八海山で八海山を呑もう!登山行

はしごを下ったり鎖にしがみつき登ったりで迂回路を進んでようやく大日岳の鞍部に到着。

何とも嫌〜な注意書き看板!

転落すれば……助かりませんか?本当に…助かりませんよね?

まだまだやりたい事や思い残した事があるのです…本当に助かりませんか?

しかも我々はこの上で不謹慎にも酒など飲もうとしてるのですが…やっぱり…
助かりませんよね?充分注意してるんですが…落ちるときは…落ちますよね…?

などと六日町役場の八海山担当の人に確認したい心境であった。          

空身でも垂直の岩壁をクライムするが怖い!!






恐怖の中変な事を考えていた。こんな状況のとき昔から、たいてい「おか〜さ〜ん」
と叫ぶものである。やはり「おとーさーん!!」とは叫ばないものである。おと〜さ〜ん!では
何となく美しくないのかもしれない。彼女がいる人や妻がいる人ならば、その女性の名を叫ぶのだろうが…

映画などでは必ず「おか〜さ〜ん!!」なのである。まれにおじいちゃん子の人であればマニアックに
「おじいちゃ〜ん」と言うだろうが…やはりこれも美しくないのである。

同姓がお好きな男性であればどうだろう?おもむろにふところから彼の写真を取り出し「うふっ♪」「いや〜ん」
とでも言うだろうか?

北の国からの純君ならば、拝啓、けいこちゃん、僕はこんな危険なところに来てしまったわけであり、
今まさに垂直の壁を登っているわけで、落ちれば助からないと思われ…けいこちゃん、僕は…
僕は…とても怖いです。これが僕の今年の秋の出来事です。みたいな感じになるのだろう。

人はこんな状況で変な事を考えるものであり、今まさに正しい恐怖を味わってるのである。

結局降りてから念願の銘酒『八海山』で乾杯!六日町の役場の八海山担当の方!
おかげさまで僕達はこうして五体満足で美味しい『八海山』を呑める事が出来てるのであります!
そんなわけで「八海山de八海山を呑もう!」の目的は達成できたわけである。
めでたしめでたしなのである。

青く澄みわたった空の下、『八海山』のほろ酔いのほてった体に晩秋のヒヤリとした風が心地よい。
やはり目的を達成したときの酒が一番美味いのだ!

いよいよ下山開始!!途中老夫婦が登ってきて声をかけてきた。「この先、どうですか?
危険ですかね?私達でも行けますかね〜?」彼らの足取りを見て即答!
「迂回路でもかなり危険なのでやめたほうがいいですよ!」   

「あ〜そうですか〜」といいつつも鎖場、はしご場連続の迂回路へと歩を進めていった。

我々は「ちょっと〜!ちょっと、ちょっとーー!」と突っ込んでやりたい心境であったが、山は自己責任なのである。

そして我々は心地よい疲れとともに晩秋の八海山を後にした。もうすぐ八海山にも粉雪が舞う季節がおとづれるのだろう。
あの銘酒『八海山』のように雪に閉ざされても力強い頂が存在し続けるのだろう。

今度『八海山』を呑む時はきっと、八海山の夕景、紺碧の夜空にまばたく星達、、晩秋の心地よい八海山の風を思い出すのだろう。

おわり