7月号/第27巻第7号通巻321号
大幅に遅れてしまい申し訳ありません。
7月は京都で「BitSummit」が開催されます。
インディーゲームの祭典のため、PCゲームが多かったのですが、近年では家庭用ゲーム機向けの出展が増えてきました。パッケージソフトの出展もあるようで、時代の変化が見えますね。
現場と夢の世界で捜査する、近未来の推理アドベンチャー。3つのパートを行き来して真相に近づいていきます。
現場の物証や聞き込みの証言を集める「捜査パート」、関係者の夢の中を捜査する「ソムニウムパート」、密室のギミックを攻略する「脱出パート」という、テイストの違う3つのパートを繰り返して、事件の真相に迫ります。
<Effect視点>
「AI:ソムニウムファイル」シリーズの最新作です。初代は年齢制限(CERO Z)がありましたが、今作はCERO Cまで下がっているようです。
「脱出パート」の追加、シナリオ担当者の変更など、新たなテイストが追加されています。
野球場で働く人達を描く、お仕事群像劇。
(架空の)プロ野球チームと、その本拠地の球場で働く人たちを描きます。メインキャラクターは客席を回るビールの売り子ですが、球場警備員、ウグイス嬢、球団マスコットなど、様々なお仕事を取り上げていきます。
基本的に1話に3つのエピソードを入れた短編オムニバス構成。登場人物が多いですが、テンポ良く、それぞれの人物にスポットが当たります。これほどの人数をしっかりと描き切った作品はかなり珍しいと思います。
一方、バラバラの話のようでいて、「ビールの売り子としての成長と交流」「仕事を通じたファンとスタッフの一体感」という、しっかりした本線をじっくり形成していきます。
そして、球団としての悲願を賭けた大一番へ……。
野球をテーマにしたアニメですが、野球の知識が無くても楽しめるようになっています。そもそも、主人公である売り子がルールを知らないので、作中で教えてもらえます。あくまでテーマは「球場のお仕事」であって、野球そのものではありません。
もちろん野球への愛はそこかしこに溢れています。野球ファンであれば誰もが通る、あるあるネタも多数。
そして、野球の知識量に関係なく、誰もが「野球で起きる熱い体験」へと導かれます。
個人的には、優秀すぎる球団マスコットがお気に入りです。いわゆる着ぐるみで、一切の声は出さずに筆談で会話。ファンを盛り上げ、選手の仲を結び、スタッフを気遣う、プロの仕事を見せてくれます。
大量の登場人物を描き切り、しっかりした本線も描き切り、笑いあり涙あり熱く楽しい全12話をまとめあげた傑作です。原作は続くようですし、是非2期を見たいです。
お嬢様学校を舞台に、お嬢様だけで結成されたロックバンドの軌跡を描きます。
親の再婚により令嬢になってしまい、ギター演奏を捨てることになった元ギタリスト。超一流お嬢様でありながら自分のためだけに練習を繰り返すドラマー。偶然の出会いから結成されたお嬢様ロックバンドの活動を描く音楽モノです。
演奏するのはロックの中でも速く激しいハードロック・ヘヴィメタル系。メンバーが増えても、決してボーカルを入れないインストバンドを続行。
作中の観客だけでなく、視聴者すら置き去りにし兼ねない、ある種の暴挙。あくまで自分たちのために、やりたい演奏を貫くハードな姿勢が心地いいです。ここまでやってくれる作品は滅多にありません。憧れ、尊敬してしまいました。
実際の奏者の映像を基にした演奏シーンは、圧倒的な迫力です。指の動き、楽器の動き、体の揺れなど、細かく全力の描写です。そしてアニメだからできる躍動のカメラワーク。
主人公であるギタリスト側の事情、「家族にも身バレしてはいけない」「お嬢様学校の頂点に選出されたい」の2点を軸に、ストーリーは進みます。
一方、バンドとしては、いかに「自分らしさ」を貫くかという戦いが描かれます。バンドを存続するための課題、試練もありますが、あくまで「自分らしさ」を失わずに解決することが大切。解決策も、音楽的な説得力があり、納得できます。
なお、演奏後は過剰にハイになっているせいか、メンバー内で罵倒合戦が繰り広げられます。非常によろしくない、汚い言葉の応酬です。この作品の特徴点ですが、あくまでも演奏後のデザート要素です。
激しくむき出しの感情で圧倒する演奏シーン、どこまでも自分らしさを通す気高さ、まさに孤高のバンド作品でした。
演奏をもっと聞きたい、続きのストーリーを見たいと願っています。
若手芸人が企業に密着し、成功の秘密を取り上げていくバラエティ。
若手芸人が企業に潜入ロケをして、その企業の秘密を見つけていきます。ロケに定評のある芸人が多く、きっちりしたVTRが用意されています。
一方、スタジオには、真空ジェシカ、ヤーレンズという個性派芸人の4人。脱線と暴走に定評のあるトークと大喜利が巻き起こります。
放送前で視聴者の反応がきてないうちから、次々とリニューアル施策が入っています。リニューアルするほど、VTRのきっちり度が上がり、スタジオの自由度が下がっています。いろいろと試している途中とは思いますが、少し心配です。
スタジオの4人の冠番組ですし、このメンバーで期待するのはトークの脱線力。VTRがなくてもトークだけで楽しそうに思えてしまいます。また、VTR自体は面白いですが、この4人でなくても成立しそうにも見えます。
このまま、4人をバラエティ番組的に矯正するリハビリ番組になるのか、一転して持ち味をいかした暴走バラエティになるのか、現時点ではわかりません。
もしかすると、情報番組の体裁をした、新手のオーディションドキュメンタリーなのか。それとも、単純にスタッフと縁者が噛み合わないだけなのか。テレ東だけに、すべてあり得るのが悩ましいところ。この先、番組がどうなっていくのか、時代の目撃者になれるかもしれない不思議な番組です。