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<行動科学の目で見る>
戦略経営組織論
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一桁>経営組織論?>『意志の伝達』

続<良い聞き手とは>

 受信者側のもう一つの障害は、聞き手側には、関心のある内容だけを、聞く傾向が一般に多くみられるます。
 しかも、それだけではありません。相手の話しを受けて、その話の内容を承諾するについては、以前の経験や、これまで経てきた学歴や仕事上の立場にたって、判断する傾向があります。
 ですから、その判断は、相手の話を、実際に聞いた上でのことではなくなります。自分の心の中に描いた人間に、自分が語っていることを、相手の人が語った。と、いう心の奥の意識の元で話を聞いているのです。

 これは、相手の人、または、相手の状況に対して、先入観を持っている場合に多くみられるケースです。
 経営者は、工場労働者の方々には、教育がなく頭もあまり良くない、といった先入観に陥りがちです。もし、彼等が、気の利いた独創的な提案を行ったとしても、常日頃の行動では、あの態度から良い考えが生まれるわけがない、と、思ってますから、彼等から話があったとしても、なかなか「耳を貸す」ことをしたがりません。

 これに良く似た傾向で、いま、自分が固く信じて疑わない行動に、ピッタリと合ったことだけを、積極的な連絡事項として、受け入れようとする例です。
 心理学者は、これを認識不和(コグニティブ・ディソナンス)と呼んでいます。
心理学者の研究では、自分の信念、つまり自分の積極的な行動に一致する情報の場合と、自分の積極性に一致しない新しい情報の場合とでは、受ける側の反応に、大きな違いが生ずることを示唆しています。

 これは、メッセージを伝える場合に、メッセージを受ける側が、そのメッセージについて、どのように思っているか。それを考慮にいれなければ、相手に正しく伝わらないことを意味するものです。
 情報を受ける側が、情報源そのものに対して抱いている評価によって、情報そのものの価値を、左右しかねません。ですから、経営者を信用しない社員は、経営者の話を、まともに聞こうとはしないのです。

 これはフィードバック行うことで、本当のことが明らかになります。本当の意味が確実に伝わるようにするには、補正装置が必要になります。つまり、不十分なところや誤りを正すような、組織の機能や仕組みが大事になります
 ところが、これに関係のある障害として、偏見の問題があります。受ける側が、送る側に対して偏った見方である偏見性を持っていると、受ける側は、送る側のメッセージを、心の奥にある考え、つまり口に出さなくても、潜在意識的に拒否することになります。

 この例は、政治の舞台である国会の討議など、いくらでも見られます。ある政党の党員が、どのように理路整然とした納得のゆく話をしても、反対党の党員は、不信が心の底にありますから、かならず反対します。

 これと対象的なのが「あばたもえくぼ」という身振り素振りの態度です。このようなケースでは、好意を持っている人や、尊敬している人が言ったことなら、好ましくない情報や、事実であっても、容易に承知してしまいます。

 さらに、受ける側のもう一つの障害は、関係当事者の態度の問題です。
 自信があって、上役を尊敬している人は、抵抗なしに意志伝達を、理解して受け入れます。しかし、上役を恐れていたり、自信を喪失している人は、理解や承諾を拒絶したり、拒否しがちになります。
 それに、誤解を恐れると誤解を生むことになります。また、問い直しをためらう気持ち(馬鹿だと思われることを、恐れるあまり、と思われますが)も、理解の欠如を招くことになります。

 『中間の障害』  送受信ラジオの装置内部で起こる妨害の他に、第三の妨害源‥‥外部から入ってくる‥‥があります。
 意志伝達において、メッセージが、送信者から受信者に伝えられる経路そのものも、妨害と歪曲の大きな原因となることがあります。

 大きい組織においての意志伝達は、常に、定められたチャネル(連絡ルートや連絡方法)を通して、行われています。チャネルが広がれば広がるほど、歪曲を生ずる可能性が増加してきます。これは、パーティとか、ゲームで、良く行われる遊びで説明できる性質のものです。パーティにでている人達が、ちょっとした話を、隣から隣に伝えていって、室内を一巡するころには、最初に出された話とは、全く違った話になって、初めの人に戻ります。

 口伝えで「チャネルを通る」情報が、伝達点ごとに、歪められるのは当然です。そのため、受信者が受けるものは、送信者が送ったものと、全く違うものになって仕舞います。
 この問題を解決する一つの方法に、文書の利用があります。この場合でも解釈がチャネル内の伝達点でまちまちになる可能性があります。しかし、歪められる可能性は少ないのです。
それでも欠点はあります。書いていたのでは多くの要件が伝えられません。また(多く)伝えるべきではありません。そのことに時間がかかります。
もちろん、急ぎの要件とか、一時的な要件の場合には文書を用いることは、いうまでもありません

 情報の歪曲を減らす最も効果的な方法は、チャネルを短縮するか、可能な場合には、補助チャネルをつけることです。送信者から受信者にいたるルートの伝達点が少なければ少ないほど、情報が歪曲される可能性は少なくなり、信頼性や精度が高くなります。   つづく