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一桁のビジネスマン《行動心理資料》より

【自分の感情が敵だ】

{上役は敵ではない}×{誤った感情}×{冷静さが最良の味方}
 組織の力は、すべて管理者の手中に、あるわけではありません。
 自分達の力で、コントロールできます。管理者を作ったり、止めさせたりすることも出来ます。
 それに、自分の考え一つで、上司の後押しすることも、また、同僚仲間と考えを合わせて一緒になって、上司に極めて不利な状況を作り出すことも可能です。
 ですから、自分達は、よりよい上司を作る上で、あきらかな役割を、果たしていると言うことができます。

 製薬会社のセールスマンによると、「胃腸薬」は、もっともよく売れる薬であるといいます。
 また、ある雑誌によれば、国民の5パーセントは、胃潰瘍に対する悩みを、持っていると言うことです。
 感情は人間の胃に驚くべき影響を与えるものだ』とのことですから、多くの人達が、絶望、欲求不満、意気消沈の波の中で、自らをむしばんで入るように思われます。

 例えば、人間は、ストレスの原因となるべき問題を、解決できないときは、すっかり元気がなくなってしまい、意気消沈の状態になります。
 解決しようと焦れば焦るほど、ストレスは大きくなっていきます。
 この場合の敵は、勿論、他人ではありません。自分の手にあまる問題や、仕事上の立場と、取り組むときに生ずるストレスによって、引き起こされるからです。
 これは、精神的な病気そのものが敵なのです。
 自分に、あまり多くを期待し過ぎたため、防御する用意がすり減ったため、防御の働きをしないからです。

 研究者の指摘するところによれば、ストレスとは、身体が不安定な精神状態に対して、反抗する手段であると、いっております。
 つまり、身体が精神と、闘っている状態です。

 精神は、いま、自分が、自分に価するだけのことを、していないとか、こんな境遇でなければ、遣れた筈だと考えます。
 つぎに、解決しようとしている問題が嫌になってきます。
 すると、身体は病気になることによって、それに反抗しようとします。
 これが潰瘍となることもあると、説明しています。

 ストレスによって起こる、こうした心因性の病気に対処するには、どうしたらよいでしょうか。
 方法は、四つあります。
第一は、状況をそのまま受け入れて遣っていく方法。
第二は、はっきりと一線を画し、もう沢山だ、これ以上は嫌だと宣言する方法。
第三は、問題の原因となっているものから逃避する方法。
そして最後は、問題の原因を根絶させ、徹底的に打ち負かす方法です。

 上役とうまくいかず、上役こそ、ストレスを生む問題の根源だ、と、感じるのであれば、私の友人がしたように、やってみるのもよい考えです。
 この友人は、上役のところにいってこう言いました。

「私について知って戴きたいことが幾つかあります。まず最初に、
 私は常に自分のよさを認めてきました。そして、この会社にとって、
 自分は重要な人間であり、優れた雇用者なのだと信じてきました。
 私は貴方を怖いとは思いません。
 貴方が上役になるずっと前から、私は、私の人生を切り開いてきたのですし、
 貴方が私の上役でなくなってからも、ずっとそうし続けることでしょう。
 貴方を受け入れようと、受け入れまいと、少しも気になりません。
 私は自分自身を受け入れました。
 私にとって重要なのはそのことなのです。」

 人間関係の中で、自己実現が出来ないという自己認識は、自身の行動をゆがめます。その上、行き場のない感情は身体をむしばみます。
 つまり、自分の関係する外部に対する判断基準は、心の中にある自己基準に沿って、補習されますが、このケースでは、管理者が評価しなかったため、補習がされないので、自己知覚の作用が機能しなくなったわけです。ようするに、アイデンティティがまだ確立されていないわけです。

 それで、上役との話しは、果たして、効果はあったのでしょうか。
 彼女はあったと言っているし、私も、それを信じています。
 事態は改善され、ストレスだらけの状況はまもなく解消しました。彼女の率直さによって、上役はよりよい管理者になったのです。
 この様な女性は、決して潰瘍になるようなことはありません。自分達も同じではないでしょうか。  つづく

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