ボリショイ劇場 ドンキホーテ


1998年10月16日(日)

配役

ドンキホーテ:A.ロパレーヴィッチ、
サンチョ パンサ:D.ペレグードフ、
ロレンツォ:A.シトニコフ、
キトリナジェージュダ・グラチョーヴァ
バジルユーリー・クレフツォフ
ジュアニッタスヴェトラーナ・ルニキナ
ピッキリヤ:I.セミレチェンスカヤ、
エスパーダ:A.ポポフチェンコ、
街の踊り子:E.ルージナ、
ロレンツォの妻:S,モレヴァ、
ドルシネアニーナ・スペランスカヤ
キューピット:S.ウヴァーロヴァ、
三人のドリュアス:Iu.エフィーモヴァ、オリガ・スーヴォロヴァ、エカテリーナ・シプリーナ
四人のドリュアス:S.グネドヴァ、アナスタシーア・ガリャーチェヴァニーナ・カプツォーヴァ、S.パヴロヴァ

指揮:A.ソートニコフ

演出:グリゴローヴィチ(プティパ&ゴールスキー版)




第一幕は、ある日、夢の中で女神を見たドンキホーテは、その女神を探しに現実的で愉快なサンチョ パンサをともなって旅に出るところで開ける。ある居酒屋に着いたドンキホーテはそこでキトリを見て、自分の理想の女性である女神の化身を見てしまう。キトリには散髪屋の恋人バジルがいる。ところが、キトリの父ロレンツォはその恋人を良く思っていない。出来れば金持ちのところに嫁がせたいのだ。キトリとバジルは一緒になるべく逃げていく。ドンキホーテ、サンチョ パンサ、ロレンツォはキトリを探しに出かける。
第2幕目は、キトリとバジルが逃げるとき、ジプシーのキャンプに入ってしまう。ドンキホーテとサンチョ パンサもすぐその後現われ、人形劇を見る。ドンキホーテはその人形にまた夢で見た女神を見てしまう。そして、これが人形劇であることを忘れ、妄想から女神を守るために剣を抜き、風車に向かって戦いを挑む。驚いたサンチョ パンサはドンキホーテをなだめようとし、疲れたドンキホーテは夢の中へと入っていく。この夢の中では再びキトリが女神となって現れる。 起きたドンキホーテはサンチョを伴い、ロレンツォの居酒屋にもどる。 キトリとバジルも隠れているが、キトリは父親によって金持ちの男と婚約させられそうになるところで、バジルとキトリはバジルが自殺をしたようにみせかける。するとドンキホーテはロレンツォの石頭をなじり、死んでしまっているはずのバジルとの結婚をゆるすように剣でおびやかす。ロレンツォもたまらず、ゆるしてしまう。その途端、バジルは起き上がってきた。
第3幕、バジルとキトリの結婚式が町の広場で行われる。老いも若きももちろんドンキホーテとサンチョも踊り、祝う。バジルとキトリの幸せを祈りながら、ドンキホーテ、サンチョは帰途につく。

昔、小学生のころ、少年少女文学全集でドンキホーテを読んだことがあったが、ドンキホーテが風車に向かって必死に戦いを挑む光景しか覚えていず、ふ〜ん、こんな物語だったのかと、ひとまず納得した。 公演、それ自体は7時から10時半までと長帳場であるが、ちっとも退屈しない。次から次へと美しいはつらつとしたキトリの踊りと共に、キャラクターダンサー的な男性舞踏手が 場を盛り上げてくれる。 キトリとなったN.グラチョーヴァのバレエの技術の完成度には目をみはった。高いジャンプや美しい回転が見られるたびに興奮はいや増す。金持ちの男のキンキラとしたいやらしいまでのきざさときらびやかな振る舞いにも笑いを誘われる。 ドンキホーテとサンチョのコンビが舞台に意識の広がりの突拍子もないおもしろさ、いや妄想の豊かさとおかしみを十分以上に伝えてくれる。 とにかく素晴らしい!!の一言に尽きる。また、見たい。どうしても見たい。席はボリショイ劇場1階中央6列目。すごくいい席でダンサーの表情のすべてが読み取れる。贅沢の極みだった。 ドンキホーテ見ることなくしてバレエを語る事勿れ。というくらい、凄い。楽しい。それぞれのアーチストが卓越した技術と表現力を持っている。だから、楽しさがおかしみが突拍子のなさが、美しさと共に表現できるのだと思った。とにかく凄かった。どう言えばイイノだ。


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