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「長期計画」

 標準計画と単用計画は現状の状況を処理するのに用いられます。これら2種類の計画の他に、大抵の会社が、数年がかりで目標を達成するための発端として長期計画を立てております。

 比較的多くの小さい会社‥‥時には大会社でも‥‥では、長期計画は正式な計画として目標達成の手段にするまでに至っておりません。
 数人のトップが集まり、そのグループの間だけで長期計画を立て、その多くは正式な手続きを経ないまま、口約束だけのスタイルで発足します。つまり、多くの長期計画は、充分に検討された上で作成されるのではなく、現状に対する条件反射的な反応によって影響された結果によるものが多いためです。

 例えば、競争相手が、郊外のショッピングセンターに、支店を設けたとします。そうすると、経営者たちはパニック状態に陥り、すぐ近くのショッピングセンターに自社の支店を作る計画を立てます。何の分析も行わず、一回の需要調査もやらない、要するに、現実の可能性について実質的な配慮はなに一つなされない。と、いうひどい場合もあります。

 このような「計画化」を避けるために、フォーマルな計画化システムを採用する会社が増えています。けれども、このシステムには、計画化に参加する各人が詳細な計画を立て、会社の上層部、あるいは、審議委員会が最終的な承認を、与える前に、その計画の調整と審査を必ず行わなければなりません。

 フォーマルな長期計画は、通常3年から10年にわたりますが、5年というのが最も多いケースです。
 実際例では、長期計画が終わるまで、長年月を要する機械の購入、または、施設の建設といったことが、計画の中に含まれていない場合は、計画の実施期間は5年止まりにしたほうが効果的です。
 そのようにしないと、社会や経済や技術の変化によって何年立っても計画は達成できないかも知れません。さらに、5年以上も先の計画を立てたところで、あまり当てにならず、計画そのものが無意味になる虞が出てきます。

 多くの会社が連携された業務に結び付けられ、一体化する連動業務を想定すると、それは、一つの長期計画になり、関連する多くの会社は、一連の「短期計画」を実施していることになります。「短期」というのは普通1年から2年のことをいいます。それ以上に期間が長くなると、どのような程度であっても、確信を持った計画は立てられなくなります。その間の事情は色々あると考えられますが、重要なことは、その期間内に計画を達成し、纏めてしまうことです。
 長期計画はこの短期計画を基にしてはじめて計画を立てることが可能になります。

 個別にいう長期計画、あるいは短期計画というのは、独立する企業組織の、全社的な計画を指し示すことになります。企業活動の特定部分についての、標準計画や単用計画のことではありません。
 全社的計画を適切に作り上げるには、会社内で権限を持った人、つまりトップ・マネジメントの全面的な支持を得て、計画を立てるのにふさわしい権限をもった人がそれを立てるべきです。

 組織内の下層レベルの者に計画化を任せて、それに対する上司の注意もお座なりになると、トップ・マネジメントも口先だけになります。プランナーに、本腰を入れた支援をしないというようなことになると、計画化は決してうまく行かなくなります。

 短期計画あるいは、長期計画であっても、も必ず文書にすべき事柄です。コピーは、計画に従って仕事をする人全員、つまり、計画の実施に責任がある人全てに配布しなければなりません。しかし、それらの計画の周知徹底は、訪れる客には強い印象を与えるけれども、肝心の管理者には、まともに受け入れて貰えないような、特別展示品に化しては、計画そのものが無意味になってしまいます。

「長期計画の段階的要点」
@全体的状況の評価。世界経済、国内経済、地元・地域社会の圧力の影響、業界状況他、できるだけ公平な、現状からみた将来に対する見通しが含まれます。
 例えば、石油化学原料のプラスチックなど化成品の製造会社とします。この場合の長期計画は、数年間の原材料の確保率、國や地方自治体が、製造中に排出する汚染物質に対する規制を変える可能性、プラスチック産業に生まれつつある変化など、色々な分野を調査して、今後の変化についての見通しを持たなければなりません。

A会社の目標を検討、限られた目的を持った計画に変えます。
 目的を変えるには、既に述べているように、成長したければ、成長率、成長を達成するための方法、成長の予定表、資源の利用度、計画に伴う危険などを考慮します。

B計画の各段階で、目標とする結果を決めます。
 自分の「現」状を評価します、要するに、計画(設備、人的資源、経営管理、能力など)の影響を受ける中で、自分はどの位置にいるかを知ったうえで、さらに、計画達成後の、来るべき状況‥‥と比較してみます。

Cこれから以降に論ずる計画化の段階を活用します。
 種々の重要情報を総合的に検討し、創造的な思考力を働かしてよく練られた計画を立てることを可能にします。

D計画を生かします。計画を利用することです。
 経営者は、言葉だけで計画を支えるのではなく、「計画に従って仕事をする」ことを会社の基本にしなければなりません。

E再調査し、再評価します。
 少なくとも、6ヶ月毎に計画の実施状況を再調査します。しかも、どの様に変えたら良いのかを、調べなければなりません。年度替わりには、毎年、最終年の次の一年間の計画を立て、長期計画に加えるべきです。例えば、01年末には、01年から04年迄の計画に加えて、05年の計画を立てる例になります。

 長期計画で注意すべき点は、計画が出来れば、会社が発展する上での問題は、解決し てしまったかのように、思いがちになります。ところが往々にして、この思いは、悪い結果を招きがちになります。

1)最初の計画がずさんな計画になると、計画は生きてこなくなります。
 長期計画とは時間をかけなければ出来ない性質のものだからです。

2)計画に実行を求められている管理者は、計画の立案に参加しているでしょうか。
 専門スタッフによる立案は、ともすると実務経験に乏しいため、経験を軽く見がちです。その弊害を少なくする最終プランは、是非とも、実際に利用する人達の手によって、作成することが計画の信頼性を高めます。

3)必要としない資源を管理者に与えるような仕組みになってはいないでしょうか。
 管理者はあくまで、指示に従うとします。ですから情勢が変われば、変更も必要になります。

4)関係者は、変更に拒絶作用がないかの問題です。
 計画は労作であれば、情が移り計画のもつ動きが鈍ります。とくに、長期計画の場合、社会の動きには、柔軟性を持って対応するように、経営者は再調や修正などに意見を持つべきです。

5)すぐに結果がでないと、失望する人がいます。
 やり遂げたいことをやるには、それだけの時間をかけるべきです。

 評価長期計画はとかく抽象的になりがちです。半年乃至1年毎の進捗状況の測定が必要になります。そのため、この測定方法の開発が重要です。
 また、これを成し遂げる最善の方法には、計画の各段階毎の予測結果の形で、具体的な基準を設けることでもあります。
 結果が量的に表せる場合、測定は比較的容易です。もし、売上や生産性の伸びを期待していれば、それらの伸びを一年毎に量的に決め、実際の伸びと比較します。計画の達成度を各ステップ毎に測る場合においても、同じようなことがいえます。工期3年の建設工事などが相当します。一年間にどのくらい工事を進めなければならないか、それがわかります。

 長期計画に不確定要素が含まれている場合は至難です。社会的イメージ向上の目標など、購買態度調査や、新聞テレビなどでの分析などでの測定は出来ません。この場合も何らかの方法で評価のてががりになる一定の基準作りが必要です。この項終わり