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管理者のスキルとツール


プロセス・マップ(process map)
プロセスマップ
  • プロセスマップには、いろいろな種類のものがあります。それぞれのマップには、長所・短所がありますから、プロセスを理解するには、一般的に、つぎの四つの種類のマップのうち理解を進めるため二つくらいは使う必要があります。
    1. フローチャート
      フローチャート
       フローチャートは、作業および意志決定の一連の流れを書き表しものです。フローチャートは理解しやすいため、すぐ文書かが可能です。しかし、フローチャートは比較的単純なプロセスにしか使えません。複雑なプロセスについてフローチャートを用いると、非常に煩雑になり詳細になりすぎるため、理解することは困難です。殆どの組織では、プロセスの中に複数の意志決定のポイントがあります。このような意志決定は、伝統的なフローチャートで書き表すことは、むずかしくなります。

    2. ワーク・フロー図
       ワーク・フロー図は作業領域におけるプロセスの流れを図に表すものです。向上現場について、この種のプロセス・マップを使うと、製造工程にそって、製品の流れを書き表すことになります。事務部門では、請求給よ、顧客サービス、注文受付などの流れがフローとして描かれます。
      ワークフロー図  ワーク・フロー図によっては、単にプロセスの流れだけでなく、ボトル・ネック、遅延などを知ることができます。また、ワーク・フロー図は、多くの無駄を明らかにしますから、強力なコミュニケーションの手段にもなり得ます。

      短所には、単純な手続きの変更ですむ場合を別にして、通常どのように問題を改善すればよいかについて指針を明らかにしないところです。

    3. トップダウン・フロー図
       組織内のプロセスの殆どは非常に複雑になっています。
       このようなプロセスについてプロセス・マッピングを実施する場合、枝葉末節にこだわりすぎることがよくあります。トップダウン・フローチャートは、複雑なプロセスを文書化して、プロセス・マッピングに規則性をもたせのに有用になります。
      トップダウン・フローチャートには、プロセスの開始から終了までにふくまれる重要要素またはステップを、六つを超えない範囲で記述します。その六つの重要要素の中から、最重要のもの二つまたは三つを選択し、それぞれの要素の中で、さらに六つの重要な要素を調査します。

      トップダウンフロー図  レベルの落とし混みは、通常三段階ぐらいで十分です。トップダウンのプロセスでは、分析が枝葉末節に陥ってしまうことを防げます。また、トップダウン・フローチャートは、新しいプロセスをデザインする際にも強力な武器になります。
       トップダウン・フローチャートは、(この次に述べるインターファンクショナル・チャートと同様)、ビジュアル的な魅力はないが、改善案の立案には役に立ちます。

    4. インターナショナル・チャート(Intrfunctional chart)
       インターファンクショナル・チャートは、ゲアリー・ラムラー(Geary Rummler)アラン・プラシェ(Alan Brache)に四って開発された非常に有効な手法です。機能を横断してプロセスを理解させ、プロセスとプロセスの間の弱点を明確にします。機能を横断することによって、簡素化や能率化の効果が明確になるところにインターファンクショナル・チャートの価値があります。

       しかし、インターファンクショナル・チャートは、ワーク・フロー図ほど、あまりビジュアル的な魅力がなく、経営者の関心を引かない場合が多くあります。このため、ワーク・フロー図と、インターファンクショナル路チャートを併用することによって、効果を上げる場合があります。


  •  事実の収集
     主たる活動を特定する際、ビジネス経営者は、事実に基づく決定をおこなう必要があります。
    その場合、効率化を図るため、経営のスキルやツールが事実を収集する過程で用いられます。これらの手法には、特性要因図、バレート図、ヒストグラム、チエックシート、ラン図、管理図、の他に、前述したプロセスマップがふくまれます。
    これらの手法は、問題点抽出と改善策立案のための定量的データの把握と分析がねらいで、経営者の七つの基本ツールと呼ばれているものです。

