はじめての長期里子は、脚の折れたムクドリでした。
彼(彼女?)は今年の春生まれた子。でも何らかの理由で右脚が不自由になり、そのために止まり木に止まることができません。左脚もどうやら力が弱いようです。そのためいつも床を這いまわっています。羽も擦り切れてしまうので、お腹は赤剥け状態。翼もきちんと生えていないので、飛ぶこともできません。それでもそれなりに症状は落ち着いており、痛みなどは今はないようです。旺盛な食欲を見せ、私たちによくなつき、精一杯毎日を生きています。

野生に返すことはできないので、一生私たちの家族として暮らすことになりました。どうか一緒に応援してやってください。


※ポッキーちゃんのプロフィール

1999年晩春生まれ。ごく小さいヒナのときに拾われ、その後しばらくどなたかに飼われていたようです。保護の施設に来たときにはもう足は立たない状態でした。他の里親さんのところでしばらくお世話になっていましたが、最終的にわが家に落ち着くことになりました。施設に来たときは足がパキパキに折れているということで「バッキー」と呼ばれていましたが、我が家は代々鳥にはお菓子の名前をつけるしきたりがありますので、バッキーあらため「ポッキー」としました。
右足は付け根から真横の方に伸びてしまい、かすかに動かせるものの、全く自由にはなりません。左足は動かせますが、とても体重を支えることはできず、いつも左足だけを動かすので、体は必ず右回りに回っていってしまいます。翼もまともに伸びていないので、さかんに羽ばたくのですが、体を持ち上げることはできません。それでも活発に動きまわります。



※ポッキーちゃんの一日
ポッキーちゃんの餌餌は、ドッグフードとマイナーフードを水に浸して柔らかくしたもの。これに栄養剤とカルシウムと整腸剤を少々混ぜています。それに、季節の野菜と果物。パン、昆虫をバランスよく食べさせています。食欲は旺盛で、縁の低いお皿に入れておくと自分で食べることもできます。水は入れっぱなしにするとぶつかってこぼすので、随時与えています。

毎日お風呂に入ります。お風呂といっても水浴びですが、自分ですることはできないので、介助してやります。床にべったりとお腹をつけたままかなり活発に動きまわるので、すぐに汚れてしまいます。こまめに洗ってやらないと、「床擦れ」ができてしまうでしょう。

できるだけ声をかけるようにしています。もうすっかり顔を覚えて、声を聞いただけで反応したり、手の中で安心しきってぐっすり眠ってしまうのを見るとかわいいものです。ついでに言葉を覚えてくれないかなぁという目論見もあります。そう、ムクドリは九官鳥と同じ仲間なので、ものまねが得意なのです。しかし、ポッキーはとても静かで無口な子です。(ドラちゃんとは大違い!)言葉は無理かも知れませんね。


※ちょっとした工夫
ポッキーは床を這い回っているので、お腹にタコができてしまい、羽もなかなか生えてきません。そこで、シュレッダーで細かく裂いた紙を入れてみることにしました。これは非常によく効き、わずか2日でお腹のタコが消えました。また羽も少しずつ伸びはじめました。お腹をこすってしまう子にはこの方法がよいかもわかりませんね。おかげで餌も食べやすくなりましたし、自分のフンで汚れることもとても少なくなりました。



※そして突然の別れ

シュレッダーを敷くようにしてから、体調もよくなり、羽も伸び初めてその回復を楽しみにしていたのですが、別れは突然やってきました。9月19日の朝でした。ポッキーはいつも私の枕もとで寝ています。私が目を覚ましたとき、真っ先にのぞいて見るのです。この日の朝、おはようと声をかけながら掛けてあるタオルをはずすと、もう…………。 

どうやらたった今死んだばかりというところでした。体はまだほんのり温かく、眼も半開きになっていました。しかし、なすすべのないことは明白でした。私はそっと眼を閉じてやり、一人で逝ったポッキーに別れを告げたのでした。わずか55日間の里子でした。

やはりこの体ではいろいろストレスがあったのでしょう。元気そうに見せていても、その無理は少しずつたまってくるのでしょうか。しかし、わずかな間でいろいろなことを学ばせてくれました。傷病鳥獣の救護は預かった里子をうまく育て、放野することだけに意義があるのではありません。彼らからできるだけ多くのことを学んでおくことが大切です。そういう意味でポッキーはとても大きな役割を果たしてくれたのです。



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