傷病鳥獣保護ボランティア


   短期里親の記録
     =「ドラ(ムクドリのひな)」編= 



        おいらがムクドリのドラ 
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3 週 目


画像が多いので開くのに若干時間がかかります。


7月29日(水) 15日目

食べたもの 基本食+トマト+レタス+キュウリ+梨
観察 ・余りにも食欲が旺盛なのでミルワームは1回に20〜30匹与える。
・鳥かごの外に出すと好奇心旺盛で、いろいろなものに興味を示す。
・鳴き声の種類が増える。「ギューィ」という声や「ヒョォ」というような高い声をときどき出す。
・鳥かごの外で、少し弱らせた蛾を近くで放してみたら、みごとキャッチできた。


 頂きもののメロンが箱に入れてあるが、そこへ行って盛んに箱をつついていた。最後はあきらめたようだが、分かってらっしゃる……!


coffee break 4
◎センターの仲良し獣医さんより

 ムクドリの母ことHさんに会う予定だったので、お答えいただきました。以下、Hさんのアドバイスです・・・。

その1  ミルワームについて
 そんな、10匹だなんて・・・。とにかくドシャーッとやってしまっていいのよ〜。ムクドリは基本的には昆虫食だから大人になったってミルワームはやるのよ。

その2  食べ過ぎでお腹をこわす、水分の多い糞について
 食べ過ぎなんてないわよ!雛でもいらなければ口をあけないし、自力採餌出来るようになってからはお腹がいっぱいなら食べません。ムクドリはみんな糞は水分が多いので、それも心配なし。(ムクドリは飼鳥的にいうと、軟食鳥です。インコや文鳥のようにポッコリとした締まった糞はあまりでません。水分の多い糞で普通です。水分が多いのであって、いわゆる下痢糞とは区別しなければいけません。
 獣医さん談)ちなみにだんご虫を食べた後は、糞がまっくろになるようです。

その3  食べる順序などについて
 ムクドリは好き嫌いがあるので、色々なものを同時にやると自然に食べる順序が決まってしまいます。基本食は大きくなってくるとあまり食べなくなる子が多いようです。でも、食べないからやらないのではなく、自分で気の向いたときにつつけるように入れておいてあげればよいのではないでしょうか。

その4  尾羽根がボサボサについて
 水浴びはさせていますか。水浴びをしないとなかなか羽根がきれいになりません。うちのムクドリも、2,3日水浴びをさせないと何となく汚れてるし、尾羽根もまっすぐのびません。水浴びして羽づくろいすると、ボサボサでなんだか横の方向いて曲がっちゃった尾羽根もアイロンをかけたようにまっすぐのびます。

その5  その他
 初めて育てられたから、驚かれたのかもれないけど、ムクドリは大食いですよ!!!それは元気な証拠&それでこそムクドリです。私なんかだんご虫を1日100匹とってました。これも部屋のあちこちに隠すんだけど、あれよという間に見つけてあっという間に全てお腹の中・・・。青虫を与えた時はくわえてブルンブルン、ビタンビタンと振り回してたたきつけ、青虫の青汁をあちこちにとばしてくれた後、ツルンッと喉ごしよさそうに飲み込みます。毛虫は喉ごしが悪いのかあまりお好きでないようです(一生懸命止まり木に毛をこすりつけてとっている)。

 里親さんの一番の悩み・・・それは慣れてしまうこと。愛情かけなきゃいけないし、でもそれに比例してなついてしまう。これは、永遠の矛盾だと思います。でも、意識として慣れすぎないようにしよう、というのは忘れずにいていただきたいと思います。ムクドリの母も今年はヒヨドリに挑戦し、ただいま子育て中。3羽の小ギャングにまとわりつかれ、大変〜と言いながらも楽しそうです。無事育っているのだし、あまり神経質にならずに楽しみましょう。



