貧乏沢ー北鎌尾根ー槍ヶ岳        平成21年9月20日ー23日

 槍ヶ岳記録 2004年8月26日

コースタイム 
1日目 穂高、南安タクシー=中房温泉9;00〜11;15燕山荘12;00〜15;10大天井ヒュッテ
2日目 大天井ヒュッテ4;05〜貧乏沢出合6;40〜10;30北鎌のコル1045〜独標の巻きはじめ13;20〜16;10ビバーク地
3日目 ビバーク地7;10〜最初のチムニー14;00〜16;00槍ヶ岳山頂〜槍岳小屋
4日目 槍岳小屋6;45〜ババ平9;20〜徳沢園12;50〜14;35バスターミナル〜15;25沢渡下


仮眠をさせてもらった南安タクシー
前夜、
北鎌尾根の計画は今年3回目です、三度目の正直でやっと実行の運びとなった。参加者は平野さんとそのグループNさんとYさんSさんです。先月の赤木沢にSさんが入って5名です。Sさんはクライマーで今回の頼りになるリーダーです。一行は北朝霞駅を前夜の8時ころ平野さんの車で出発した。関越自動車道〜長野道〜豊科ICで下りて南安タクシーの営業所に着く。

ここで仮眠をさせてもらうが二階の会議室のようなところにはすでに10人ほどが寝ていた。場所取りをしてから外で前夜の乾杯をして寝た。その後続々と着く人がいた。30名が泊まったそうです。翌朝、タクシーはフル回転、順番待ちで中房温泉まで行く。温泉手前の駐車場はもちろん、1,5km手前から路肩駐で埋め尽くされていた。シルバーウイーク、高速道代が1000円乗り放題の影響か、このところ天候が安定していないで久しぶりの良い天気になったためでしょう。

北鎌尾根の全容
1日目、
中房温泉の登山口は人人人です。途切れることのない登山道はその名の通り表銀座です。合戦小屋では休憩場所がないのを予想して手前で食事休憩をした。結果は予想通り小屋前は大混雑だった。名物のスイカを横目で見ながら通過する。まもなく、左の樹間より、目指す槍ヶ岳の尖頭が見えると気持ちも高揚してくる。

合戦沢ノ頭に着くと紅葉も見ごろです。一登りして稜線に出ると、そこは燕山荘がホテルの様相を見せる。最高の天候に恵まれ、展望も最高です。昼寝タイムを兼ね30分の休憩をした。千天の出合から槍に伸びる目的の北鎌尾根が目の前に全様相をみせてくれる。正面に槍ヶ岳を眺め、右側に荒々しい硫黄尾根とその奥の裏銀座尾根を、終始見ながら歩く。しばらくして振り返ると剣岳も見えてきた。この展望も喜作レリーフに降りるところでお別れして、大天井岳を巻いて大天井ヒュッテに着いた。心配した混雑もなく、明日に備えて早く就寝した。

行く手には大天井岳

貧乏沢の最終の詰め
2日目、
天候は良、大天井ヒュッテを4時5分まだ暗い中、出発する。25分ほどで貧乏沢の分岐を示す板切れで藪道に入る。すぐにしっかりとした踏み跡になる。単独者2人に先に行ってもらう。この後も単独者に何人か会う、このルートは訓練すれば単独のいい修行の場のようだ。左沢が滝で出会うとまもなく天井沢に着く。休憩の後、川原歩き北鎌沢出合に到着した。先行パーティーが何人の見えている。途中水を確保する。

左の枝沢に入ったところで方向修正し、藪をトラバースして隣の枝沢を詰める。草つきの急斜面のステップを拾って稜線に出て5mほど左に下ると北鎌のコルに着いたが沢経験が少ない人はここまででかなり体力を消耗したようだ。ペースを落としてゆっくりと歩く。独標のトラバース入り口までは迷うことのない道でした。巻き道の入口には残地ザイルがあり、使わせてもらい岩を回り込む、その先のトラバース道は見た目よりしっかりとした道で快適です。オーバーハングの岩をくぐりぬける、一段下の足場を拾うと這うこともなく通過できる。ここは念のためザイルを出してもらう。

独標の巻き道の入口

独標の終わりのチムニー
最初の難関、チムニーに到着する。長いテープシュリンゲが残地されている。これを使って強引に突破できるが、ここはクライマーのSさんリードでロープを出してもらう。チムニー通過するとスラブを直登して稜線にでる、スラブはザレているが手がかりは沢山ある。


