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戦略経営組織論
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一桁>経営組織論?>『動機づけ』

続《動機づけ1》

続《動機づけ1》
 要求ヒエラルキー(段階)の第3レベルは、人間の社会的要求と関係があります。
生理的要求(第1レベル)と安全要求(第2レベル)が満たされると、社会的要求が行動の重要なモチベーターになります。
このモチベーターの中には、集団に属すること、人に認められること、友情や愛情を与えたり、与えられたりすること、等が含まれております。

 動機づけの問題は、人間関係に関する実験でも初期の実験に属します。1930年代に行われたホーソンの研究によると、作業集団での帰属と、承認についての感情が、士気高揚と労働生産性向上の大きい要因になっています。
 その後の研究では、きちっと組織化された、粘りのある作業集団は、組織目標達成のために個別に働いている同数の個人より、はるかに大きな力を発揮することが確かめられております。

 この事実を、企業経営において、多くの経営者は、しばしば見逃したり、わざと無視したり、積極的に否定しています。
 この否定は、恐らく、経営者の考えに反対する労働者たちが、共謀するなどして、労働組合を作ったり、集団行動を起こしたりを、しないかという不安からきているように思われます。

 しかし、人が集まって集団化するのは、生まれながらの本能的な、行動をおこそうとする心の動きです。
 経営者はこれに反対するよりむしろ奨励した方がよい方向に進みます。

 この社会的要求が抑えられますと、労働者は、経営者に対して敵意を持ち、憎んだり、用心したりの警戒感を持つようになって、非協力的な立場をとるようになります。
 経営者の不安は、そのような行為の結果として、現実になりますが、原因は別なところにあります。 
 労働者の自己主張的な要求‥‥。この要求は重要です‥‥。これは、大変強いモチベーターですが、労働者の社会的要求が満たされるまでは、あまり人間的な思考の対象、と、ならない論理的な性質のものです。

 自己主張的な要求には2種類ある。
 一つは自尊心と関係があります。これは自信、独立、業績、能力、知識に対する要求になります。もう一つは名声、地位、にたいする要求、認識、評価、同僚の尊敬と関係があります。

 企業ヒエラルキーの上層部は、仕事の上で自己主張要求を満たす機会に恵まれています。
 しかし、下の階層の従業員はなかなかそういう機会に恵まれません。
 実際に、典型的な工場労働者の職務は、自己主張の満足を得る機会が極めて少ないのです。
 このような職場では、職務構造が根本的に改められない限り、満足を得ることは不可能といえます。
 この問題については、後に触れることにする。

 マズローのいう要求の最高レベルは、自己完成ないしは自己実現です。
 このレベルでの要求は、自己の最高の、創造力と潜在能力の発揮による創造であるのです。
 これは、多くの人達にとって、自分の職務や職業などで、価値ある貢献をする事を意味するものになります。

《動機の2》
 企業が、その従業員に、自己完成に使える媒体を、使うことが出来るようにすれば、それが最も効果的な、モチベーターになるかもしれません。
 人間関係の活動に対する社内の空気は、トップ・マネジメントの態度によって決定します。
 トップ・マネジメントが、行動科学者の考え方に習い、動機づけに強い自信を持っていれば、その自信は、中間層以下の管理者にも浸透するでしょう。

 今度は、これらの理論を企業組織の中でどう実践していくかを、考えてみることにします。
多くの企業は、次のような方法を用いています。
【権限の分散】
 権限の分散と権限委譲については、既に考え方を述べました。
 これらの管理方法は、部下を細かい統制から解放し、自分の活動が、思いのままに出来るある程度の、自由を部下に与えます。これも彼らの自己主張的要求を満たすことが出来る一つの方法になります。 つづく