2017/01/21:renewal
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会議の進め方

 最近は、急速に産業構造が複雑になり、ビジネス企業組織はそれにともなって、多くの株主、従業員、各種の設備、資材、その他いろいろ複雑に、社外の関係などを集約した総合体へ変革しております。 そのため多様な経営の要素と、さまざまな管理手段を有効に活用して経営を進めなければならなくなりました。

 会議は、その経営管理の一つの手段として、多くの人たちのその地位の上下に関係なく、一人前の人間してもつ知識と経験の情報交換を可能にする構造をもっております。
もし、会議を利用する結果として、参加者による感情理解の会議機能が促進するなら、会議は、民主的な人間関係を育て、あるいは、経営目的を達成させるなど、重要な役割を果たすことになります。

 しかし、現実行われている会議の例を見ますと、効果的な会議の運営はされておりません。形式的になり会議が踊るような嘆きの失望感をあちこちできかされます。
ある調査によると、ビジネス企業の管理職にある人たちが出席する会議は、週平均三回でそれに費やされる時間は、勤務時間の平均15%にも達しておるとしています。

しかも、その会議に費やされる時間は、100%有効であるかどうかの点を調べると、回答数の84%が有効でないとしています。そして、その理由は、リーダーの不手際によるものが58%、参会者側の不協力によるものが10%、その両方によるもの32%という結果でした。会議が成功するかしないかの比重は明らかに会議のリーダーにかかっております。

ところが、最近は、情報機器の発達によって、会議の構造も大きく変わっております。遠隔地から情報機器を介して会議に参加もできます。また、課題によっては、時間の制限がなく、コミュニケーションが可能になってきました。
しかし、会議の性質は、あくまでも参加者による知識情報や経験情報のビジネス感情の交換であることに変化はありません。

この会議本来のビジネス感覚の交換機能が、情報機器の発達によって生かされないことには、会議運営のスキルの良否によって、経営に大きく影響することになります。
会議のすすめ方は、これらの点に着眼して、こんごどのように会議を目的別に有効な活用をしたらよいのか。そのリーダー能力を啓発伸張する「会議のすすめ方」を、課題にして検討したいと思います。


会議の準備

会議の成果が実り多いものになるのか、乏しいものになるかは、参加者の人選や会議目的の周知徹底など事前の準備によって、ほぼ決まってしまいます。会議が始まってから、「あの資料が足りない」「プリントが間に合わない」と右往左往するのは最低の状態です。

  1. 戦略面から見た会議の目的、ポイントをあらかじめ連絡
    目的のハッキリしない会議は時間の浪費になります。
    会議の機能は、感情感覚情報の交換です。会議目的は、慰労や激励的なものから、能力啓発の管理技法の紹介であったり、目的情報の伝達、相談、討議、討論まで、広い範囲にわたっています。人間のコミュニケーションの中、70%以上は愚痴など感情吐露系といわれます。会議の冗長度を改善するには、この会議の目的や、重要点を、整理して予備知識による問題提起が大切になります。

  2. 会議の効果を最大にする参加者の人選
     会議が効果的に進められるかどうかは、リーダーの能力によるところが多くあります。参会者について、人数が多すぎると意見がまとまりにくく、逆に少ないと、重要な点が抜けてしまうおそれがあります。当事者、決定権者などを必要な人をもれなく集め、不要な人は避けることがポイントになります。
  1. 目的に関係している人
  2. 目的について知識経験のある人
  3. 目的の問題解決に協力しうる人
  4. その目的問題について納得して貰う必要のある人 
 と、いうことになります。参加者の選定に当たっては、利害関係や個人的な好悪の感情を入れることは厳禁です。 

  • 必要な場合は十分な根回しをしておく
    根回しの仕方、キーパーソンを見つけだして、目的は情熱をもって説明し、見方に引き入れます。キーパーソンとは、その職場やその部署などで、目的達成のためには欠かすことのできない中心となる人物で、世論を形成するオピニオンリーダー的な人です。
  • 参加者は発表すべきことをあらかじめ整理
    会議の参加者が提供する情報は、まずなによりも、会議目標に役立つものでなければならないのです。参加者集団の現在から将来にかけて積極的に動いていくための実践に役立つ情報を提起することになります。
     しかし、限られた時間内で会議の目的性格に沿うよう発表するには、要旨を整理して簡潔に理解しやすいよう手短にまとめ一ページ位にします。
  • 会議担当者の準備状況の確認
     会場の点検、備品資材など準備は、不可欠です。オブザーバーの着席位置、記録係、傍聴者の位置など、会議の空気を拘束しないように考慮を払います。
    会議室には、黒板、あるいはホワイトボード、OHP等、情報を伝達する場合の補助用具などの必要性を大切にします。
     また、発表を担当する場合などは、配付資料や、チャートグラフなどは、前もって用意し発表の手順、質疑予想などもあわせて準備します。


    会議の実際

    会議一定の手順によって進めることで容易に効果をあげられます。会議の工程を、四つの手順に分けるとすれば、最初は、会議の導入から始めます。目的や問題を明らかにして、関心を高め、注意力を集中させます。
    次は、リーダーの質問で、問題に対して参加者どのような観点をもっているか引き出します。つまり、参加者の知識経験上の発言によって問題を明らかにします。さらに、最良の結果を導くための討議補足がリーダーの質問によって、引き出します。
    三つ目の段階は、結論です。リーダーの質問によって、問題点が明らかになり、会議は結論の段階に入ります。最後は、明らかになった問題や討議の結果、さらに補足などを組み合わせて、リーダーの見解をまとめることになります。