      新QC七つ道具
    1. 特性要因図は、問題の原因を分析するための手法です。この図は、開発者の石川馨氏の名をとって、石川図、あるいは、完成した図が魚の骨に似ていることから、フィッシュ・ボーン・チャートとも呼ばれています。この図は、結果(問題)を発生させる主因及びその派生原因を示すます。
       この手法は、少人数のグループによって、プロセスの問題原因を特定する場合に使われます。まず最初、問題点を右側の四角の中に書きます。ついでグループワークは、問題についてのブレイン・ストーミングによって、図の骨の上に原因を書いていきます。問題を特定したなら、チームはその問題に対し、最大の影響をあたえている三つから五つの原因を選びます。その上で、これについての全員のコンセンサスを得る方法をとります。このような効率化のための手法は、定性的データ収集の際に使われます。

      パレート図  

    2. バレート図は、原因のもっとも重要性のあるものから重要性のないものまでを、ランクづけする作業手法です。
      これは、派レートの原則にもとずいており「結果の殆どの部分が比較的少ない原因によってもたらされる」と提唱した19世紀の経済学者ビルフレド・バレート(Vilfredo Parete)に因んで名づけられています。

       バレート図及びバレートの原則は、20%の活動、つまり、業績評価基準としてモニターされるべきプロセスの主たる活動を明確にするのに役立ちます。

    3. ヒストグラム(Histogram)は、さまざまな種類の関連データを図表に集計したものです。ヒストグラムによって描かれた図は、単純に数字を並べただけではわからない事象をパターン化して表現します。たとえば、業績評価基準をヒストグラムにあらわしてみると、さまざまな見解が考察できます。

    4. チェック・シート(Check Sheet)チェックシート
      チェック・シートは、ある事象が発生する頻度を表現するものです。
      チエック・シートは、プロセス内で、従業員が誤ったことを行っているのを経営者に理解させるのに役立ちます。
       たとえば、ある小さい製造会社の顧客サービス係の代表者の人達が、彼らの殆どの時間を社長や専務、あるいは常務の秘書がわりの仕事に費やされているため、顧客に対するサービスを行えないと、語ったことがあります。このことを社長に説明しようとしましたが、社長いわくには、顧客サービス係は単に怠け者であり、仕事をさぼることばかりを考えているのだと話していました。

       そこで、事実を確認しておくことが重要だと考えて、彼に代表者達に彼らの最も重要な活動六つと、「その他」のコラムをチェック・シートの上の欄にリストもらい、縦のランには、8時から、5時まで、15分おきに時間をとって貰いました。8時、8時15分……と代表者達に、彼らが行った活動に従って、コラムに印をつけて貰いました。2週間後、チェックシートを見てみると、代表者達の六〇%の時間は「その他」ランに費やされていることが示されていました。このデータを見て、トップマネジメントは、二人の秘書をおくことにしました。

    5. 散布図(Scatter Diagram)  散布図は、二つの特性データの関連性の分析をグラフ化するテクニックです。
       上図に見られるように、二つの特性データが一つのグラフ上にプロットされています。Y軸には結果としての特性値を、X軸には要因となる特性値が設定されています。グラフは、二つの特性に関連性があるかどうかを示すます。(二つの特性は、関連あることもあり、ないこともあります。これらを判断できるのは、それらの特性について、もっとも多くの知識を持っている人です)
       散布図は、ある人が持っている技能の数と、生産される製品の不良の数との関連を示したりする場合に使うことができます。

    6. 管理図(Control chart)
      管理図
      管理図(左図)は、一連のサンプルやサブ・グループの統計値を管理の上下の限界値と共に示した図にしてあります。管理図には、それぞれの管理の限界値に対し、図に記入された値がもつ一定の傾向を見つけるために、中心線が描かれことがあります。
       この手法の変形として、ラン図(run chart)と呼ばれる図表が主としてサービス産業で使われます。上図に見られるように、ラン図を使えば、情報が手に入る順序に従ってグラフ上にデータを記入し、より視覚的に訴えてみせることができます。

