炎を司るセーラーマーズなら「マーズ・フレイム・スナイパー」、雷を司るジュピターなら「シュープリーム・サンダー」などとたいていの戦士の必殺技はわかりやすいのですが、ことセーラーアスタルテに限ってはよくわからない名前の必殺技が、それもたくさんありますね。
そこで、ここでは彼女の必殺技について、その名前や劇中の表現などからその技の効力について強引に解説してみたいと思います。なお、内容には筆者の思い込みや思い違い(^^;、冗談なども含まれていますのでご注意ください。
また、技によってはリリスなどと共に唱えたものもありますが、ここではあえて混在させております。
まず全体について見てみます。以下のような種別ができるでしょう。
「カイン」系:周囲を操る効力があります
「アンチ」系:生命の樹のもつエネルギーを逆流させる一連の技です
「ソロモン」系:セーラーアスタルテが使う正義の技で、攻撃力をもちます
「セマエル」系:カインもしくは悪もんアスタルテが使うわるもんの技で、攻撃力をもちます
そのほか:時空を操る、何物かを呼び寄せるなどの効力があります
〜一連の魔法により「生命の樹」の力を無効にし、世界の枠組みを破壊する。〜
「生命の樹」は「セフィロトの樹」とも呼ばれ、最上の存在である神から普通の人間までの世界の構造を定義するものです。この一連の呪文によって「生命の樹」の流れを逆行し、世界の枠組みを破壊するためのものと思われます。
「Malett」は「月明かり」の意味です。月からの光を遮り闇を到来させるものであると考えられますが、「アンチ・ティファレト」の対極として考えると、月=安息として安息を破壊するものとも考えられます。
「Kether」は原動天すなわち天そのもので、それは同時に「神の意思」「神の能力」でもあります。つまりこの魔法によって、天とそれを動かす神の力が及ばないよう封印、もしくは結界を張るのだと考えられます。
「Tiphereth」は太陽天を意味すると同時に、「Kether」と現世の間に位置する、我々が普通に見る「天」のことです。太陽の輝きは生命力でありすべての美の源でもあります。この魔法によって、太陽の威力を無効にし、生命力の根源を奪うものと考えます。
「Yesod」は前記の「Tiphereth」と後記の「Malcuth」とを結ぶ掛け橋を意味します。天と地を結ぶものということですべての基礎という意味があります。「Anti Yesod」はこの世界を形作る基礎の部分を破壊するものと考えられます。
「Malcuth」は地球天、つまり原動天に対して地面を意味し、「王国」や「神の妻」の意味もあります。「Kether」の対極に位置するもので、同時に「現世」あるいは「人間社会そのもの」を意味します。この魔法によって大地の力を封印、もしくは結界を張るのだと考えられます。
上記を月と太陽、天と地というそれぞれ対極するものとその中央に位置する基礎、として考えると面白いですね。ところで「Yesod」は劇中では「イエンド」と言っています。他に「いえんど」という発音のものは見当たらず「Yesod」のことと思われます。微妙に発音が変えられているようです。
〜その者の存在を現世から抹消する〜
柴ちゃんを代表する必殺技です。座ったままでもできます(^^;
「カイン・ザ・ダーク」については、女神アスタルテ本来の能力ではないかと考えます。本編では死んだ者を抹消させていますが、見方を変えれば天に昇らせているともとれます。女神アスタルテは万物に対してある一定の時間をもって「破壊」や「死」を与え、このように命を全うした者を天に導き、見守りつづけることが役目でした。したがって、この必殺技も本来は、女神アスタルテが死者を天に導くための能力ではないか?と考えたわけです。
まあ簡単に言えば「そのへんに転がってる死体をさっさと片付ける」ための技です(こらこら)
〜その者を自在に操る〜
いちどは「いいもん」側についたように見えたジルドレイとブランヴィリエの2人を再び意のままに操り、セーラー戦士たちに歯向かわせました。だれでもこの呪文をかけられると、意のままに操られてしまうのです。余談ですが、これら呪文にはなぜか英語が混じっているようですね(^^;
