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≪組織の調整とコントロール≫

<組織の調整-4>

続「経営はバランスをとりながら継続」
 組織の調整活動をその時々の変化に即応させ、最高度の調整を行うようにするには、△△すれば、○○になるというような訳には参りません。
 あたかも、ゴルフにおける『よいスコアは、よいショットの結果であって、よいショットは、よいスイングから』生まれるように、この格言の意味するところは、組織の調整行動を行うに当たっても、管理能力の向上技能などの指導能力を研鑽習熟することが不可欠であることを意味します。
 ここでは、最高の調整を行うには、次のことをしなければならないことを示しておきます。
1 会社の目標と会社の各構成要素を絶えず再検討する。
会社の目標の相対的な重要性を明確にして、最も重要な目標を達成することに最大限の努力を傾けます。しかし、第一目標達成に大きな努力を傾けるにしても、全目標達成に邁進できるだけの力を蓄えておきます。

2 主目標達成への努力が重ねられている間に、二次目標の再検討を行います。
 二次目標が主目標に調和され、担当の管理者が二次目標と主目標の関係を監視するようにします。

3 企業のあらゆる面でバランスを保つようにします。
 管理者がやたらに全体的な状況を考えないで、自分のお気に入りのプロジェクトに力を入れると言ったことが、大きな問題をはらみます。これでは主目標がうやむやになるばかりか、他の管理者も、上司の個人的な好みが、主目標とすべきものより、優先していると感じて、やる気をなくしてしまいます。よく起こるこれに似た問題では、専門分野‥‥(例えばマーケティング、あるいは特定の製品を担当する製品管理者など、さらに狭い専門分野)‥‥から昇格した部門管理者やトップ・マネジメントが、全体を考える前に、まず、自分の元の職位であった専門分野のことを、考えるといった問題があります。

4 常に方法の改善を怠らない
いままでの方法が使いものにならなくなって、新しいアイデアもまだ研究中とか、検討中ということになれば、会社は時代に取り残されてしまいます。
そこで、部が一つでもそのような状態に陥れば、バランスが崩れて会社全体の力が衰えることになります。

5 バランスの取れた経営を続けるようにするため、常時分析が行えるシステムにします。
 要するに、現在発生している症状から、原因を割り出して修正の上、目標を達成する方向に調整するものです。コンピュータを用いた経営情報システムでは、これらを自動化させることができます。

6 管理者が直接管理する責任領域だけに限らないで、下部のラインを含むすべてが、同じようにバランスを保つようにします。
 組織構造の下部の方向へ移動すればする程、組織調整のアンバランスが目に付くようになりますが、それだけの問題を事前に解決すると、会社の大事にいたらぬ前に、バランスを回復することが容易に出来ます。

7 コントロールシステムを利用して、各職務が予期したとおりの成果を生むのを見守り、そのようにならなかった場合には、強制措置を執るようにします。

8 社員はすべての仕事の重要な部分に時間をかけ、つまらないことで労力を浪費しないようにします。

 管理者は、すべて自分の義務と権限の限界をハッキリと理解していなければなりません。
 管理者がしばしばぶつかる悩みの種は、義務と権限をめぐる対立になります。この二つの問題は、ハッキリと文書に書き表して、関係者全員に示さなければならないものです。また、協力体制を敷かなければなりません。(協力のないところには調整はありません)ですから、場合によっては、内部対立を排除する必要も出て参ります。

 少なくとも、対立は起こらないようにします。対立していては協力が出来ないばかりか、努力のすべてが水泡に帰してしまうかも知れません。
 協力的な空気を定着させて維持していかなければならないと思います。これは、下位の全管理者と緊密な協力には意志決定への参加、アイデアや悩みを明らかにする機会、すべての部下にたいする公平な扱い、高い士気の維持が含まれております。

 協力的な空気を生み出す最も重要な部分の一つは、組織全体の主要な目的を全部達成するために、必要な各部の相互依存に関する理解を定着させて、維持することです。
 多くの会社、とくに分権的経営を行っているところでは、各部に対して『目標額』を協調するあまり、他の部を犠牲にしてでも、自分の部の利益を計ろうとする傾向が強まっています。

 どの様な管理者でも、目先の利益にとらわれないで、会社的な立場に立って、考える訓練を繰り返し繰り返し受けるべきでしょう。
 とくに、経営者は、管理責任者の担当部門の独自の業績ばかりでなく、会社全体の目標達成に貢献するように、それぞれの部門が上げた業績についても彼等が認めることで一段と促進するに違いないと思います。

 例えば、エンジニアリング・マネジャーは、製造部の利益には貢献しなかったのですが、自分の部の予算を超過する原因となった製法改良によって、会社に大きく貢献したことなどは、功績を認められるべきです。
 そのような配慮がなければ、エンジニアリング・マネジャーは、自分の部の予算に一層気を使うようになって、会社の長期的な利益は二の次になってしまいます。

 部門管理者やトップ・マネジメントは、すべて専門部もにたいして、それらの関係がどういうものであって、どの様な協力をしあわなければならないかを、ハッキリさせなければならないでしょう。
その点、部長会議を頻繁に開いてすべての目標を討議するなどします。よくできた職務記述書とともに分かりやすく書かれた組織図も、仕事のどの面を誰が担当するかといった問題で、誤解や対立が生ずることを防いでくれます。

 いずれにしても、最も大切なことは、各管理者に期待される成果をハッキリと理解して貰って、その成果を、企業組織の他のあらゆる面からの援助、協力、指示がなければ達成できないことをしっかりと肝に銘じて貰わねばならないでしょう。