置いてあるグリーンに統一性が欠けるのが、ざんねんなところか。

さて、どんなものを食べるのか。
キアーナ渓谷の牛で有名なビフテキとフィレステーキを子どもたちとドゥニャンに頼む。
ヘンヘンは羊。
前菜は子どもたちはエビのグリエ。
そして、パンに鳥レバーを乗せたトスカーナ地方の名物料理。
パスタは薫り高いタイムとアスパラガスときのこの入ったラビオリ。そしてイカ墨のタリアテッレ。

デザートにレモンシャーベットとベリーのムースを頼む。(くわしくはレストラン編でアップします。)

家族は車酔いに当てられて、食欲がない。
ドゥニャンはとことん全部、皆が残したものを食べまくる。それでもまだお腹に入りそうな勢い。
ミニャルディーズも食べてみたいが、いつものようにホテルに帰ってからの楽しみにしてもいい。ここは紅茶で辛抱するか。

子どもたちはコーヒーを頼む。
給仕の人達は子どもたちがコーヒーを頼んだ事にまず驚く。
イタリアのコーヒーはエスプレッソですごく濃い事を忘れていたのだ。

コーヒーが運ばれて来た時、きっとポットからついでくれるものと勘違いしていたドゥニャン。どんな食器が使われているのかなぁと、テーブルの上で給仕の人にわからないようにさかさまにして、後ろのマークを見ようと思って実行。

うー。知らなかった。
イタリアではコーヒーはカップに入れて運ばれてくるのだ。

テーブルの上にコーヒーがぶちまけられる。
驚いたのはドゥニャン一人ではない。給仕の人もカップから全部一滴も残さずこぼれたコーヒーに驚いていた。
真っ白なテーブルクロスが茶色に染まった時、ドゥニャンはどうしていいのかわからず、途方に暮れた。


さて、ミニャルディーズのお持ち帰りを頼んで待っていたが、なかなかやってこない。
普通、それを頼むとテーブルからさっと可愛い手作りのチョコやクッキー達を引いて、お持ち帰りの用意をしてくれるのだが・・・。
誰も来ない。
ついに痺れを切らせて、給仕の人に聞いてみる。
「もうお持ち帰りのご用意は出来ております。このミニャルディーズは当店でお楽しみ下さい。」
と、言う。
ヤッター!!楽しむぞ!
と、思うでしょう??

ドゥニャンはもって来ていたハンカチにそれらを包んで更に持って帰った。

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