星組公演 『イコンの誘惑』
第2幕 (2/2)
☆ 第六場 アルバート通り ☆
一人になったミハイルは、自分がそうし向けたとはいえ、タチアーナが行ってしまった事が相当堪えているようでした。あふれる愛を歌に託してタチアーナへの思いを再び封じ込めようとするミハイル。最後に歌ったゴールデン・エンジェルの悲しい歌声と共に、ミハイルの恋は終わりを告げたのでした。
☆ 第七場 クラブ「ゴールデン・エンジェル」 ☆
一方クラブゴールデン・エンジェルではドミトリー達がイコンの謎を解こうとがんばっています。パソコンが出来なくて今時のマフィアはつとまらない!とばかりにボリスの部下のみみちゃんががんばっています。やはりガブリエルのところでつまづいてしまうのですが…。ここでドミートリがガブリエルのイコンがすり替えられていた事に気が付きます。パブロフがあの日このクラブでガブリエルのレプリカを落としたのはわざとで、本物のパスワードを含むイコンを隠すカモフラージュだった訳です。本物はちゃっかりクラブに飾られたままになっていたのでした。
早速新パスワードを入れてみるのですが、パソコンの周りにみんながむらがるとミハイルの背中をボリスが押したりしてミハイルにうっとおしがられる…なんてお茶目なことが始まります。
新しいパスワードを入れてみると見事隠し口座にアクセス成功!となり、「おぉ5000万ドルだぁ!」と大喜び。…がそれもつかのま、実際はパブロフがかなりの額を使い込んでいて、残っていたのは7万ドルだったのでした。はした金…とがっかりするボリス。でもすぐに「7万ドル…クフフッまっいっか!」ととらぬ狸の皮算用に走り、「それはドミトリーのものだぞ!」とミハイルに怒られます。ちなみにドルが米ドルだとすると約1000万円なので、ボリスにとってははした金でもドミトリーにとってはすごい額だと思います。
その金を元に、ミハイルはドミトリーにクラブを教会に直してお前達で再建しろ!と宣言、周り中が驚きます。でもミハイルは以前からガブリエルの壁画が自分に何かを頼んでいるような気がしていて、それが教会を再建する事だと気が付いたのでした。
店を閉める事を決めて、一人その場に残ったミハイルがふと音楽をかけると、今回の事件の発端ともいうべき「弦楽セレナーデ」が流れてきました。ラリーサがいつものラフマニノフに戻さずにいたのです。ふと、若い頃を思いだしたのか、ミハイルはその場で「セレナーデ」を踊ってみます。振付が思い出せなくて途中で止まると、「私が踊るわ…」との声が。レオナードについてアメリカに帰ったはずのタチアーナがそこに立っていたのです。
タチアーナはレオナードと別れた…いいえ、別れを告げられたのでした。というか、やはりタチアーナは本当はミハイルを愛していたのだけれども、一時でも夫婦となったレオナードを見捨てることはできなくて、それを愛だと信じていたのでは…と思います。実際、それも愛だと思います。が、レオナードに別れを告げられ(それもレオナードの愛ゆえだと思いますが…)本当に愛しているミハイルの元に帰ってくることができました。
ここでも二人はストレートには愛を表現しません。
「私が踊ってみる。」と踊りだしたタチアーナを見つめるミハイルの目が愛を語り、将来の夢を語るミハイルを見つめるタチアーナの目が愛を語り、自分と同じ夢を追いかけると言うタチアーナの言葉にミハイルは喜び、「第3の人生は長いぞ」というミハイルの言葉にタチアーナは胸を躍らせ、最後に熱い抱擁、そして熱い熱いキス…そして−幕−。序々に序々に高まっていく愛が客席に伝わってきて、割れんばかりの拍手で終わるのでした。
ミハイルがタチアーナの手を取って抱きしめ…キス…この間オペラを降ろす事が出来なくて、どうしても毎回拍手が遅れガチになるマリコふぁん続出だったと思います。この幕の閉め方は最高でしたよ…>小池先生(*^_^*)
番外: この直前、「第3の人生は長いぞ」というミハイルに手を差し出すまでのタチアーナは一人でくるくる回ったりしてお辞儀してからおもむろに手を差し出すんです…タチアーナってちょっとすごいといつも思ったものです。(^^;)その後の抱擁とキスで全てはO.K.になるのでいいんですけどねぇ〜。
