宝塚星組公演
『エリザベート』
宝塚大劇場
15日〜19日目の感想 フィナーレ
大作のフィナーレ・・・・最近で思い出すのは『国境のない地図』・・・あれもなかなか素敵なフィナーレでしたが(なんせ巨匠はフィナーレがお上手)今回は『エリザベート』と書いた幕はなくとも^_^;、素敵なフィナーレになっています。
★第2幕★
★第16場A フィナーレ
歌う紳士 稔 幸 が下手花道からセリ上がり、フィナーレが始まります。
ノルさん(稔)の衣装は雪組版と同じもののようですが(実際は生地がもっとよくなっているらしかった。)ようにも、雪組版のときには銀色の変わり燕尾の下にマリコさん(麻路さき)が『国境のない地図』プロローグで使ったベストが使われていると思い込んでいたのですが、今回よく見てみるとどう見ても上着の裾に似たようなレースが縫いつけられているように見えました。デザインは似ていても実は新調されているのかも?
ノルさんがノーブルに「愛と死の輪舞」を歌い上げます。長い物語が終わったという安堵感の広がる、暖かなひとときです。直前の場面では険しく激しい皇帝を演じてらしたので余計にノルさんの笑顔にほっとします。
★第16場B フィナーレ
「キッチュ」の音楽にのせて、ロケットが始まります。振り付け・衣装共に雪組版と全く同じもののようです。順番に向きを替えたり、足をあげたりするところがとてもよく揃っていて気持ちがいいです。上級生から下級生まで、星組全員が一丸となってお稽古されてきたんだろうなぁ〜と見ていて嬉しくなります。
最後一列に並んだときに、上手の袖口あたりのひときわにこやかな笑顔の持ち主が斐貴きらちゃんだと思います。
★第16場C フィナーレ
上手・下手から8人の娘役が飛び出してきて、ハプスブルグの幕が二つに割れると、大階段上には髪をくくったトート姿のマリコさんがいて、その周りを娘役がベージュのドレス姿で囲んでいます。
マリコさんは胸元にフリルのついたベージュのブラウスに黒のスリムなパンツと膝上ブーツ。ブーツは本編でも使っているうちの一つで、膝当て部分にラインストーンの飾りがついています。赤い口紅をつけらていて、少し女性っぽい優しげな雰囲気です。
大階段でマリコさんがポーズをとり、周りを娘役達が飾ります。マリコさんがゆっくりと大階段を降りて本舞台にくると、一人先に降りてきたトンミちゃん(月影瞳)にもスポットがあたり、トンミちゃんがにこやかにマリコさんにかけより、後ろから抱きつきます。マリコさんが少し顔を後ろに向けながら、ニッコリと微笑みます。いったん離れた二人は別々に踊った後、再度近づくのですが、トンミちゃんが早いスピードでくるくるっとターンしながら近づいてきて、そのままマリコさんに支えて貰って背中をそらします。抱き上げて貰ったあと、寄り添うんですけど、トンミちゃんの幸せそうな笑顔とそれを優しく見守るマリコさんを見ていると暖かな空気が流れます。時間にすると短いのですが、大好きなシーンです。
トンミちゃんはそのまま他の娘役の中に戻って本舞台上で群舞にはいり、マリコさんは上手から銀橋を踊りながら渡ります。マリコさんが銀橋に立ってポーズを取ると、初日から暖かな拍手がわき上がりました。
音楽は「私だけに」を使っています。非常に優雅に編曲されていて、タキちゃん(出雲綾)と秋園美緒ちゃんのコーラスが夢のように美しく、幻想的
な世界が広がります。
★第16場D フィナーレ
マリコさんが本舞台に戻り、暗転すると、娘役が左右に別れながらマリコさんを隠し、素早くマリコさんは薄い茶色(濃いベージュ)の燕尾の上着を着せます。そして、「闇が広がる」の群舞が始まります。
ノルさんを中心にリカちゃん(紫吹淳)が上手、ブンちゃん(絵麻緒ゆう)が下手に立ち、男役が左右に分かれる中を大階段をゆっくり降りてきます。3人の衣装は前見頃に黒いラインが太く入り、そのサイドや燕尾の尻尾に光り物が増えて豪華になっています。
その間はマリコさんが一人で本舞台で踊っています。この時の振付は雪組版と全く同じだと思います。
ノルさん・リカちゃん・ブンちゃんとマリコさんが本舞台で踊るときの振り付けはイチロさんが大階段を一人で斜めに上っていったところもマリコさんは本舞台上で踊り続けているために新しい振付になっています。
先ほどとはうって替わって厳しい眼差しのマリコさんに釘付けになります。ここでもいたるところでその美しい指サキが光ります。
途中、多少音楽が長くなっていて、その分マリコさんは長く舞台上で踊っていることになります。もちろん、後ろで踊る3人も同様です。
そして、マリコさんが袖に消えると、大階段上の残りの男役さんが降りてきて雪組と同じ「闇が広がる」の群舞が始まります。マリコさんの袖への消え方がすごく雰囲気があっていつも注目しています。
さて、「闇が広がる」の群舞ですが、おそらくお稽古場では「揃える」ことをテーマに何度も何度もお稽古されたと思うんです。それくらい見事に揃っています。リカちゃんも初日付近はもっと揃っていたように思うんですが、言われてみると最近微妙にターンした後のくねりみたいなものが出ているようにも感じます。
