越百山ー南駒ケ岳ー空木岳   平成24年11月2日ー4日 TOP  BACK

空木岳 2011年11月3日の記録

コースタイム
11月2日 伊奈川ダム駐車場6;10〜上の水場9;50〜11;10越百避難小屋(泊)
11月3日 避難小屋6;15〜7;15越百山7;25〜仙涯嶺9;00〜10;50南駒ケ岳11;25〜13;50空木岳14;05〜15;25木曽殿山荘(避難小屋泊)
11月4日 木曽殿山荘8;00〜9;15仙人ノ泉9;30〜11;05うさぎ平11;20〜13;00伊奈川ダム駐車場
  
1日目はGPSの電源を入れ忘れた

 
伊奈川ダム上部の駐車場で仮眠
(下山時の写真)
11月1日

丁度、1年前に池山尾根〜空木岳〜宝剣岳に縦走した。その際、空木岳で眺めた南駒ケ岳に強く惹かれたがハードコースのため躊躇していた。連休を利用して思い切ってゆくことにした。 先週、松井さんと那須の井戸沢にゆく予定だったが天候不良で中止になり、その松井さんが飛び込みで、ご一緒してくれることになって大変心強いパートナーができました。
夕方6時に新秋津駅で松井さんの車に乗せていただき圏央道の入間ICに入った。
高速道路入り口の案内板に中央高速の大月IC付近で火災があり通行止めと表示されていたがそのまま大月まで行く。大月で高速道を下ろされる。国道20号の信号待ちで渋滞だった。一般道を走って勝沼ICで再び中央高速に乗った。このため1時間半ほど遅れることになった。
伊那ICで高速を降りて権兵衛峠トンネルで木曽谷に出て、国道20号を南下する。大型貨物車がやたらと多く走っていた。中仙道を徒歩したときのことを思い出す。水を確保するため木曽福島駅によった。木曽路の冷気が厳しい。
須原駅を過ぎて伊奈川の橋を渡り、大桑中学の標識のところで左折する。須原宿の民家を過ぎると伊奈川に沿って林道を走った。
ダムサイトの先に通行規制がされている工事現場を通過するとゲートがあって、その手前の駐車場にテントを張って仮眠する。
十三夜の月が煌々と照らす、とても寒い夜でした。

 
林道歩き
 11月2日 晴れ
連休は天気良好の予報どおり、寒いが快晴の気持ちよい朝です。テントを撤収して車に置く、今回は避難小屋を利用するためツエルトを持った。ゲートの脇を通り抜けて、橋を渡ると南駒ケ岳、越百山への道と空木岳への道が分かれる。左の道は下山に戻る道です。右の林道を行く。まだ紅葉も楽しめる林道には落ち葉が敷き詰められ快適です。
少し進むと栃福橋で道が分かれる。南駒ケ岳へは林道が続くが越百山へはここから登山道になる。堰堤から急登が始まる。薄くらい樹林の隙間よりこの山域特有の花崗岩の白い谷と紅葉とが程よい色合いでいい感じです。

最初の水場はパイプからの一筋の流れでとりにくいので、水取りは上の水場ですることにして通過する。展望台は薮が邪魔で展望不良です。
若い男女が下山してきました。摺古木ー安平路山ー越百山を縦走して夕べ越百避難小屋に泊まったと話してくれた。小屋に電話したときは避難小屋はやっていないと言われたので今日は頑張って摺鉢窪避難小屋までと思っていたので一安心しました。

上の水場まで来ると雪も少しだが積もっている、水場が凍っているのを心配したが流れていて苦労することもなく水の補給が出来ました。


上の水場
ここから2分ほど下ると沢水がある
 

樹林の下草
このカヤが非常に多い 
針葉樹林の下草のカヤが多く生えていて、枯れたカヤが茶色に彩をなして一風変わった様相です。そこに薄雪で薄化粧をしたやさしい風景が見られた。針葉樹には霧氷を纏い、見上げると高い空に突き抜けて凛とした佇まいを見せる、瞬間の芸術作品だろう。
樹間より南駒ケ岳、仙涯嶺が顔を出す。仙涯嶺の岩峰が鋭く、登れるか不安を感ずる。三沢岳が大きくその奥には真っ白な木曽駒ケ岳も見えている。
急登が終わって、栃福山を巻くように、若干下りとなり、越百小屋に到着する。お世辞にもきれいな小屋とはいえない。小屋前の広場には何かの廃材だろうか太い枕木が積まれていた。まだ11時で泊まるには早すぎるが松井さんは運転、私はテニスの疲れで寝不足です。泊まることに決定です。管理人さんはいません、小屋は閉じられているが隣の避難小屋を使わせてもらう。避難小屋とはかかれていません「古い小屋」となっていました。何かこだわりがあるようです。

小屋から越百山は霧氷で真っ白く、山頂部の森林限界にはジグザグと登山道がはっきりと見えます。南駒ケ岳の山頂と北沢尾根が見られます。
展望はこのくらいです。夕方には赤く照らされ、お色直しをした姿を見せてくれました。ジュースと缶ビールの入ったダンボールがおいてあり、「よかったら飲んでください」と書いてあったので二人で一缶を開けるがあまりの寒さに二冠目に手が出ません。やっぱり、お湯割り焼酎の方が最高でした。

