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一桁>経営組織論?>『動機づけ』

<部下を動機づける>

 これまで述べてきたのは、動機づけの一般的な方法でした。
 今度は、部下に、最高の仕事をさせるために、管理者が遣らなければならないことについて少し考えてみます。

 部下の一人一人を個人として捉えることは大切なことです。
特に、入社後の加齢年数や、コミュニケーションネットワークなど、革新活性などの、足かせになるような環境要因の影響力を知ることが大事です。

 管理者は自分の部下を、会社の従業員として知るだけでなく、「彼自身」の目標なり抱負なり野心なり、自立性を持った「人物として考える」として考えます。
 そして、その従業員の家族におよぼす、仕事の影響をプラス、マイナス両面から確かめるようにします。
 その上で、仕事と生活のどの面が、最高の満足を与えているか等を、知らなければなりません。

 部下のなかには、宗教活動、市民活動、社会活動など外部の活動に、真の活躍場所を見いだす人もおります。
 そこで、外部のはけ口で満たす要求は、会社の中で満たせないものだろうか、と言うことに、視点を移動させてみます。
 優れた能力を持ちながら組織の中に埋没して仕舞う例はよくあることですが、職務に充分な挑戦要素がないと、自分の創造力とエネルギーを、外部の活動に生かして仕舞うようになります。

 動機づけで大切なことは、部下にもいろいろな考え方を持つ人達もあり、仕事に求めるものもそれぞれ様々であることを認識しなければなりません。

 同じに扱っても、全く同じ反応を示す部下は二人とはおりません。同じ部下でも、時と場合によって、反応の仕方が違ってきます。
 部下の取扱いで必要なのは、行動心理学的な理解だけではありません。部下各人の情緒と、気分に対する敏感さも必要になります。

 このような場合、次の指標に注意することによって、管理者は、部下に最高の業績を達成させることができるようになります。
@ はっきり定義された妥当な目標を設定します。
目標は達成可能なもので、部下に理解されて受け入れられるものにします。

A 目標を討議する場合には、部下にアイデアや提言を出すようにすすめます。
それにともなって生ずる問題を一緒に検討します。
 部下達を巻き込むようにして、目標に関連したアイデアづくりに参加させます。

B 管理者が部下達を間違いなく信用していることを部下達に教えます。
安心感と信用を求めるのは重要な心理的な要求です。

C 管理者は必要に応じて部下を助けてやらなければなりません。
とくに、第三者がいるところで管理者が公然と部下を助ければ、掛け替えのない部下を、持っているのだという信頼感を、部下に植え付けます。

 部下のことを考える管理者は、次のようにすれば、前記にあげたことを実行で きます。
@ 役割についての目的、努力の対象となる最終成果を部下に理解させます。
目的とその達成が部下の将来、昇進などに関係することをわからせます。

A 部下に目標中心の記述書を与えます。

B 部下にとって目的と意義のある動機づけを計画を利用します。

C 会社の目標と、どのよう調和するか、また、会社の目標と関連における仕事の重要性を部下に教えます。

D 適当に褒め、それ相応に認めてやります。
しかし、褒めすぎは禁物です。過ぎると褒める意義が失われてしまいます。褒めるときは、「君は好調だ」などと曖昧なことはいわずに、業績をはっきり指摘して褒めるようにします。

E 業績を挙げられる機会を部下に与えます。業績達成は、それ自体有力なもモチベーターです。

F 個人的な目標を認識し、これと会社の目標とを結び付けるようにします。

G 部下が価値ある結果を、得る方向に努力する方法を慎重に計画し、組織化することによって、目標達成の精神を身につけ、保持して行くのを助けます。

H 部下が自己啓発目標を設定し、これを達成するのを助けます。この目標を達成する方法については、次の章で論ずることにします。

I 部下の目標達成を認めます。それが社内に広く知られれば、人に認められ、重要な存在になりたいという大きな要求を満たします。

J 会社と上司から受け入れられ、認められているという確信を、部下に抱かせるようにします。

K 現在やっている仕事に、価値があるということと、その理由を部下に教えます。

L 進歩の程度を部下に伝えます。部下は常にそのことに関心を持ってい性質のものですから、これについては次章に詳しく述べることにします。

M 部下の問題や考えや苦情を真剣に聞いてやります。これらのことは、管理者には些細なことに思えても、部下の立場では重要なことになります。

N どうすれば自分達の目標が達成できるかを部下に教えます。個人、及び各部門が、業績達成に成功する方法を、よく理解させるようにします。

O 目標をおろそかにしたり、無視したり、あるいは忘れたりしてはなりません。これは部下を扱う際に、管理者が犯す恐れのある最大の誤ちの一つになります。     
  つづく