星組公演 『イコンの誘惑』
第1幕 (1/2)
バウホール・青年館、共に連日の大入りにファンとして嬉しい限りです。(*^_^*)
しかし、その人気のためにチケット入手が困難を究め、私もそんなに回数を重ねては観られませんでした。
この作品はミステリーっぽいので、明日の千秋楽が初見の方はお読みにならない方がよいかもしれません。
バウ・ホール公演と東京青年館公演で特に大きな変更はありませんでした。 ただ、バウ・ホールと青年館では舞台の大きさや客席数が違いますので、装置の配置の余裕だとか、出演者の演技の大きさに変化はあったと思います。そういう意味で、全体の印象には変化があったように思います。
それと、青年館の音響さんはタイミングは今ひとつずれていると思うことがよくありました。きっかけがあって「ポン」と音響・音楽が入るところに妙な間があく事が…。声もききづらい気がしますし…。
舞台装置は青年館の大きさがあっていると思うのですが、(青年館に合わせて作ってあるのでは…。)音響はバウ・ホールの方が良いと思いました。少し残念。
出演者は何のムリもなくそれぞれの役を演じていて、青年館にきて更にバランスが素晴らしくいい作品になっていると思います。
★ 第一幕 ★
☆ 第一場A 取調室 ☆
幕が開くと舞台上手のテーブルにタチアーナ(星奈優里)とワレンコフ刑事(にしき愛)がついて話しています。取調室とありますが、タチアーナが取調べを受けているのではなく、タチアーナが突然姿を消した夫レオナード(稔幸)の捜索の強化の依頼にきていたのです。きっと応接コーナーが空いてなかったので空いていた取調室を使っているのでしょう。(^^;)
タチアーナはアメリカに亡命した旧ソ連の名プリマ、その父親は有名な活動家でワレンコフは有名人の前で興奮気味。そこへもの悲しいメロディーにのせてタチアーナの父の作った詞が流れてきます。その詞のタイトルが「イコンの誘惑」だとタチアーナが告げるとどこかでパソコンのキーボードを叩いているレオナードに照明があたります。
舞台センター上部にはそのパソコン画面。流れる画面の中で「THE LUREOF ICON」というファイルを開くと、その中にはレオナードが作ったらしいイコン(聖象画)の紹介パンフレットが…。レオナードの口からイコンについて説明がなされ、美しいイコンがカラーで次々と現れます。そのまま音楽がノッってくるとそのままレオナードが立ち上がり歌い出します。歌うレオナードの後方上部には現れては消えるイコンたち。まるで映画のプロローグを見ているような雰囲気です。
最後にモノクロの写真がクローズアップされると、それはイコンを手にたたずむ一人の男………そう、その男こそがこの物語の主人公ミハイル・コルサコフ(麻路さき)なのです。
☆ 第一場B イコンの誘惑 ☆
パソコン画面が消えると舞台奥に本物のミハイルが同じポーズでたたずみ、彼にライトが当たります。と同時に周りにも何人もの男達が…。一斉に男役のダンスになります。これが……むちゃくちゃ格好いいんですぅ〜。\(*^^*)/音楽も振付ももちろん舞台上のみんなも。マリコさん(麻路)とノルさん(稔)がそれぞれ上下で男役を引き連れて踊る部分がありますが、マリコさんが上手側にいるときに音に合わせて前に両手を差し出すんですが、ちょうど手を差し出す辺りに座っているときにもう〜もう〜目で殺されてしまいました。射すくめられるっていいましょうか。こういうゾクゾク感はひさしぶりで、プロローグからメロメロですぅ〜。 始まりからプロローグのダンスにあたる導入がスムーズでみるみるウチに引き込まれていきました。
☆ 第二場 アルバート通り ☆
先ほど取調室に聞こえてきた歌を歌っていたのはドミートリ(高央りお)。彼と彼の仲間ラリーサ(万理沙ひとみ)イリーナ(原美笛)アナトリー(音羽椋)マリーナ(羽純るい)ジェーニャ(朝澄けい)セリョージャ(真飛聖)が街でイコンのレプリカを売っています。彼らはミハイルの経営するクラブで働く同僚で、中でも男の子達は神学校の先輩後輩らしい。彼らがふざけている周りには何やらテンポのいい音楽にのせて布教活動をする新興宗教もいたりして、ソ連はロシアになって急速に変わったのを感じます。ドミトリーは真面目な風ですが、他の男の子たちは軽めで、会話を聞いているとドミトリーは学校を卒業したけれど他の子たちは中退らしいです。今時の若者といった風の軽いノリのオトコちゃん(音羽)たちというのが新鮮に思えて面白さが増してきました。なにせ何かと重厚な芝居の多い星組なもので…。そういう星組が好きだけど、こういうのも見たかったんです。 そこへ身なりのよい彼らに言わせると”カモ”なアメリカ人が通りかかります。タチアーナです。下手な英語で話しかけるアナトリーにロシア語でピシパシ答えるタチアーナ。ワレンコフ刑事は知っていてもアナトリー達のような若者はかつての名プリマを知らないようです。行方不明の夫レオナードがイコンの買い付けを仕事にしていた事があり、タチアーナはアナトリー達にイコン売買のルートを教えて欲しいと頼みます。アナトリー達はこの後仕事があるので、仕事が終わるころ店で落ち合う事を約束して別れました。