ドラの餌採り訓練開始

止まり木の膨らんで休むドラ

時計に興味を示すドラ


7月30日(木) 16日目

食べたもの 基本食+キャベツ+キュウリ+梨
観察 ・水浴用の器をやっと購入し、少し小さいかと思ったが上手に使っている。最初に水を飲み、その後顔だけプルプルと洗う。そして全身を水に浸してパシャパシャ。何度も入る。すぐに乾くかどうか心配だったが、30分ほどで綺麗になっていた。でも、しばらくするとまた水浴びをする。2時間ほどの間に3回水浴びをする。
・キュウリやキャベツは余り好まない。梨ばかり、より分けて食べてしまう。全部なくなるとしぶしぶキュウリも食べる。
・蛾は鳥かごの中でキャツチして食べる。
・尾羽根が全て途中から折れていたので、相談の上、抜くことにする。尾羽根の付け根を押さえ、思いっきり抜くと、意外に抵抗もなくスッと抜ける。「痛がるかもしれない」ということだったが、全く痛がる様子もないので、半分の6本を抜く。何となくみすぼらしいかっこうになる。
行水は気持ちよさそう〜









しかたがないね……


喉を潤すドラ 顔を洗うドラ 行水するドラ


7月31日(金) 17日目

食べたもの 基本食+キャベツ+梨
ダンコ虫+蟻+コオロギの幼虫+ジジミ蝶
観察 ・ギュェェッと押しつぶしたような声で鳴いた後、トュリ、トュリ…と高い声で囀る。いろいろな鳴き声が出るようになってきた。
・基本食を一切受け付けないようになってしまった。腹が減っているとミルワームにかぶりつくのだが、そのミルワームを基本食の上に乗せてやると決して口を付けない。昨日までは、まだしぶしぶでも食べていたのだが、今日は口は寄せるものの、食べなく、人の顔を見てギャーギャー鳴く。しかたなくミルワームを別の器に入れて与えるとガツガツとあっという間に食べる。
・ミルワームの量が増えて、1回に40〜50匹はペロリと食べてしまう。
・残りの尾羽根を抜く。


 ずっと、基本食で育ったものの、無理に食べさせることもないと思うが……







 健康そうに見える尾羽根が3本あったが、それもよく観察すると他の折れた羽根と同じような位置で切れかかっている。小さいときに何かに挟まったのか何かしたのではないだろうか。その時切れかかっていたものが
、活発に飛び回るようになって次第にそこから折れてきたと想像される。家に来た時から尾羽根の異様なボサボサは気に掛かっていたが、抜くときに抵抗がないのも関係あるのかもしれない。
 今日は一回だけ、「ギッ」と声を挙げたが結局残り全部を抜いた。完全に尻ハゲの状態である。
 早く新しい羽根が生えてくるように……


8月 1日(土) 18日目

食べたもの ミルワーム+トマト+野菜+蟻
観察 ・基本食をあきらめ、ミルワームと昆虫、果物、野菜の食事とする。ミルワームは大好物だが食べるときに振り回す癖があるので、時々嘴から離れ、思いがけないほど遠くまで飛んでいく。
・然「ジュオオオーッ」という押しつぶした声を出したので慌てて飛んで行みると、ケロッとした顔をしている。いろんな声が出るものだ。
・運動のために鳥かごから出すと床ばかり歩く。スズメのようにホップするのではなく、ニワトリのようにトコトコ歩く。興味をひくようなものがあると口をカパッと開け、嘴でつついたり、ひっぱったりする。
・ミルワームが入っている容器から簡単により分けられるようにと、ふるいのための柄付きのミニ深ザルを買ってくる。今まではピンセットで一匹ずつ探し摘んでいたが、これで管理が楽になった。







激しく動くものより、静かにゆっくりとした動きのものにひかれる


coffee break 5
◎センターの仲良し獣医さんより

▽ しっぽちぎれちゃいました、をはじめ、里親さん宅でよくある(羽根に対する心配)は風切り羽根が抜けた・折れた、尾羽根や翼が羽根はついてるけどボサボサ、です。そしてたま〜に、体全体あるいは尾羽根だけなどどこか一部分がとにかく汚い(糞や食べカスがくっついている)というようなことです。
 羽根が折れちゃうとかボサボサになる原因は、箱やカゴに当たったりこすったりして物理的に痛んでしまう場合と、栄養障害で(主にタンパク質とカルシウム)羽根の成長に異常が生じてしまった場合、そして水浴びをさせてやらなかったことによって羽づくろいをするのを促してやれなかった・・・ってところでしょうか。
 野鳥はかなり活発に動きますから、金物の鳥かごだと知らぬ間に痛んじゃうんですよね。野鳥が竹カゴで飼われるのも、そういう理由からでしょう。でも、プロの里親さんになると、金物カゴを利用していても羽根の一本一本まできれ〜に揃って、それはそれは麗しい鳥ちゃんになって帰ってきますけど。
 もっとも、最初に保護者の方がしばらく世話をしていらしている間に痛んでしまっていたり、センターへ搬送中に箱の中で折れてしてしまっているものを、里親さんにお渡しするケースもありますので、そういう場合はいくらていねいに扱ってくださってもそのうち折れちゃいますね。

