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星組エリザベートの思い出

1999.8.3

 
 昨年の8月3日、マリコさんは大劇場とお別れされました。
 あれから1年、ゆっくりと穏やかに時が流れていった気がします。
 マリコさんが宝塚を卒業されてから、少しずつ現在から過去に遡って来た私の観劇録ですが、とうとうというか、いよいよエリザベートの時代までやって来ました。そう、あれはまさに「麻路さきの新時代」が開かれた作品だったと思うのです。

 5月末だったと思うんですけど、星組エリザベートの記者会見がありました。そのときの模様はwowowで放映されてましたのでご覧になった方は多いと思います。
 その何日か前には星組エリザベートのことは新聞発表になっていて周りのマリコふぁんの間では「来るべきときが来た。やると決まったからにはきっとマリコさんらしいトートを見せてくださるのを信じて応援する」という空気が広がっていました。
 そんな中、その日記者会見があると思うと1日中ソワソワしてしまった私はもしかして間に合わないかもしれないとも思いつつも仕事帰りに宝塚へ駆けつけました。
 夜の8時か9時すぎくらいに確かマリコさんは出てこられたと思うんですけど、お手紙を渡しながら表情を伺うと意外とサッパリキッパリした表情をなさっていて何だか安心した覚えがあります。そのときのマリコさんの心の中はマリコさん以外は分かり得ないですけどね。

 半年前から既に気合が入っていた私ですので、初日はもうもうこれまでにないほど緊張して迎えました。出演者でもないのにね・・・。
 確か1階A席で観劇したと思うんですけど、1階A席って2階席が頭の上にあるので少し圧迫感があるんですよね。それがこう、、、エリザベートの世界を観るのにはまっていたなぁと思いました。一つの別の次元を覗いている感じがしました。私は雪組のエリザベートは2回観劇したんですけど、そのときに受けた印象とはまるで違う舞台でしたし、心憎い演出も用意されていて、観る前に感じていた緊張はどこへやら、あっという間に「星組のエリザベート」「麻路さきのトート」の魅力にとりつかれていきました。
 初日の幕が降りた時にはかつてない程の満足感に満たされていて、それが嬉しくて泣けた泣けた。マリコさんのファンでいる事が誇らしくてたまらなかったです。感涙☆(;_;)

 ・・・というのは初日の感想で、主としてマリコさんの成功が嬉しかったというものなんですね。マリコふぁんとしての喜びというか。
 この後、ますます星組エリザベートに、星組のトートの世界にはまっていきます。マリコさんのファンなんだけど、更にマリコさんの演じる「トートのファン」になってしまったんですね。
 日を追っていくにつれ、それまで見えなかったことを、気づかなかったことをどんどん見つけていったのです。それは私がそれまで気がつかなかったこともあるだろうし、実は日がススムにつれてマリコさんの役の解釈に変化が出てきた事もあるかもとも思うのですが、観ながら私はどんどんどんどんトートの気持ちを掘り下げていったんです。
 一つのことに気がつくと、他の事ももっとよく見えてきて更に気がつくことが出てきます。それはもう充実した観劇が続きました。

 公演中に祖母が亡くなったんですけど、彼女は大往生だった事もありますが冷静に彼女の死を受け止められた覚えもあります。なんていうか「死」は決して怖くないように思えてきて。

 仕事中もふと気がつくと公演の事ばかり考えてましたね。で、「あ、そうか。あれはそういう事なんだ。」とか仕事中に新解釈に目覚めたりして、そしたらそれはメモしておいて、すぐにマリコさんへのお手紙に書きました。
 あの頃の私は「公演を見ていて私はこう感じた。トートはこうこうこうだからあぁしたんだと思えた。トートのこういう仕草が、あぁいう雰囲気が、そういった表情が好き。」というようなことを思い出せる限りお手紙に書くことがファンとしての勤め!みたいに思いつめてましたから。^_^;
 あやちゃんの退団公演という感傷的な気分もあって、とにかくあの公演中は心の中がぐるぐるぐるぐる渦巻いていた感じです。
 当時も幸せだったんですけど、今から考えてもそういういろいろな気持ちに浸れたあの時間はよかったなぁって思います。

 そんな感じで、この後続いていく観劇録は大劇場の初日から成長する舞台と共に、私の感想も成長していっている訳です。

 私のつたない文章から、星組のエリザベートが、マリコさんのトートがどんな風に深まっていったのかを少しでも感じていただければと思い、ほとんど修正しないまま当時の文章を載せています。特に最初の方はとんちんかんな感想を述べていたりするかもしれませんが、ご承知ください。
 ゆえに時間関係が今読むと変な感じがしますが、当時の時間の流れに身を置いて読んでいただけるとありがたいです。

  
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