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Super sub

Date : 2000.11.10 00:09:07


【以前に書いた関連記事(→「Responce」) >>】

スーパーサブという言葉が使われはじめたのはオフト監督率いる日本代表チームがアメリカW杯に向けて戦っているときだったと思う。
背番号16をつけた中山雅史は途中出場ながら多くのゴールを決め、何回も日本代表チームの窮地を救った。
マスコミは彼を「スーパーサブ」ともてはやした。
つまりスーパーサブとは試合の途中から出場し、試合の流れを変えることのできる選手のことを指す。

世界のプロサッカーリーグでプレーするブラジル人のうち、試合中にもっとも多くボールを踏んで転んだ選手はナシメントであることに異論を唱える人はいないだろう。

たしかにナシメントはブラジル人にしては足元のプレーが不安定である。
単純なトラップミスも多いし、ドリブルミスというなかなか見られないミスをすることも決して少なくない。

対して深沢はどうだろうか。少なくともナシメントより足元の技術がしっかりしていることは間違いないと思う。

昨シーズンの序盤は1ー0という先行逃げ切りで多くの勝ち星を挙げてきた新潟だったが、逆に先行されると滅法弱かった。初めて逆転で勝利をあげたのは第34節のH大分戦。同点ゴールを決めることすらなかなかできない状況で、サブの充実、スーパーサブの出現を求めた人は少なくなかったと思う。
僕もその一人だった。

夏場に調子を崩した鳴尾がスーパーサブとして交代出場をしていた時期もあった。豊富な運動量を誇る鳴尾が後半から出場すると試合の流れが変わることは多かった。しかし鳴尾をベンチに座らせておく余裕はまったくなかった。

鳴尾と中山にはいくつかプレースタイルに共通点があると思う。
前線からの執拗なチェイシング、無理な体勢からのシュート、最後まで諦めない闘争心。そして運動量の多さ。
とにかく走ることでスペースを作り、パスコースを作り、敵を撹乱させる。
これがスーパーサブとして決して欠くことのできない資質なのではないか。

そこで話しをナシメントに戻す。ナシメントは今のチームにスーパーサブとして欠かせない戦力であると思う。
ナシメントはトリッキーなミスは犯すが、基本的にトリッキーなプレーは狙わない。あくまでも真面目に自分の役割をこなそうとする。献身的に相手にチェックにいき、ボールを追いかけることを繰り返す。

そしてナシメントのゴールした場面を調べてみると、面白いことが分かる。とにかく2つのVゴールを含め、終了間際のゴールが多い。
先制ゴールはA山形戦のみ。H大分戦、A浦和戦は同点ゴール、A湘南戦のVゴール、H湘南戦での終了間際のゴールとVゴール、A大分での終了間際のゴール。

そしてナシメントが登場する際のゴール裏からのナシメントの入場曲にも触れないわけにはいかないだろう。オー、ナシメントと題されたその歌の歌詞は「オー、ナシメント、オー、ナシメント、何をするか予測不能、 それが俺達のナシメント」というもの。
原曲は「オーシャンゼリゼ」だが、このメロディは非常に歌いやすいようでゴール裏から一際大きな声で歌われる。メインスタンドやバックスタンドもまきこんで。
歌詞も非常に素晴らしいが、この歌の最も素晴らしい点はスタジアムの空気を変えることができる点であると思う。
つまりナシメントの途中出場はピッチ上にもならず、スタジアムの雰囲気も変えることができる。スタジアムの雰囲気は確実にピッチに届けられる。
ナシメント以上に試合の流れを変えることのできる選手が今のチームにいるだろうか。

深沢はたしかに技術は優れている。ピッチの上でも一生懸命走っている。
ただ、深沢からはチームで崩すという気持ちが感じられないのが正直なところだ。
戦術理解というより、もっと深いところでチームに打ち解けていないのではないだろうか。ピッチ上で空回りを続ける深沢を見るのは辛い。