    1. 問題点はどこかに集中して討議
    2. 会議の対象になっているものとの競合するものとの違いは?
      ギャップを埋めるには?
      差をつけるには、?
    3. 抽象議論のやりとりを避け、具体的に砕いた討議をする
    4. 応用可能性、用途についても検討
    5. 今後のスケジュールまで必ず検討する
    6. 行動に結びつかない中途半端にせずその場でまとめる
    7. 議長書記の確認
    8. 自己主張から目的達成のための発言へ
    9. 時間厳守
    10. 次回開催日時、場所、内容の確認
    11. 議事録の作成

    会議の運営テクニックがしっかりしていないと、時間ばかりかかって、なんら意味のある成果が出てこないのが会議の裏面性です。
     問題点に集中して論議を進めると共に、出席者の参加資格と役割の確認、それから次回開催予定の確認、さらに時間厳守の励行なども、ピシッと押さえておきたいものです。


    議長の役割

     会議を成功させる大きい役割は議事の進行役である議長とか、リーダーがその鍵を握っています。
     その役割には、会議の計画、準備、指導に関する技術だけでなく、リーダーの人柄、能力、知識、経験などが一体となって作用しているからです。
    普通会議を行うには、ルール手順をあらかじめ用意して行います。その場合の会議運営はあらかじめ計画され執行機関である事務当局が行います。このケースでは、議長は参会者から選ばれ、質問は執行部当局に向けられます。

    こうした場合の議長と、参加者から選ばれるリーダー役ではその役割に大きい違いがあります。

     議会形式の議長役は、あらかじめ予定された進行計画に従って、結論決定を受け入れて貰いますが、議事運営規則に従うとか、挙手、投票を求めた数の法を採択するなどの特徴があります。
    一方会議リーダーのケースにおいては、お互いの問題について、参会者の意見や考えを結集してよりよい結論をうみだします。

    また、良い会議指導技術によって自由討議を行ったり、参会者の思考を促すなど、グループの創意を尊重して結論に導くなどの特徴があります。
     ですから、リーダーは、すべての人は、人格をもっている。そして、共に話し、働き、楽しむときは、平等であると考えており、そのような機会に参画したいという社会的な欲求と、表裏一体の行動をする人に多くの人たちの心が寄せられることになります。また、テクニックとしては以下のスキルが要求されます。

  • 議事進行;会議スケジュールの説明、脱線の修正

  • 反対意見の十分出る雰囲気づくり;さえぎる発言の注意
    反対意見を持っていそうな人の指名

  • 場合によっては無責任な発言も許す(アイデアを必要とするとき)

  • 時間管理;その場で討議すべきことか、どうかの判断

  • 思考方法の指針に従っているかどうかのチェックを行う
    (1).中心を見抜き、構造を捉える
    (2).常に両面から考える
    (3).立場の違い、希望の違いを読む (4).確定要素から出発する
    (5).具体的な形に砕いて考えてみる

  • デボノ式6色ハット思考法を活用する
    デボノ博士は、六つの思考方法を組み合わせることで思のプロセスを意識的に組み立てていくことを提唱しています。十分に考えているつもりでも、
    (1).部分を見て全体を見ない
    (2).一面を見ても、もう一面を忘れている
    (3).立場の違いによる思考のブレを考えない
    (4).もとになる情報に誤りがある
    (5).抽象的なレベルでわかったつもりになって論を進めている
    ……など思考作業には思わぬモレがあります。上記の指針を確認しながら考えることが大切です。。集団で考えるときは、議事進行役がチエックしていくことが肝心で、以下の識別法などは大いに参考になります。
    1. 事実を把握=白色
    2. 感覚的見方=赤色
    3. 否定的見方=黒色
    4. 肯定的・発展的見方=黄色
    5. 創造的見方=緑色
    6. 思考の組み立てを考える=青色
      (デボノ博士の6色ハット思考法:ダイヤモンド社刊より)
       
  • 好ましくない発言への注意と指導
     生産的な会議ができるかどうかは、議長の議事進行能力次第です。短時間に密度の濃い話し合いをするためには、問題の在処をぼかしたり、雰囲気を壊すような発言はチェックして発言の方向性を修正しながら、参加者すべてが問題に集中できるようにしなければなりません。
    議長の発言べからず集
    1. 繰り返し発言
      もしくは、言い方を変えただけの内容では繰り返し発言になり混乱を引き起こす。
      しかし、相手が理解していない場合は別です。
    2. 欠点指摘のみで改善提案のない発言
    3. 攻撃的発言
    4. さえぎる発言
    5. 相手の意見を聞かず自分のペースだけの発言
    6. 次の行動につながらない発言
    7. 無目的な自己主張発言
      積極的な自己主張でなくても、主題とか変わりなく、自分の知っていることをつい喋ってしまう人もいます。
    8. 必要以上に詳細な発言
      相手が全貌をまだつかんでいないのに、かまわずに詳細を説明する人も多く見かけます。そのような説明は時間の無駄の可能性が大です。
    9. 主題に関係のない発言
      主題以外のところにこだわると、議事進行の妨げになります。
    10. 相手の揚げ足を取ったり、主要部分の論議をしようとしない発言
      枝葉末節を否定することで全体を否定するかのような発言です。
      戦術面の欠陥を指摘し、あたかも戦略面まで否定するかのような発言も結構多いものです。
    11. 反論のための反論
    12. 言い訳
      イエスかノーかをきかれているのに、その返事をしないで、言い訳からはじめる人がいます。相手は良いわけには興味がないかもしれません。

     
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