１．奇跡へのプロローグ

1988年4月20日 北海道新冠郡新冠町の長浜牧場で生まれる。

かつて皇帝と呼ばれた、日本競馬史上最強の馬・シンボリルドルフの初年度産駒として、父から最強の血を受け継いで・・・。

幼駒の時期から、テイオーには他の馬とは異なる，抜群の身のこなしの柔らかさがあった．

２歳の春に、幼駒には飛び越えられないはずの牧柵を飛び越えて放馬し、しかも傷ひとつ負わず、再び飛び越えて戻ってきたという

エピソードはあまりにも有名な話しである。（普通は連れ戻さないと帰ってこないらしい）

空を切るように走る走法というか、あのリズムを取るように跳ねる独特の走法は、誰もが一目でテイオーと分かるだろう。

1989年11月 二風谷軽種馬育成センターに入る。

1990年10月 栗東、松元省一厩舎に入厩。

　

誰よりも早く彼の能力の高さを予言していたのは装蹄師の柿元氏だった。

「装蹄師として３５年、１０万頭以上もの馬をみてきたが、素晴らしいの一言だ。

バネ、柔らかさ、つなぎ（球節と蹄をつなぐ部分）と・・・。」

早くも厩務員に対し「来年のダービー馬が来たぞ」と言っていたそうだ。

　
　
　

２．デビュー　

1990年12月1日 中京競馬場新馬戦でデビュー戦を４馬身差の楽勝で勝つ。

1990年12月23日 京都競馬場でシクラメンステークスを勝ち２勝目を飾る。

松元調教師がクラシックを意識したのが、このレースだと言う。

「４コーナーから抜け出す脚をみたときに、ダービーを意識しました。ダービーを勝つチャンスなんてそうあるものではないしね」

　
　

1991年1月19日 京都競馬場で若駒ステークス（オープン）を勝ち３連勝

1991年3月17日 中山競馬場で若葉ステークス（オープン・１，２着まで皐月賞優先出走権）を勝ち４連勝

　

松元氏は厳寒期の２月は、レースを使わず、皐月賞と同じコース・距離で行われる

若葉ステークスをステップに選んだ。

関東初見参のこのレースでも、彼は、長距離輸送、環境の変化、初コース等の難題を

軽くクリアし、性能の違いを見せつけた

　

３．ニューヒーローの誕生

1991年4月14日 第51回皐月賞優勝（安田隆騎手）、無傷の５連勝でＧ１を初制覇

１番人気はトウカイテイオー、そしてライバルは同じく関西のイブキマイカグラ．

３コーナーまで中断でじっくり待機し、４コーナーを出たところではすでに先頭に躍り出ていた。

イブキマイカグラはそのときまだ馬群の中でもがいていた。関東のシャコーグレイド（１６番人気）

が１馬身まで詰め寄ったところがゴールだったが、大人びた彼のレースセンス、そして皐月賞の

勝利は、父ルドルフを彷彿させるには十分すぎるほどの内容だった。

１991年5月26日 第58回日本ダービー優勝（安田隆騎手）、無傷の６連勝

　
皐月賞に続き大外２０番からのスタートとなったテイオー。

好位をキープしながら、そのまま直線へ。あとは大きな完歩で一歩また一歩と、

ただ一頭ゴールを目指す。

２着のレオダーバンに３馬身差の圧勝劇で父仔ダービー制覇の偉業を成し遂げた．

父と同様、クラシック三冠への期待が大きく膨らむレースだった。

４．初めての挫折

レースから３日後，「左後肢第３足根骨骨折，全治６ヶ月」の診断が発表され、

三冠馬の夢は絶望的になった。テイオーは初めての試練の時を迎える。

　
　

1992年1月 　無敗の二冠という実績が評価されて、1991年度JRA賞の「年度代表馬」「最優秀4歳牡馬」「最優秀父内国産馬」に選ばれる