この女の人をこの日記の中で女の娘、女、女の人、彼女といろいろな呼び方をしているが
なんともこの人は不思議な魅力を持っている。時にはbaby faceに見え、時にはドキッとするような潤んだ目をする。
そして時にはきっぱりとした厳しい目つき。。。
分からない。。。。
だけど心のどこかに理性を消してしまうようなもやもやとしたなんとも不思議な感触に包まれてしまった。
僕は戸惑いながらもokしてしまった。
彼女は僕に笑いかけた。
私、オンネトーに行きたいんですけど。。。少し甘えた声で言った。
温泉入るの?と僕がちょっと意地悪く言うと、彼女はあっさりと一緒に入りますか。などと言って来る。
冗談とはいえあまりにも突然な過激発言を言ってくるのでこっちも対応に困ってしまう。完全に彼女のペースに巻き込まれてしまったようだ。
僕としたことが。。。。

荷物を積み込みながら内心ガッツポーズをしたが顔に表れないようにしていた。
さー出発というところで、恐ろしい声が。。。。悪霊の声だ!ちょっと待って−な。恐るべき関西男の存在を忘れていた。
彼女は、「友達?」と僕に尋ねたが、全く知らない人と答えるまもなく、旅は道ずれって言うやんか楽しく行こうやない!
とやけに嬉しそうだ。時代劇じゃあるまいし何が旅は道ずれだ!いっそのこと阿寒湖に沈めてやりたかった。
オンネトウに寄って行くから先に行くよ。と言ったが悪霊はちょうどよかった、オンネトウに行きたかっんですわ。
いっしょに行きましょ。とのたまう。悪霊から逃れる道はないのかー。。。
僕はそんなことを考えていた。
そんなやり取りを彼女はちょっと戸惑った顔で見ていた。とりあえずこの場は悪霊をつけたまま行くしかないと思った。
そして極限での男と女の複雑な心理を描いた新田二郎の小説の前書きが僕の頭の中を駆け巡った。

そして悪霊をつけたままオンネトウに到着。バイクから降りメットを脱ぐと悪霊はまた得意の調子でしゃべりまくる。
彼女にあれやこれや質問攻めだ。彼女もいいかげん面倒臭い表情であまりしゃべらなくなってしまった。
僕はこいつにはずっとヘルメットをかぶせておきたい心境だった。

そしてついに彼女の口から、私1人でちょっと行きたいところあるからここで別れましょう。という言葉が出てしまった。
僕は放心状態で何とか苦笑いしながらも、あっ、そうなの残念だなーと言う言葉だけ発するので精一杯だった。
悪霊もまーそう言わずもう少し。。。と言うまもなく彼女はちょっと怒った顔でごめんなさい、それじゃ気を付けてと言った。。

彼女は再びバイクにまたがり国道へと走り出した。ヘルメットから出た長い髪が風になびいていた。
僕は片岡義男の小説の主人公の心境でいつまでも彼女の後姿を見えなくなるまで見つめていた。
さらば大阪の女。。。僕は心の中でそうつぶやいた。


おわり
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