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 クエスト13 「エピローグ」
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 あの日塔で起こった出来事は、大帝の血の秘密と共に四人の胸に永久に封印された。ナザルガザル村へ戻った四人はリリルの母親の墓を作り、溢れる花で飾った。サガとナツキはその後しばらく逗留した後、それぞれの道へと旅立っていった。滅び去った帝国の記憶は、完全にこの世から消え去った。

 * * *

◆ナザルのヴォイス
 ハンターズギルドにあるハンター名鑑筆頭を飾る彼の業績は、今日をしてなお色褪せることは無い。満足な装備も無い暗黒期にあって、飛竜など大型モンスターの討伐数は記録の残るものだけでも優に数百を超えている。後進の育成にも力を注ぎ、ナザルガザル村は当時最大規模を誇るモンスターへの反抗拠点となっていった。祖師となったヴォイスの師門からは、覇竜殺しのゾルガ、海神ラーカス、白き炎フェリスカヤなど数多くの英傑が輩出され、モンスターハンターの第一黄金期、ギルドナイツの時代の礎を築いた。ナザルガザル出身のハンターはナザル衆と呼ばれ、今日でもギルドナイトの半数はナザルガザルで鍛えられたハンターだと噂される。

◆リリル
 悪夢にうなされる夜は、あの日を境に消え去った。その後もヴォイスを養父としてナザルガザル村で暮らし、村一番の美しい娘に成長したという。村がハンター修行の聖地となる頃、彼女はナザルガザル村のギルドマネージャーとなり若手ハンターたちを支援した。やがて彼女は、心優しい村の農夫と結婚し、子宝に恵まれた幸せな生涯を送ったという。

◆サガ
 貿易商の実家に戻ったサガは、その財力、人脈を活用しハンターズギルドを創設した。経緯について伝承は残っていないが、彼はナザルのヴォイスと親交が深かったという。ナザルガザルで鍛えられたハンターたちを受け入れ、ギルド専属のハンター集団ギルドナイツを創設し、モンスターハンターの少なかった暗黒後期、多くの村々をモンスターの脅威から救った。一方サガ本人は武器の開発や装備の研究に一生を捧げ、ハンターズギルド創設後も、知識集成のため各地を旅して歩いたという。今日モンスターハンターが用いる武器、アイテムの多くは、彼の足跡に負うところ大である。

◆ナツキ
 放浪のライトボウガン使い・ナツキに関する正確な伝承は残されていない。ただ、初期のハンターズギルドの記録に、有益な情報をもたらす赤毛の女ハンターの記述が所々記されている。その女ハンターは、絶世の美貌とプロポーションを持ちながら、どんな厳つい荒くれ男でも尻尾を巻いて逃げ出すほどの凄腕ハンターだったという。彼女は何処へ行き、どうなったのか、その消息は分からない。

◆古龍観測所
 そして、ハンターズギルドが設立されるのと時を同じくして、謎の結社・古龍観測所が設立された。組織が生まれた経緯、資金源は一切謎に包まれている。設立当時、その構成員は総て竜人族が占めていた。そしてその創設者は、常に黒衣を身に纏う、鋭い眼光を持つ隻腕の竜人族だと噂された。

 * * *

 ミナガルデ、ドンドルマ、メゼポルタ、ロックラック。ハンターが集う街では、今日もハンターズギルドがモンスター討伐のために活動している。酒場を兼ねた集会場の壁には、今も一枚のポスターが貼られている。モンスターの影に怯え泣いている少女。そのポスターにはこう書かれていた。
『集え、モンスターハンター!』



〜 モンスターハンター・ゼロ 〜
        終わり
 

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For the best creative work