☆ 第三場 クラブ「ゴールデン・エンジェル」 ☆
その店、ゴールデン・エンジェルはロシアで人気のクラブ。セクシーなダンサーが踊り、カジノもある酒場です。正面の壁にゴールデン・エンジェル=金髪の天使ガブリエルのイコンがあるためそう名付けられたようです。
ダンサーの中心にいるのがヴェラ(朋舞花)周りで踊るコーラスガール(亜づさ真鈴・真澄うらら・美乃杏花・彩愛ひかる・涼乃かつき・陽色萌)と共にそこはかとないお色気を振りまいて歌い踊ります。この歌でクラブの事が説明されています。さっきの若者達はこのクラブのディーラー&ホステスのようです。このヴェラが実に自然で、ちよさんが生き生きしてみえていい感じです。
歌の最後でカジノ客の一人(朝峰ひかり)が大きな賭に負けてお金が払えずどん底状態に…。きんさんの男役はなんだかお久しぶりでそれだけでおもしろいんです。 …とそこにこのクラブのオーナーミハイルが登場。「もっと楽しもうぜ〜!」と客をみんなで盛り上げてラストチャンス!ともう一度賭けを。これで更に負けたら極悪クラブということになりますが、ちゃ〜んと勝たせてあげるんですよぉ〜。クラブ「ゴールデン・エンジェル」は誰もが心から楽しめるクラブのようです。
このとき、一人の客(彩輝直)が入ってきます。手にもつカバンから出したイコンは、クラブの象徴「ゴールデン・エンジェル」と同じモノです。客はあわてていてそこに並んでいたイコンのレプリカを落としますが、よく見ていると手にしたイコンをレプリカと混ぜているのが分かります。つまり彼は自分のイコンを隠した訳です。で、新たに店のイコンのレプリカを買い求めたところで「パブロフッ!」と追いかけてきた男に呼び止められます。しかも銃をつきつけられて。逃げ出すパブロフを追いかけ男も店から飛び出していきますが、その男を見てミハイルが「クリモフッ!?」と驚いて叫び、ミハイルも飛び出していくのです。何か事件にミハイルも巻き込まれたのでしょうか…。
☆ 第四場 クラブ「ゴールデン・エンジェル」裏手 ☆
ミハイルはクリモフ(久城彬)を止め、「久しぶりだな」と呼びかけます。クリモフは元KGBで、ミハイルは過去にクリモフの手によって収容所に入れられていた事があるようです。しかし時代は変わり、今やミハイルは成功したクラブのオーナー。クリモフはひがみっぽくからみます。
パブロフも元KGBでKGBの財産を持ち逃げしようとしたらしい。押し問答になるところでこの辺りをなわばりとするマフィアのボスのボリス(千秋慎)が登場。これが、ものすごく体格のいい人でこれがミッキさんだとは信じられないくらいでっかい腹。会場爆笑です。ボリスが茶目っ気たっぷりに、でも迫力満点にクリモフをいなし、クリモフはその場から立ち去ります。一件落着か…と気を許したところで、おそらくクリモフらしい銃弾にパブロフが倒れます。そして死に際に「ガブリエル」と叫んで息絶えました。
慌ててでてきたクラブの若者チーム。いきなりの死人にびっくり、逃げようとするくらいです。が、ボリスに「始末しろ!」なんて言われて可哀想。ヴェラも出てきてひとまず店の中に…。ヴェラはどうもボリスの愛人らしいです。
☆ 第五場 クラブ「ゴールデン・エンジェル」 ☆
パブロフの事など、びっくりする事ばかりでしたが、本日の営業は終了。閉店の音楽をかけろ!とミハイルに指示されて、ラリーサがコンポのリモコンをピッ!流れてきた曲は「OH!人事!」のCMでおなじみのチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」…するとミハイルの顔色が変わります。「チャイコフスキーは嫌いだ。」と音楽を止めさせ、ミハイルはつらそうな顔で店の奥に入ってしまいました。ラリーサはいつもの曲と気分を変えようと思って自分の好きな曲をかけたのですが、まさかのミハイルの反応にびっくり。落ち込むラリーサをヴェラがそれは彼にとって特別な曲だから…となぐさめます。ミハイルは昔有名なバレエダンサーで、その曲はパートナーとの思い出の曲だと。ヴェラはミハイルの最初のパートナーで弦楽セレナーデの時のパートナーは別の人。「ヴェラではないの?」というみんなの言葉に「そうだったらよかったのに…。」とつぶやくヴェラは、ミハイルを愛していたのでしょうか…。
そこへ、タチアーナがやってきます。驚くヴェラ。タチアーナこそがミハイルと「セレナーデ」を踊ったパートナーだから。そこへ「ラリーサ、さっきは悪かったな。」とミハイルが入ってきて、2人は運命の再会を果たします。
ミハイルとタチアーナはどんな関係だったのか、何故別れたのかが回想で語られます。
★Nifty−serveより転載★
戻る つづき