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「目標としての利益」

 ビジネスでは、会社の目標を検討する場合、最初に取り上げられるのは、企業組織を運営するために必要な利益です。
 資本主義社会ではビジネス活動の当たり前の結果として、利益を出すことが企業の主目標になります。企業は利益で運営していますから、利益がなくては、企業を生き延びさせたりして、事業の継続をすることが不可能になるからです。
 しかし、いついかなる場合でも、利益が企業経営の唯一の目標であるとか、あるいは、最も重要な目標だと考えるのは、短絡する速まった考えになります。この考えの多くは、経営者サイドにおいて業績評価を行う場合、どのような業績であっても、業績を、最小公分母で測る傾向が見られるからです。最小の投資で最高の成果を得ようとする効率重視の考え方が強いため、それが利益を重視し過ぎる理由のひとつになっているためです。

 もし、利益だけが、企業の成功を測る有力な尺度になって、それぞれの中間管理職や全般管理者達の主目標になってしまったら、長期成長や計画は、不可能になります。短期的利益が優先されると過当な競争にサラされ自滅の危険さえ生じます。
 今日の経済界の、競争の激しい市場で会社が生き延びるには、計画を立てて成長に備え、将来に対する見通しをたてることは必要で不可欠なことです。しかも、研究開発、設備の拡充、人材育成など、一年や二年の短期間では資金の回収が出来ない事業計画に、当座の利益から資金を回わさなくてはなりません。
 その上で、現在の収益はさらに資本を増やし、会社の信用を高めながら、現在の株主や従業員を他へ移動させないようにするために必要なことです。

 「その他の目標」
 企業組織の願望は、短い期間にあげる利益の他に、長期的な収益も、両者ともに、安定継続させたいという願いを持っています。
 そこで、収益の性質を検討すると、長期的な収益というのは、投資などから上がる利潤とか一株当たりの利益の意味合いがあります。例えば、「一株当たりの利益率最低年一割の高水準達成」というような形容が会社の目標になります。

[市場占有率]
 多くの会社は、自社製品やサービス等の市場占有率を、成長の尺度にしております。この場合、「今後5年間にわが社の市場占有率を現在の12%から25%に伸ばす」といったような表現で目標を定めます。

[健全財政]
 自己資金を増やしたり、負債をなくすことも目標になります。例えば「6年以内に未償還社債を除却する」でもよいのです。未公開会社の場合を例にとると、「――年以内に株式を公開する」が目標になります。経営組織の目標を設定するには、基本目標に限らないで、金融面、あるいは法律的な立場の面でも、何段階かに分けた準備が必要です。

[技術の改良]
 販売製品として、新しい技術や方法など、技術の変化を売りものにする場合の目標で、製品の改良技術がそのまま目標になります。

[人材育成]
 多くの会社にとって必要不可欠であり、しかも、堅実な目標は、成長する組織の責 任を背負って立ち、今後、会社が大きくなっても、経営能力をもちこたえる人材を、社内に育てることです。

[社会的責任]
 ここ数年、商品の製造販売の結果、生活環境や社会環境に及ぼす影響について、社会的責任につながる目標を、従来の目標に加える会社がおおくなっております。社会目標としての事例には、地域社会との関係改善。環境への関心、身体障害者や外国少数派人種の採用、地元事前団体や市民団体に対する援助などで広い範囲に亘っております。

[部の目標]
 いま述べた主な目標は、沢山の数ある会社の、目標の中の数例にすぎません。
一般的に、会社の社内各部は、これらの全社的目標を達成するために、独自の目標を持つ必要に迫られます。そして、部あるいは課など、小ブロック組織の目標は、会社の目標より決めの細かいものです。これは、所轄グループの分業的な性格と関係がありますが、会社の包括的目標に、添ったものでなければなりません。
 つづく