1.薬物乱用とは |
Q: 薬物乱用とは何ですか。乱用される薬物はどのようなものですか。 |
A: 薬物の乱用とは、医薬品を医療目的以外に使用すること、又は医療目的にない薬物を不正に使用することをいいます。 精神に影響を及ぼす物質の中で、覚醒剤、大麻、コカイン、LSD、MDMA、向精神薬、シンナー等習慣性があり、乱用され、又は乱用されるおそれのあるものが、法令によりその取り扱いが禁止又は制限されています。 |
Q: 薬物を乱用するとどのようになるのですか。 |
A: これらの薬物は、中枢神経系に作用し、乱用したときの快感を得るため、又は乱用をやめたことによる苦痛から逃れるため、薬物を強く求めるようになる「依存性」が形成されます。 また、薬物を繰り返し使っているうちに同じ量では効かなくなる「耐性」が生じます。 「たった一度」という好奇心や遊びのつもりであっても、薬物の依存性と耐性によって、乱用する量や回数がどんどん増えていくという悪環境に陥り、自分の意志でやめることが出来なくなります。また、乱用をやめても、睡眠不足や過労、ストレス、飲酒等をきっかけに、幻覚、妄想などの精神障害が突然現れること(フラッシュバック)があります。 |
Q: なぜ覚醒剤や麻薬などを使うことが禁止されているのですか。 |
A: 覚醒剤や麻薬等は、それを乱用する人間の精神や身体をボロボロにし、人間が人間としての生活を営むことを出来なくするだけでなく、場合によっては死亡することもあります。 また、薬物乱用による幻覚、妄想が、殺人や放火等の凶悪な犯罪や交通事故を引き起こすことがあるなど、乱用者本人のみならず、周囲の人、さらには社会全体に対しても、取り返しのつかない被害を及ぼしかねないものです。 こうしたことから、覚醒剤、麻薬等の使用、所持などは法律により厳しく禁止されています。 |
Q: 覚醒剤や麻薬等に関する罰則はどのようになっていますか。 |
A: 現在、薬物を取り締まる法律には、「覚醒剤取締法」「大麻取締法」「麻薬及び向精神薬取締法」「あへん法」「毒物及び劇物取締法」などがあります。 下記の表のように、いずれも厳しい罰則が設けられており、たとえ1グラムに満たない所持でも厳しく取り締まっています。 |
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☆ 覚醒剤取締法
規制対象物 | 違反形態 | 罰 則 |
覚 醒 剤 | 輸入、輸出、製造 譲渡し、譲受け、 所持、使用 |
(単純) 1年以上の有期懲役 (営利) 無期又は3年以上の懲役 情状により 1,000万円以下の罰金を併科 (単純) 10年以下の懲役 (営利) 1年以上の有期懲役 情状により500 万円以下の罰金を併科 |
覚醒剤原料 | 輸入、輸出、製造 譲渡し、譲受け、 所持、使用 |
(単純) 10年以下の懲役 (営利) 1年以上の有期懲役 情状により500 万円以下の罰金を併科 (単純) 7年以下の懲役 (営利) 10年以下の懲役 情状により300万円 以下の罰金を併科 |
☆ 大麻取締法
規制対象物 | 違反形態 | 罰 則 |
大 麻 | 栽培、輸入、輸出 譲渡し、譲受け、 所持 |
(単純) 7年以下の懲役 (営利) 10年以下の懲役 情状により300万円 以下の罰金を併科 (単純) 5年以下の懲役 (営利) 7年以下の懲役 情状により200万円 以下の罰金を併科 |
☆ あへん法
規制対象物 | 違反形態 | 罰 則 |
あへん (けし、 けしがら) |
栽培、採取、 輸入、輸出 譲渡し、譲受け、 所持 吸食 |
(単純) 1年以上10年以下の懲役 (営利) 1年以上の有期懲役 情状により500 万円以下の罰金を併科 (単純) 7年以下の懲役 (営利) 1年以上10年以下の懲役 情状により 300万円以下の罰金を併科 7年以下の懲役 |
☆ 麻薬及び向精神薬取締法
規制対象物 | 違反形態 | 罰 則 |
ヘロイン | 輸入、輸出、製造 製剤、小分け、譲 渡し、譲受け、交 付、所持、施用、 廃棄、受施用 |
(単純) 1年以上の有期懲役 (営利) 無期又は3年以上の懲役 情状により 1,000万円以下の罰金を併科 (単純) 10年以下の懲役 (営利) 1年以上の有期懲役 情状により500 万円以下の罰金を併科 |
ヘロイン以外 (コカイン、モ ルヒネ等) |
輸入、輸出、製造 栽培 製剤、小分け、譲 渡し、譲受け、所 持、施用、施用の ための交付 |
(単純) 1年以上10年以下の懲役 (営利) 1年以上の有期懲役 情状により500 万円以下の罰金を併科 (単純) 7年以下の懲役 (営利) 1年以上10年以下の懲役 情状により 300万円以下の罰金を併科 |
向精神薬 | 輸入、輸出、製造 、製剤、小分け 譲渡し、 譲渡し目的所持 |
(単純) 5年以下の懲役 (営利) 7年以下の懲役 情状により200万円 以下の罰金を併科 (単純) 3年以下の懲役 (営利)5年以下の懲役 情状により100万円以 下の罰金を併科 |
麻薬等原料 | 業務の届出違反 無届の輸入、輸出 |
20万円以下の罰金 10万円以下の罰金 |
※ 上記の他、毒物及び劇物取締法において、シンナー等有機溶剤の @ 摂取、吸入又はこれらの目的での所持 (1年以下の懲役若しくは3万円以下の罰金又は併科) A @ の事情を知った上での販売、授与 (2年以下の懲役若しくは5万円以下の罰金又は併科) 並びにトルエンの無登録販売、無登録授与等に対する罰則が設けられています。 |