「法は罪を罰して人を罰せず」とは、江戸中期頃、在刑法定主義を主張したが故に、徳川幕府への遠慮から30年もの間、幽閉された伊達藩の儒学者「芦東山」(のちに故郷帰り、我国刑法の原点といわれる「無刑録」を著した)の言葉です。
組織行動の中においての叱る行為とは、組織の中の罰則である叱らねばならない原点、つまりその罪を、考えてみたいと思います。
リーダーシップを発揮するための重要テクニックともいえるツールには、
1、命令
2、叱る
3、褒める
4、正しい態度の保持
5、提案を受け入れる。
6、グループ一体化
7、新人導入の際の配慮
8、グループ戒律の設定
9、噂をしずめる
などがあります。
リーダーシップを発揮するには、これらのツールの十分な使いこなしと、その使い道を誤らないようなスキルの開発が必要になります。
ツールのなかで最も使いにくいものには、「叱る」テクニックがあります。
組織を纏め、メンバーの参加協力を得た上で、目的達成するためには、リーダーシップというテクニックが必要になるのです。
しかし、ほとんどの組織において、リーダーは目標の焦点と見なされています。
従属する人々は、一個の人間としてのリーダーに対してでなく、むしろ目標の具体像としてのリーダーに忠実であることを要求しているのです。そのために、リーダーは、批判や懲罰を与える場合、出来る限り非個人的でなければなりません。
もっとも、リーダーが批判したとき、それによって個人的な摩擦や悪感情が生まれるときもあります。
しかし、「叱る」という行為は、出来る限り客観的でなければならないのです。とは言っても、これは理想論であって、なかなかその通りに出来るものではありません。もし、次にあげることを守れば、リーダーの多くは、よりそれに近づけるかもしれないと思います。
まず、事実を良く調べることです。
責められるべき本当の原因が、とがめられる当人にあるかどうかを確かめる必要があります。体の調子が悪かったかもしれないし、彼の責任外の悪い状況下で仕事をしなければならなかったのかも知れません。
彼には、どうしようのない素材の悪さによることもあろうし、指示が十分でなかった場合も考えられるのです。また、グループ関係において、そのグループの「しきたり」をしっていないと、面倒なことが持ち上がるのが普通です。リーダーは、叱られるべき者が、自分は「ルールに違反した」ということを、確かめなければならないと思います。
リーダーの重要なつとめは、従属者が規則やルールを良く理解しているかどうかをしることです。彼らがそれに通じていないとすれば、まずリーダーが責められることになるのです。
|