PART Z
突然5月
しばらくアップをサボっていたが、それはとりも直さず黒棒の調子が落ち着いているということである。餌のことをあれこれと書いたが、結局落ち着いたのは「K社のすり餌6分+K社のさえずりの素(ピーナツ粉)+けっこう多めの青菜(小松菜が多いが時々他の野菜やくだものもやる)+たまに卵」それに、唯一の栄養剤「ネクトンQ」、あとは毛虫、イモムシ、ミルワームをたくさん、という献立である。それでだいぶよくなってきた。一番ひどかったくちばしはきれいに戻ったし、4月に換羽して尾羽以外はだいぶきれいになってきた。
尾羽だけはどうしてもボサボサだが、飛ぶのに支障はないようだ。ただでさえみすぼらしいのに、ケージの側面に止まって尾羽を開くクセがあるので、ケージでこすれてますますボロボロになってしまう。そこでいつも尾羽が出る部分に包帯をはりめぐらして、尾羽が出ないようにした。これでこすれるのは防げたが、生えてきたときから折れたりまばらだったりしているものはしょうがない。せめて今あるものを大事にしよう。でも、飛翔能力はどんどんついてきていると思う。
餌探し&飛行訓練 黒棒が遠くに止まっているとき、部屋のどこかにミルワームを置く。
すぐに一直線に飛んでくるようになった。
これは、写真撮影のため、わざと見つけやすいざぶとんの上に置いているが
普段はもっと見えにくいところに置く。
部屋の中で放すと、わざと狭いところをくぐり抜け、上を下へと遠回りしたりして、飛ぶこと自体を楽しんでいるようだ。けっこう飛べるようになってきたので、放野できるかなと期待している。
6月の黒棒
黒棒の調子はかなりよい。ビュンビュン飛び回っている。ところが、狭いところをすり抜けたり急激な方向転換をしたり、果てはムササビむー夢の鼻っ先をひっぱたいたりしているものだから、またまた羽がボサボサしてきた。それでも飛行能力は衰えていない。ただ、少しは学習したらしく、このごろふんわりゆっくり飛ぶようになった。広いところで好きなように飛びたいのだろうな。時々ホトトギスらしい鳴き声を発するようになったが、(ということはやはりオス?)でも、どうも調子っぱずれだ。やはり手本がないからな。昨日センターに行ったら2羽のホトトギスが盛んに鳴いていた。黒棒も早く仲間に加わりたいだろうな……。
悪食黒棒のお食事シーン!
センターのみんなが協力して毛虫を集めてくれている。きのうはHさんが「“ちゃぐちゃぐ馬っこ”みたいにド派手な毛虫と4メートルほどもある巨大毛虫」をつかまえたからと言って持ってきてくれた。たしかにどでかい。でも4メートルはないぞ。せいぜい7センチほど。それから「ちゃぐちゃぐ馬っこ毛虫」は確かにすごく派手!豪華絢爛!私は思わず「小林幸子毛虫」と叫んでしまったのだけど……。その2匹を、召し上がっていただいた。
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| うぉ〜い、こんなにでっかいの久しぶりだぜぃ! うまそ〜! |
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| ゴシゴシ、ゴシゴシ…… こすりつけて少し毛を落とそう |
ブルンブルン、ビシバシッ…… 振り回して動けなくしてやる〜 あ、後ろに毛虫汁が飛んじゃった おや、前にもう1匹いるな。 早くこいつをやっつけないと。 |
さあ、やっと料理は終わり。 5分もかかっちまったぜ。 いよいよいただくぞ! ごっくん う、うぐっ……頭が入らね〜! |
そして放野
黒棒は上記のごとくビュンビュン飛ぶようになった。毛虫も何とか見つけられそうだ。羽の状態など決して完璧とは言えないが、このままうちに置いておいてもこれ以上よくはならないような気がする。今が今までで最高の状態だ。放野して生き延びられる可能性は恐らくそんなに高くはないだろう。でも、その可能性がたとえ半分でも1割だったとしても、このままカゴの鳥で終るよりはよいのではないだろうか。あとは黒棒の生命力と適応力、そして運にかけるしかない。私たちはセンターの職員や獣医さんと相談して、放野を決めた。
7月22日(土)保護場所である箱根までドライブ。黒棒はケージの中でおとなしくしている。本当におとなしい。そして、放野場所に到着してからも異様におとなしい!またうちに来た当時の「どって〜ん病」が出てしまった!
ケージの戸を開けてやるが一向に出てこない。近くにいた毛虫をごちそうすると、それは食べようとする。(が、勢い余ってふっとばしてしまった!)しかし、外には出ない。やむを得ずケージの上をはずす。それでもボーーーッと
空を見ている。もしかしたら、「こんな面倒くさそうなとこやだっ!」と思っていたのかもしれない。強情に座り込んだままだ。とうとう、手の上に載せて外に出し、近くの枝に止める。それでもキョロキョロしながら座り込んでいた。もう少し高いところにでも移してやろうかと思って手を伸ばしたら、つと近くの笹薮の中にまぎれこんだ!のぞくと奥の方の枝に止まっている。もう人の手は届かない。いくら待ってももう動かない。しかたがない。お腹がすいてくれば何とか動くだろう。幸い近くに大きな毛虫はいっぱいいる。あとは自分でやっていくしかない。放野と同時にサッと飛んでいかなかったのは、ちょっと物足りないけど、考えてみれば外の世界に慣れるまでは、外的に見つかりにくい笹薮の中の方がいいかもしれない。
いつまで見ていても変わりないので、仕方なく帰ることにする。デジカメは2台とも子どもが使っており、普通のカメラは壊れてしまって、1枚も撮影できなかったのが残念。
これで、黒棒の記録を終ります。
毛虫捕りに強力していただいた皆様、本当に有難うございました。