水環境における内分泌攪乱化学物質に関する実態調査結果(前期調査)
建設省中部地方建設局   
水資源開発公団中部支社
1.調査の目的 

  本調査は、動物の生体内に採りこまれた場合に、本来、その生体内で営まれている正常なホルモン作用に影響を与える外因性内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)として疑いのある物質について、管内一級河川を対象に実態の把握を行い、今後の検討のための基礎資料とすることを目的としている。
2.調査の概要 

 (1)調査対象物質

    内分泌攪乱作用が疑われとぃる67物質(環境庁 「環境ホルモン戦略計画 SPEED’98」 (平成10年5月)による) の中から、産業系及び生活系に由来する化学物質で、年間生産量と環境中での検出状況を勘案して選定した8物質に、人畜由来ホルモン(17βーエストラジオール)を加えた9物質を対象とした。

分  類
物 質 名
主 な 用 途  
アルキルフェノール類 4−t−オクチルフェノール 
4−n−オクチルフェノール
ノニルフェノール
界面活性剤
油溶性フェノール樹脂 
 
フタル酸エステル フタル酸ジー2−エチルヘキシル 
フタル酸ブチルベンジン
フタル酸ジーn−ブチル
プラスチック可塑剤等
(多くの合成樹脂に含まれる)
アジピン酸 アジピン酸ジー2−エチルヘキシル  耐寒用可塑剤、潤滑油
ビスフェノールA ビスフェノールA 樹脂原料
スチレン スチレンモノマー プラスチック原料
人畜由来ホルモン 17βーエストラジオール   ー

 (2)調査実施河川、ダム調査地点(22地点) (別紙調査地点位置図参照)

No. 水系名 河川名 地点名 備考 No. 水系名 河川名 地点名 備考
148 庄内川 庄内川 大留橋     159 木曽川 阿木川 阿木川ダム
149  〃  〃 枇杷島橋    160  〃 木曽川 味曽川ダム
150 狩野川 狩野川 徳倉橋   161  〃  〃 丸山ダム  
151 阿部川 阿部川 阿部川橋   162  〃  〃 濃尾大橋  
152 大井川 大井川 富士見橋   163  〃 揖斐川 鷺田橋  
153 菊川 菊川 高田橋   164  〃 長良川 伊勢大橋  
154 天竜川 天竜川 新樋橋   165 鈴鹿川 鈴鹿川 高岡橋  
155  〃  〃 鹿島橋   166 雲出川 雲出川 雲出橋  
156 豊川 豊川 当古橋   167 櫛田川 櫛田川 櫛田橋  
157 矢作川 矢作川 米津大橋   168 宮川 宮川 度会橋  
158 木曽川 馬瀬川 岩屋ダム 169 櫛田川 櫛田川 蓮ダム  
  
No.は位置図番号 、 *印は水資源開発公団管理ダム
3.調査結果について 

  調査結果は、別表(下記枠内をクリック)のとおり 
前期河川水調査分析結果

  ◎今回の調査結果は、7月22日〜8月 6日にかけて各地点1回のスポット採水によるものであり、今回の結果がその河川の調査地点における調査対象物質の存在状況を代表しているとは言えず、数値は河川の流況、採水時間等によって変化するものと考えられるとともに、非常に低濃度の物質の測定であるが、今回調査対象物質は身の回りで多く使用されている物質であることから、採水・分析の操作過程において、それらが試料中にわずかでも混入した場合、分析結果の値に大きな影響を及ぼし得ることから、今回の値をもって調査地点の存在状況を評価するのは困難であり、今後とも、データの蓄積を重ねる必要がある。

 (1)4−t−オクチルフェノール、4−n−オクチルフェノール、フタル酸ジー2−エチルヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジーn−ブチル、スチレンモノマーは検出されなかった。

 (2)ノニルフェノールは3箇所で、アジピン酸ジー2−エチルヘキシルは20箇所で、ビスフェノールは7箇所で、17βーエストラジオールは14箇所で検出された。