ボリショイ劇場 レ・シルフィード


2000年4月14日(金)

出演者
ニーナ・セミゾーロヴァヴラディーミル・ニパロージニーマリヤ・アレクサンドロヴァ
マリアンナ・ルイシキナ、A.M.イヴァノヴァ、O.V.ジュリジツカヤ

指揮:アレクサンドル・コプィロフ

演出:M.M.フォーキン

演出再現:G.N.ゲイデンレイフ

作曲:フレデリク・ショパン

舞台・衣装:V.F.ルィンディン


舞台の最初の印象が散漫であった。花の散るように白い衣装のバレエリーナ達が舞台から離れていく所、花びらの噎せ返るような香がない。
セミゾーロヴァの踊りは少し重い。しかもジャンプをする時にトゥシューズの音がする。
これは妖精の踊りなのだから出来るだけ静かにそっと足を忍ばせるように置いてもらいたいものだ。
ところが、びっくりしたのはルィシキナ。彼女の踊りはいつものあくまで闊達なくらいの遠慮のない踊りが影もなく消えて、静かな透明な妖精になりきっている。最初、顔は彼女なのだが、どうしてもその踊りをみて彼女とは信じがたい。「ねえ、あれルィシキナだよね。」と、娘に確認したくらい。素晴らしい。
さて、お目当てのアレクサンドロヴァ。いつもながらあの丁寧さ。腕のしなやかさ、妖精としての軽さ。美しいジャンプ。信じられないくらい人間の匂いがない。
妖精が悲しくも儚くも散っていくようなそんな役を演じてくれている。彼女の腕は黄金の腕である。一振りするごとに花の香が漂ってくる。
ニパロージニーはうまく女性ダンサーを支え、盛り上げていた。


ボリショイ劇場 シェヘラザードからデュエット


2000年4月14日(金)

出演者
イルゼ・リエパ、マルク・ペレトーキン

指揮:アレクサンドル・コプィロフ

演出:M.M.フォーキン

演出再現:アンドリアン・リエパ

作曲:リムスキー・コルサコフ


申し訳ない。リエパ。顔を見ていると本当に個性的でこのシェヘラザードの役にぴったりなのだが、踊りが雑。流れが感じられず、見ていると退屈してくる。
この役だからこそ、表現して欲しいエギゾチズム。それが感じられず、とりあえず踊っているだけ。
彼女の「火の鳥」は、ビデオで見る限りすごかったので、期待をしていたのだが・・・。
ペレトーキンも踊りの流れに入りきれず、キレがない。ジャンプもあまり良くなく、回転も崩れる。んん〜〜〜。残念。


ボリショイ劇場 牧神の午後


2000年4月14日(金)

出演者
スヴェトラーナ・ルニキナドミトリー・ベラガロフツエフ

指揮:アレクサンドル・コプィロフ

演出:ジェローム・ロビンズ

舞台:ジン・ローゼンタール

衣装:イレン・シャラフ

指導:ヴィクトル・カステッリ(NYシティーバレエ)

照明:ペリー・シルヴィー(NYシティーバレエ)

作曲:クロド・ドビュシー


ペラガロフツェフはいつもながら柔軟な身体を生かした、ちょっと押さえ気味の表現で私達に迫ってくる。以前、「牧神の午後」は、プリセツカヤと仲間たちの日本公演で見ていたが、衣装は全く違うものなのだが、女神を恋する獣体の牧神の雰囲気が伝わってくる。
さて、ルニキナ、素晴らしく足が上がる、いちいち美しいフォルム。この日のルニキナの女神は立派。練習場の合間の休憩時間の束の間の恋。
それをてらわず、サラっとしかも丁寧に表わしてくれる。
衣装は練習風景なので黒いタイツとレオタード。ルニキナの素晴らしい肢体と可愛らしい顔にピッタリ。


ボリショイ劇場 パガニーニ


2000年4月14日(金)

配役
パガニーニ:ドミトリー・グダーノフ、
女神エレーナ・アンドリエンコ
舞踏会の婦人:E.Iu.ブカノヴァ、E.G.ドルガレヴァ、I.V.ズィブロヴァ、L.I.フィリッポヴァ、
分身:M.E.ヴァルキン、
騎士:V.V.アレヒン、G.V.ゲラスキン、A.V.ヴァフチン、O.Iu.オルロフ
道化師:S.V.ユーディン

指揮:アレクサンドル・コプィロフ

振付け:レオニード・ラヴロフスキー

再現:ヴラディーミル・ヴァシーリエフ

原舞台:V.F.ルィンディン

舞台E.G.メルクロヴァ、V.V.フィルソフ


バレエ全体の印象としては、カザノバやベスソンニッツァにがその流れを汲んでいるというのが良く分かる。
主人公の感情の流れを表わそうとしているのだが、それが上手く伝わっては来ない。これは演出に問題があるのか。いや、それ以上にパガニーニの人となりを掴んでいないのかもしれない。これはダンサーに問題がある。
グダーノフは回転は抜群。ジャンプがあまり大きくはなく、雰囲気も盛り上がってこない。
アンドリエンコに関しては、相変わらず印象が薄い。技術だけが目に付いて、感情の中に入っていけていない。
パガニーニの人生の盛り上がりを見せる舞踏会のところも今ひとつ明るく華々しい雰囲気が伝わってこないし、最後、パガニーニは絶望して終わるのだが、それも中途半端。もう少しメリハリが欲しいかな。
ただ、ピアノが良かった。澄んで高い音の緊張感が伝わって来た。


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