購入顛末回想(前編)

98年10月 「そろそろ車検が近いなー」と意識し始める。
新規格の軽自動車が、各社から一斉に発売されたのもこのころだった。
いろいろと各社のホームページを見てみたり、クルマ雑誌の特集を読んでみたりする。

ダイハツムーヴやスズキワゴンRも、発売当初に見たときは結構斬新なスタイルだったが、いつのまにか各社ともトールワゴンスタイルに追従してしまって、なんだかグッとくるものがないなぁと思いながら、コンビニで立ち読み。

どうせ買うならダイハツムーヴカスタムかテリオスキッドかなぁ、と漠然と考えていた。
まだこのころは、あんまり事態は緊迫していない。


98年11月初旬 そろそろ真剣に考えはじめる。
今乗っているムーヴの車検が切れるのは12月末。そろそろ真剣に考えなくてはならなくなる。
ダイハツの販売店の営業氏も、よく自宅へ来るようになった。
いろいろ相談した結果、当時の走行距離が10万キロ目前だったので、買い換えた方がよかろうという結論に達した。で、次の問題はどのクルマにするか。これである。
そんな中、市内の各メーカー系販売店が集まって、新車/中古車の展示会をやるとのこと。
販売店をまわる手間が省けて幸いと、行ってみることにする。

まずは、新規格の軽カーをひととおり見てまわる。
だいたい、事前に仕入れておいた情報通りだった。軽ならやっぱりダイハツかなぁ。
テリオスキッドはなかなかカッコよかった。
ついでにリッターカーもチェックする。マツダのデミオやファミリアショートワゴンも気になっていたので、こそこそとドアを開けてみたりした(笑)。
ウロウロしていると、スバルのコーナーでインプレッサセダンWRX STi Version V を発見。
『グランツーリスモ』でしか見たことのないクルマだったので、ちょっとコーフン。
で、金額を見てみると・・・・300万オーバーである。でもスカイラインよりは安いよな。どーせ買えないけど。

・・・・でも・・・・インプレッサかぁ・・・・。

で、その後日。
何もコネがないところに飛び込むのはちょっと勇気が要ったが、スバルの販売店へ仕事帰りに寄ってみた。閉店間際というのに応対してくれた営業氏に、
「新規格の軽にするかリッターカーにするか悩んでるんスけど、どんなんがあるんスかねぇ?」
と聞いてみたところ、営業氏はプレオとインプレッサのカタログを出してくれて、実際に二つのクルマを見せてもらったりもした(あ、プレオってのは軽のワゴンですね)。

オレが注目したのは、スポーツワゴンのエントリーグレード『C'z』(1500cc/2WD/5MT/運転席エアバッグ装備/ABSなし)の金額だった。車両本体価格が129万8千円というから、軽自動車の上級グレードの金額で『インプレッサ』が買えてしまうのだ(当然これに諸経費がかかるわけだが)。
しかも、装備や内装も営業車のようなチープなものではなく、しっかりしたものが使われている。
ずっとインプレッサは高いと思いこんでいたのだが、これは盲点であった。ターボじゃなくても、4WDじゃなくても『インプレッサ』は『インプレッサ』だ。
いままで「あこがれ」でとどまっていたモノが突然目の前に降りてきて、オレの中の欲望が「クワッ!」と目を覚ましたような、そんな気がした。

とりあえずその日は、カタログといろんな資料(パソコン用CD-ROMもあったぞ)をもらい、後日こちらから連絡する、ということで販売店を出た。


98年11月中旬 家族会議する
いよいよ家族(オヤジ、オフクロ、オレ)を交えて検討に入る。
ウチの家庭は、オレの通勤だけでなく休日の家族のアシにもクルマを使うので、いつも乗る人だけでなく、他の家族の意見も採り入れることになる(オヤジの軽トラもあるにはあるのだが)。
これまで乗ってきたのが軽自動車だったので、インプレッサがどう受け止められるか心配したが、リアクションはそう悪くなかったのでひと安心。オフクロは自動車税が高くなるのにちょっと(どころではないと思うが)渋い顔だが。

次の休日にでも試乗させてもらって、見積してもらおうとのんびり構えていたのだが、なんと、たまたま仕事の休みが続いたオヤジが、先日出かけたスバルの販売店へ出かけ、ムーヴの下取り分まで入れた見積を取ってきた。
見積書の金額から、かなり無茶な交渉をしたと予測されたが、いちばん面倒なところをやってくれたのはありがたかった。
あわてて営業氏へ電話。次の休日に試乗させてもらって購入を決める、ということにする。


98年11月中旬のある土曜日 試乗してみる
ちょうど土曜日で休みだったので、先日スバルの営業氏と約束したとおり、その日の午後、試乗させてもらうことにする。
その日試乗したクルマは、見積してもらった車種と同じスポーツワゴンの『C'z』である。
MT車を試してみたかったが、あいにくAT車しかないとのことで、まぁこれは仕方ないか。
オプションのフォグランプとルーフスポイラーが装着されていた。ボディカラーはローズレッド。

さっそく運転席に乗り込む。ムーヴと比べて重量感のあるドアを閉めると、かすかな緊張が走る。
助手席に営業氏が乗り込んできた。
「んじゃあ、行きましょうか」
セルを回す。エンジンが目覚め、力強い低音で唸っている。
レバーをDに入れアクセルを踏み込むと、クルマは静かに動き出した。
自宅の庭にクルマが収まるかどうかを確かめたかったので、自宅までの道のりを走ってみることにする。

普通、いつもと違うクルマを運転すると、妙な違和感があるものだが、初めて乗ったクルマ、サイズもずいぶん違うクルマなのにも関わらず、長く乗ってきたクルマのようにフィットするというか、馴染んでいるというか、そんな感覚だった。

あぁ、これがスバルなのか。インプレッサなのか。

そうしているうちに自宅へ到着。家の庭にもちゃんと収まるということを確認して、販売店へと引き返す。その車中で、オレは決心した。

もう、これしか、ねぇ。

というわけで、試乗車を降りて、早速契約へ。

まずは見積金額の確認。間違いないのを確認して、いろんな書類を書きまくる。
ちなみに金額は下取りまで含めて、最終的に100万円弱になった。遙かなる3年ローン。

試乗車に装着されていたフォグランプとルーフスポイラーを付けるといくらかかるか、簡単に見積ってもらったところ、楽勝で予算オーバーしてしまったので、今回は見送ることにした。
ボディカラーは試乗車がいい色だったので、ローズレッドに決める。ムーヴに続いてまた赤である。やっぱスポーティーなクルマは赤だよな(ムーヴはスポーティーでしょうか>オレ)。

そんな感じで、だいたいの手続きを済ませて販売店を後にする。
納車予定は12月初旬とのこと。
迫り来る年末の忙しさへの不安も忘れ、オレのココロはまだ工場の中であろう我が愛車のドライバーシートへと飛んでいた。

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