★第16場E フィナーレ
「闇が広がる」の群舞が終わり、男役が舞台中央に揃うと、大階段上にはマリコさんが立っています。やはり先ほどと同じ髪をくくったトート姿で、落ち着いた赤色のビロード地に光る飾りがついた、シックな雰囲気の燕尾服を着ています。
まずはポーズ、その後、初日あたりは投げキッス風に手を動かしていたところ、今ではしっかり「投げキッス」そのものに変わりました。19日は11時も15時共「チュバッ☆」と投げキッスの音がマイクに入り、悩殺されてしまいました。
そして「おまえは俺と踊るさだめ」と歌いながらマリコさんが指し示した先には、セリあがってきたあやちゃん(白城あやか)がポーズを取っています。
あやちゃんはマリコさんとは生地違いの赤いこれまた落ち着いた色目のドレスで、光る飾りがついています。袖口は2人お揃いの柄になっていて、素敵です。
そして「国境のない地図」から始まり、二人のこれまでのデュエットダンスを回想するかのような振り付けのデュエットダンスが始まります。トンミちゃんの時には優しい暖かな笑顔だったマリコさんは、あやちゃんとの時はもっと熱い、情熱を秘めた微笑みを見せています。一方あやちゃんも安心しきったかのような落ち着いた微笑みを見せて円熟したトップコンビ振りを見せつけてくれます。
途中、スローなテンポで顔を寄せる風な振り付けのところなど離れがたい二人といった感じで千秋楽にはいったいどうなるんだろう〜と心配してしまいます。
最後曲調がアップテンポに変わると、二人がビシッとしたダンスを見せながら下手から銀橋に廻ります。まず銀橋の付け根でマリコさんが後ろからあやちゃんを抱きすくめる形でポーズを取り、マリコさんが一人で銀橋を走り抜けセンターを越えたあたりでジャンプして止まり、あやちゃんの方を振り向きます。あやちゃんがマリコさんを追う形で銀橋を渡り、最後はターンをして足を振り上げたあやちゃんが背中を反らせ、それをマリコさんが支えるという超格好いい終わり方です。二人がポーズするところは、舞台からと、客席からのスポットで照らされ、周りは暗いので二人が銀橋上で浮かび上がり、非常に立体感があります。しかも決まったところで客席側のスポットは消されるのでシルエットが浮かぶというおまけつき。ここの照明がとてもいいと思います。
二人は下手にはけていきますが、手をつないでマリコさんが先に銀橋を戻ると付け根であやちゃんをくぐらせ、先に通らせます。ここが、もうもう、男らしいんです。(*^^*)
★第17場 パレード
初日のRにも書きましたが、エトワールはトンミちゃんです。赤いドレスに赤いトーク帽で、今回は前髪を下ろした髪型になっています。トンミちゃんのエトワールといえば「国境のない地図」でもありましたが、その当時と比べてお歌がとっても滑らかになったなぁ〜と思います。
その後は 湖月わたる・久城彬・彩輝直→神田智・万理沙ひとみ・陵あきの→絵麻緒ゆう→紫吹淳→稔幸→白城あやか→麻路さき という順番でセンターから降りてきます。
ブンちゃん・リカちゃん・ノルさんは軍服姿。あやちゃんは1幕終わりの白いドレス姿。大階段上に大きく広がった白いドレスの裾が美しく思わずため息が出ます。
マリコさんは黒い変わり燕尾で胸元には光る飾りとクロスがついていて、靴はフィナーレCと同じ膝上ブーツです。背負った羽根は翼風の待望の黒色で、遠くから見ると大きな黒いハートを背負っているように見えます。羽根の後ろには薄い紗に金色の飾りの縫いつけられた布がつけられていて、後ろ姿もゴージャスになっています。
銀橋上でノルさんと挨拶した後、マリコさんはあやちゃんの手を取って、挨拶代わりに甲に口づけします。初日は驚いたらしいあやちゃんも今では慣れて、まず手の甲への口づけを受けてから、沈み込んで挨拶をするようになってます。数えてみれば大劇場で54回マリコさんは手の甲キッスをしてくださる訳ですね。東宝を入れると100回近い訳で、・・・・う〜ん、あやちゃんが羨ましい〜。
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というように、星組『エリザベート』のフィナーレは、雪組と似ているところもありますが組の性格に合わせて変更が加えられていて、またそれがドンピシャとはまっていると思います。「私だけに」と「最後のダンス」の使い方が入れ替わっているのがおもしろいと思いました。
本編でも堪能させてもらったマリコさんの美しさですが、フィナーレでも存分に見せて貰えて大満足です。小池先生は、フィナーレのセンスもなかなか素敵ですね。
先日のラジオ(AM神戸)『ビバタカラジェンヌ』はマリコさんがゲストだったんですが、フィナーレもトートとして踊っていらっしゃるんだそうです。
人間界では妖しく恐ろしいトートも、黄泉の世界ではおだやかに幸せに過ごしていらっしゃるのでしょうね・・・。エリザベートが来てくれたことで、トートにとって黄泉の世界は闇ではなく、光り輝く世界になっているのではないでしょうか・・・。
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