☆★☆
最後についているフィナーレがまた見事。
まず再び幕が開くとタキシードの男役が一列に立っていてそのシルエットの美しいこと。音楽に合わせて少しずつ動くのですが、綺麗にタイミングがあっていてうっとりです。そして一番奥に立つのはノルさん。そうして男役の格好いいダンスが始まるのかと思ったら、今度は白いロングドレスの娘役も登場してノーブルなダンススーンが繰り広げられます。ノルさんはちよさん(朋舞花)と同期カップル。ハッチさん(夏美よう)はじゅんこさん(英真なおき)と組長・副組長カップル。(こんなに美しい組長・副組長カップルなんて☆★)さえちゃん(彩輝直)はみんつ(万理沙ひとみ)と踊っていました。
音楽もノリがいいながらも格調高くて、胸躍る場面になっていました。
終わると一旦音楽が消え全員で客席にご挨拶。そして、下手奥に全員が手をさしのべます。
下手奥の階段の上に白い燕尾服を少し崩して中にはV字のシャツとキラキラベスト、首に太めのキラキラチョーカーをつけたマリコさんの登場です。(このV字シャツは発想はいいけど生地がいただけない感じでした。)
マリコさんが主題歌をしみじみと歌った後、上手に白いロングドレスの優里ちゃんが登場。二人で白いスモークの焚かれる中をゆったりとしたデュエットダンスになりました。こういう二人っきりでホリゾントいっぱいに踊るデュエットダンスを望んでいたので、最後にこんなにしっかり踊ってくれて本当に嬉しかったです。
途中、二人で顔を見合わせおでこをこつんとあわせてから手をつないで後ろに走っていく…という振付があったんですが、二人の間に流れる空気が本当に暖かくて微笑ましいシーンでした。
踊り終わると二人で客席に挨拶。お互いに挨拶。そして優里ちゃんがはけていくと、そのままマリコさんが残って最後のラインナップに突入します。
物語の中で主に若者チームが歌い踊っていた曲に合わせて、みんなが幾人かずつでてくるとマリコさんが迎え入れるパターン。オトコちゃん・にゃんちゃん・エンディーが出てきた時に、肩から流れるように垂らす羽根飾りをつけてくれるんですけど、たま〜につけるのがうまくいかない時がありました。
みんなマリコさんと絡んで何かやってくれるんですが、ゲオルギーとオリガがでてきたときには最初銃をつきつけられたようにされて一緒にでてきて握手を求められるとすっごく嬉しそうにするミハイルでした。バウの千秋楽のときは、レオナードと抱き合っていたような気がしますし、タチアーナはいつも大切にエスコートしていました。
音的には裏打ちの手拍手でいいと思うのですが、大抵逆になってしまってました。でも、途中から生徒さんが裏打ちし始めるのでそこで必ずヨタヨタします。バウの千秋楽付近だけは裏打ちから始まっていたようだったのですが青年館にくるとまた客席は元に戻っていました。でも裏打ちだろうとなかろうと、いつも楽しいフィナーレでした。盛り上がったままで幕が降りていくパターンだったのですが、青年館ではこのときに幕の外に突き出すのが生徒さんの中で流行っていたみたいで、マリコさんもときどき突き出されてあわてて幕の中に入っていました。
毎回毎回必ずアンコールが入り、千秋楽の盛り上がりは他の方のご報告にあったとおり、本当に楽しい見応えのある公演となりました。(*^_^*)
小池先生のオリジナル。小池先生の潤色はいいと思うんですけど、オリジナルには一抹の不安があったりした初日前でしたが、蓋を開けてみれば会心の一本になっていたと思います。主演・上級生だけでなくすみずみまで役が行き渡っていて、それぞれに好演で、装置・転換・音楽共におもしろく、もちろん主演のマリコさんの最後の男役として、ファンもおそらくご本人も満足されたであろう人物像。最後にこの作品に出会えて私も本当に嬉しかったです。
★Nifty−serveより転載★
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