       ラン図は、平均値が長期的に変化しているかどうかを見極める際のプロセスのモニター用に使われます。機会の停止時間、歩留まり、スクラップ、印刷ミスあるいは生産性といったプロセスの結果は、時間の経過と共に変化するので、それらをグラフ化することがよく用いられます。

    7. プロセス・マップ(Process Map)
      プロセスマップは、最初のところで説明しておりますが、さらに、重要な点をここで補足します。
       先に述べたプロセス・マップの利点以外にも、われわれは湖の手法をチーム内の仲間意識の確立やチームワークの促進に利用しています。つまり、企業組織などの機能を横断して選出されたプロジェクトチームのような場合、チームメンバーは、これまでお互いにいっしょに仕事をしたことはないわけですから、プロセス内の作業マッピングを通じて通常は相互理解と共感が生まれてきます。「僕は、君がそんなことまでやっているとは全然知らなかった」とか「だけど、これからは、そんなことを続けるべきでないね」といったコメントがよく聞かれるようになります。

       これら七つの基本的手法のいくつかは、ある局面で他の手法と比べてより役立つことがあります。たとえば、特性要因図は、事象発生原因を追及するのに優れた手法でありますし、一方で、事象の発生状況を記述するには、おそらくプロセスマップがもっとも優れた手法です。

      これらの手法・技法は、ずっと以前からいろいろな場所で利用されてきております。問題は、これらの手法・技法がある特定の小さなグループをのぞき、広範囲に利用されていない点です。なぜ利用されないのでしょうか。

      1. 使わない人たちは、これらの手法・技法が製造現場用の手法であるので他の部署では使えないと考えている。
      2. これらの手法の使い方は訓練されていないし、それらを使った経験もない。

      3. これまでの参画社があまりにも少なすぎる。マッピングには、機能を横断した協力が必要です。プロセスについての見解が多ければ多い程良いのです。アイデアを出すためにはグループ・ディスカッションが大切であると考えられていても、多くの企業では、課題の達成または、問題の解決にチームやグループによる取り組みは殆どなされておりません。

      4. 使わない人たちは、本音では事実を知りたがらない、むしろ、歴史とか直感によって意志決定を行うことを好みがちです。
      事例:会社の請求プロセスを改善するために、経営者が単純な質問をしました。
      「請求プロセスにとっての顧客は誰になるか?」
      この質問の答えを出すために、請求プロセスに従事している人、プロセス以外の機能、(たとえば製造部)に従事する人および経営者からなる機能横断的なチームが結成されました。

       チームの最初の発見は、各人のとらえ方に思いこみによる乖離があることでした。当初、請求部門の従業員四人の顧客をリストしました。
      インタービューやディスカッションなどを行った末、彼らは八人の顧客をリストしました。明らかに請求部門は、自分たちの顧客は誰なのかを知らなかったことになります。

       つぎに、チームは請求部門に、彼らの顧客ニーズ、欲求、期待を明確にするための質問を行いました。そのまとめと整理の結果から、チームは二つの結論を導き出しました。つまり、顧客が欲していると請求部門が考えていたことの多くを実は顧客は欲しておらず、顧客が真に欲していることの多くが、請求部門によってなにも提供されていなかったのでした。

       最終的に、チームはプロセス・マッピングを実施、請求書の発行までに、五十九日を要し、その間275の異なる作業が行われていることを発見しました。請求書は、プロセスを完了するまでおよそ3.5キロメートルも移動していました。曲がりくねった経路を目に見えるかたちで表現してみると、すべての人がそれを見て驚いてしまいます。再チェック、再計算、やり直し作業など、50%以上の活動が顧客になんの関連もないことがわかりました。このことが明らかになると、もはやプロセスを改善しなければ、業績の改善が不可能なことは明白な事実となりました。




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