▽ 抜くしかないでしょう。そんな状態でも飛べなくはないでしょうが、やはりバランスが悪いでしょうし、そんなんで自然換羽を待ってるのもかわいそうかと思います。母は強しでここは一発やってみましょう。ムクドリ程度の大きさの鳥なら、比較的抜きやすいですし。ただ、一度に全部抜いてしまうのはかわいそうですから、1回3〜4本にしておいて3日位かけて抜いてやりましょう。抜くとき、ギョエ!!と叫ぶかもしれませんけど聞かぬフリ。とっつかまえたら尾羽根の生えているお肉部分を指で挟むようにして押さえ、目的の尾羽根を羽軸と平行方向にひっぱって抜きます。1本ずつね。中途半端な力で引っ張ると痛いだけで抜けませんから、意を決して抜くぞ!と言う気持ちでやってね。プツッというような感じで抜けてくれると思います。

▽ ミルワームはずっと与えていてよいのですよ。そうそう野生の生き餌はとれないでしょうから、その代わりなのですから。人によっては、生き餌はミルワームだけと言う方もいます。肩に乗ってきたりするのもある意味仕方ないことですので、無理にはたいたり追い払ったりしなくてもよいのでは。餌をやるとき以外は知らんぷり、無視、かかわらない程度で。一人で餌を食べるようになるうち、雛の時のようには甘ったれなくなってきますから。ただ、かまいすぎることで、人と遊ぶ事を教えないでいただきたいのです・・・。


尾羽根の状況と尾羽根の抜き

尾羽根の状況 
尾羽根の抜き

尾羽根の状況 


8月 2日(日) 19日目

食べたもの ミルワーム+トマト
観察 ・食欲旺盛。昨日3パックあったミルワームがもう底を付いてきたので、慌てて買いに走る。同時にトマトを余り食べなくなる。
・いつも掃除機をかけるときは隣の部屋に移すのだが、うっかりすぐ近くで掃除機をかけたら、ものすごく驚いた。何とパニック状態になって飛び上がりながら糞をもらしたほどだ。音をこんなに怖がるとは知らなかった。
・このところ毎日水浴びをするので毛並みが綺麗である。ピンとよく整っている。後は尾羽根だけが早く生えてくれればよい。
・自分の足の指をくわえて「ヒェーッ」という悲鳴をあげていた。
 ミルワームの方がおいしいのだろうか……?








お馬鹿さん


8月 3日(月) 20日目

食べたもの ミルワーム+トマト+レタス+蛾+蟻
観察 ・昨日はほとんどトマトに口を付けなかったのだが、今日はトマトもよく食べている。
・鳥かごの底にしいてある紙を盛んにいたずらして、直ぐにクシャクシャにしてしまう。取り替えようとめくるとドラが食べるときに振り飛ばしたミルワームが5〜6匹が固まって隠れていた。
・チャームポイントであった頭の横の白い産毛がほとんどなくなってしまった。あとほんの2〜3本。よく探さないとわからない。背中に少し残っていた産毛も同様である。
・頭を下げてお尻を上下に振っていた。
・夜、「ヒィールルルルル」というような声を何度も発する。ただとてもかすれた、しわがれた声である。
よく太ったミルワームをたっぷり食べて胸焼けでもしたのだろうか……








 しっぽが生えてくるようにとのおまじないか……?
 この鳴き声を「かすれトンビ」と命名した!


8月 4日(火) 21日目

食べたもの ミルワーム+トマト+蟻+蜘蛛
観察 ・「ヒィィィーッ」という絞り出すような声が多くなる。かすれた高い声である。
・片足で止まり木にとまったままコックリコックリと船を漕いでいた。
まるで断末魔のうめき声のよう。どこからあんな気味の悪い声を出しているのやら……? 



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