〜神を召還する呪文〜
これは後述する掛け声の前など、随所で唱えられるコトバです。リリスも何者かを召還させるためにこれを唱え、さらにはバルカンを呼び寄せる際にも用いていることから、神などなんらかの者を召還する呪文だと思われます。
「さざめく」は「さんざめく」とも言う古くからある日本語で、「にぎやかに」とかいう意味です。「星々のさざめき」などという使い方をしますね。
いっぽう、陰星の美に酔いの「陰星」とは後に登場するデスバルカンを示唆するものと思いますが、その美に酔うとはどういう意味でしょうか?私感ですが、陰星デスバルカンを崇拝しそのパワーを得よ、という意味かと推察しました。
呪文の中の2つの文では、両方とも前節では美しい振る舞いについて語っているのに対し、後節では行動を命じています。また前の文では「失せよ」と言っているのに対して後ろの文では「現われろ」と言っているのもおもしろいところです。それぞれは別の者に対しての言葉なのかもしれません。
これはなんでしょうね(^^;
〜聖なる光で、邪悪なものを破壊する〜
本編ではこれによりセマエルの剣を破壊しました。技の名前にもなっている「ソロモン」は女神アスタルテを加護したソロモン王に由来していると思われますが、基本的にこの名前がつく技はセーラーアスタルテ、つまり「いいもん」のときに使えるようです。
〜邪悪なものによる破壊を逆行させる〜
セマエルの剣で倒れそうになったセーラー戦士たちが、まるで時間を逆行するかのようにもとどおりになりました。時間を逆行させる、もしくは邪悪なものによる破壊をもとどおりにする能力があるようです。
〜空間移動〜
リリスたち仲間を引き連れてドラクル屋敷から神殿(エデン)にワープしたときの呪文です。セーラー戦士たちはその場からは弾き飛ばされてしまいました。「セマエル」の間違いぢゃないかって?いえいえ、「サマエル」なんです(^^;
〜無数の光線で敵を蹴散らす〜
ジル・ド・レイとともに放った技です。これは特定の相手を集中的に攻撃するというより、かなり広い範囲にわたって攻撃を繰り出す技のようです。
〜強大な光圧で敵をねじ伏せる〜
この直後の魔法と並んで「最強の魔力」(カイン氏談)ということ。
剣を逆手に握って後ろ向きにかける技です。このポーズがとってもカッコイイものがあります(^^)
この技はセーラー戦士たちがなんとか耐えてしまいました。「おの〜れ!こしゃくな〜!!」といったところでしょうか。
〜天から降り注ぐ3本の光の矢で、敵の身体を引き裂く〜
「セマエル・カイン・ザ・ソロモン」にも耐えたセーラー戦士たちも、さすがにこの技には蹴散らされてしまいました。金属的な音と同時に立て続けに降り注ぐ3本の光線が美しい技です(ビデオでは光線の演出がよくわからないのが残念)。
〜剣から繰り出す光線で敵の心臓を貫く〜
カインが激怒したときの必殺技です。極めてスピーディに繰り出すことができるのですが、効力はあまり強くなさそうで、敵を即死させるほどではないようです。
〜結界を操る呪文〜
リリスが作った結界を破った時の呪文です。このときリリスが恐れるような表情をして「やめろ!」と言っていたことから当初私はセーラーアスタルテへの変身の掛け声でもあるのではないか?とも考えましたが、冬公演のパンフレットでそれは否定されました(^^;
「Mithra」は古代ペルシャの信仰、ゾロアスター教の基礎となった中から生まれた神で、明けの明星もしくは太陽と同一視されることがあります。明けの明星は太陽を迎えるために暗闇を追い払う力を持っているわけですから、結界を払うという能力があるようですね。Mithra Moon Astaroth と、微妙に類似の神の名前が3つも続くという「大謝恩セール!持ってけドロボー!」的な感じではありますが、良いモンの技なのに良い神様の「Astarte」ではなく悪い神様の「Astaroth」を使っているところが面白いです。
直前に「さざめきて流れ…」の呪文を唱えているのは、重星バルカンもしくは女神アスタルテを召還し、パワーを得るものと考えています。