キレットを降り、登りなおすと常念岳が良く見えるようになりP11ピークから下りかけたところでビバークを決めた。稜線の左の僅かなテラスは5人が寝るのにちょっと狭いが三方が岩で囲まれたいいところだ。ツエルトを張り、食料をすべて出し合い、今夜、明日の食料計画をする。余裕で夕食を食べ寝たが、すぐに風が吹き出してきた。

強い西風で我々は稜線の東にいて西側は1.5m、両サイドは4mの壁があるが強風はその壁とツエルトの間に吹き込みツエルトを巻き上げる。ザックで押さえしのぐが外側の人は風にあたって震え来るほど寒い。足が冷えるので靴を履く。以前秋田の赤湯又沢で大雨にあった時を思い出した。抱き合うようにして寒さをしのぐ。恐怖の風も朝方になってようやく風も治まりほとんど眠ることが出来ないで一夜を過ごした。稜線でのビバークはツエルトにくるまった状態のほうが良いと感じた。風がない時は張るのもいいだろう。良い勉強になった。

今回一番接近して見た
槍ヶ岳

ビバーク

槍直下
第一のチムニー
3日目、
霧雨の中を出発準備をしていると、昨夜、独標付近でビバークした4人パーテーが通過していった。残念なのは、1日中ガスが立ちこめ槍を見る事がなかったことです。P13まで忠実に稜線を行き、P14で右に良い巻き道が見え、先の岩にはケルンもあり当然ここがルートと思い進んだが行き止まり、一旦、鞍部に戻り直登してP14に着く。P15は右を巻いた。

そのため「諸君頑張れ」の文字を見ることは出来なかった。この付近濃霧でピークを見る事が出来ないので正確な位置を確認できなかった。北鎌平を見過ごし後で気がつく。北鎌平から直登の予定が右側を小さく巻き3030mで尾根に乗った。大岩が累積し今までの雰囲気とは変わる。直下の最初のチムニーが出てくる。左側に乗ってその上の残地シュリンゲでクリアーした。

第2のチムニーは大きい。ここには長いロープが垂れていたが引っ張ると落ちてしまった。右壁に第一歩を乗せ、更に右壁のガバを持って競りあがり左足を左壁に突っ張ると思いのほか簡単に登れた。ここは右壁に良い手がかりを見つけられる。第3のチムニーは2mほどで小さい、右足に第一歩を求め右手上に持ちやすい岩がありそれを掴んで左足を持ち上げるとクリアー出来、顔を持ち上げると岩の向こうに山頂の社が見えた。

若い女性が拍手で迎えてくれた。大天井ヒュッテから槍岳小屋まで12時間の予定が23時間かかってしまった。長い長い北鎌尾根だった。1日遅れたため槍岳山荘はすいていて、快適に過ごせた。ただ宿代9000円を払って洗顔は駄目は厳しい。飲み水は無料で分けてもらえたからよしとするか。

 
やりました!!


第二チムニー
これが最大

草紅葉の槍沢を下る
4日目、
朝方は霧雨だった、雨具をつけて槍沢を下る。草紅葉が良い色合いになってきいる。天気が良いと黄金色に輝き、楽しませてくれただろうと思いながら歩いた。ババ平で休憩をし、テン場のパイプからほとばしる水を飲む。

槍沢ロッジは通過、横尾山荘でラーメンを食べる。徳沢園でソフトクリームを食べる。腹が冷えて明神でトイレに駆け込む。明神の売店前の綺麗な赤い実のなる木があった。店の人に名前を聞くと、ミヤマカンボクと教えてもらう。もうひとつやはり赤い実をつけた大木があったが聞き忘れた。ズミの木かエゾノコリンゴだと判断した。

葉っぱが分裂してなかったからエゾノコリンゴ?バスセンターはビックリするほど人がいません。タクシーが客待ちで列を成していた。早速、沢渡下まで5人乗りを頼む。4000円だと思った。バスは一人1200円なのでかなりお得でした。車の回送先、お食事処「しもまき」で温泉に入って、恒例の風呂上りのビールで無事を乾杯した。
アルコール拒絶症の平野さんに運転をお任せ、高速道路もすいすいと走れた。長い連休の最後の日は空いていると聞いたが嘘ではなかった。ビバークの恩恵を思わぬところで受けた。北朝霞駅で解散