寒さしのぎと暇つぶしにお湯の使いすぎが翌日の予想外の疲労につながることになりました。
二人だけの貸しきりで小屋は余りにも寒く、小屋の中にツエルトを張って寝た。この作戦は大正解でした。

 
 
到着時、小屋前で
越百山
 
小屋前より
夕日に照る南駒ケ岳

左が越百避難小屋
(古い小屋となっている)

 

 越百山が近くなった
11月3日 晴れ

気持ちの小屋代を箱に入れ、越百山ー南駒ケ岳ー空木岳の3座を目指し、気を引き締めて小屋を後にする。
シラビソの樹林を黙々と登る、樹間より御嶽山が明るく輝き始めるのが見えてきて、日が昇るのを知る。
高度を上げると乗鞍岳も見え出す、さらに穂高岳も見えてきたりすると、浮き立つ気持ちは自然と感激の言葉を発しさせる。
潅木も薄くなり、ハイマツ帯に出ると白ザレの登山道を行くようになる、ハイマツにはエビの尻尾が出来始めている。
晩秋といえ、山はもうすっかり冬の季節が始まっていた、

風はなく穏やかだが冷え込みは厳しい、2613mの越百山に到着した。遮る物のない、ドーンと360度の展望です。富士山の頭に朝日が登り、南アルプスの秀峰がシルエットとなって連なっている。10日ほど前に登った御嶽山の山頂もすっかり白くなっている。十三夜の月もしっかりと存在を見せていた。仙涯嶺の岩陵とさらに南駒ケ岳へと続く痩せ尾根に向かって歩き出す。しばらくは痩せ尾根だが、さほど危険のない陵線漫歩だ。意外と簡単仙涯嶺の岩峰に登った。

 
 
仙涯嶺、南駒ケ岳へ
 
仙涯嶺の岩峰
 
  仙涯嶺のクサリ場を下る
 仙涯嶺からが核心部で、最初の難所となる、ルートが違うのではないかと思われるような岩場の下降で始まる。狭いテラスで仙涯嶺の岩陵を左から巻くように下るとテン場によさそうな平地に降りる。
クサリ場が現れる、雪の下がアイスバーンになったところが頻繁に出てきて細心の注意で足場を確認しながら、ゆっくりと下るがそれでもヒヤッとすることもあった。
薄く凍った草付きはさらに危険だった。巨岩奇岩の隙間を縫うようにしてアップダウンを繰り返す。ザレをロープを頼って登りきると一息つける。

 


怖い、凍りついた草付きのトラバース

 
 
巨岩帯をぬう
 
クサリ場を降りるとこのテラス
で仙涯嶺の岩峰を巻く
 
カールの崖淵に摺鉢窪避難小屋がある
右下に赤い屋根の摺鉢窪避難小屋が見えてきた。崩壊の進むカールの崖淵に建っている。ここまで来ると南駒ケ岳の山頂も近くなって山頂に人も確認できるようになった。
山頂直下の岩についたエビの尻尾が大小、形もさまざまでよく見ると面白い、強風と寒さが厳しくこんな形を作り出したなどと考える。

緊張の連続に開放され一寸だけ、余裕が出来た証拠か?
山頂には3人の聾唖者が休憩中だったが直ぐに越百山に向かっていった。
ここも、申し分ない天候に恵まれ360度の展望を岩陰で食事休憩をしながら堪能する。南駒ケ岳に遮られていた、空木岳ー三ノ沢岳ー宝剣岳ー木曽駒ケ岳がその姿を見せてくれた。八ヶ岳も南八だけだったのが北八の蓼科山、さらに浅間山が見えている。振り返ると歩いてきた尾根と越百小屋がはるか遠くに見えている。
 

南駒から
空木岳と宝剣、木曽駒を
 
 
宝剣、木曽駒をズーム


南駒ケ岳
 

振り返って南駒ヶ岳

南駒ケ岳を後に、北斜面を恐る恐る下ってまもなく摺鉢窪避難小屋の分岐につく。小屋は伊那谷と南アルプスの絶好展望台で伊那、駒ヶ根の夜景がさぞすばらしいだろう思いながら見つめた。ここまで5時間半を要した。昨日ここまで強行すると6時に漸くたどり着くことになる。アイスバーンの悪路は昼間歩くより危険だったはず、越百避難小屋に泊まってよかったと改めて感じました。
赤椰岳に立ち寄って空木に歩を進める。
東側が切れ落ちたのこぎり尾根の西側にトレースがはっきりと見える。最後は電光形に空木岳に上り詰めている。
巨岩が次々とはだかる。急登ではないがボデーブローとして確実に襲い掛かってきた。水不足もあって給水量が少なく足取りはさらに重くなってきた。
空木岳直下の岩場を這うようにして山頂に着く。笠ヶ岳、奥穂高岳もはっきりと見えて、やや風が冷たくなったが相変わらず快晴で360度の展望が欲しいままですが疲れ過ぎて展望を楽しむ余裕がありません。空木避難小屋に下るのが一番近いのですが斜面はアイスバーンの感じに見えるので、予定通り木曽殿小屋に下りることにしました。
疲れきった足にはここからが地獄でした。


疲労困憊で
空木山頂 
 
池山尾根への下りはアイスバーン

 
 空木岳は見えるがまだ登りは続く


木曽殿に向かってクサリ場を降りる
この先が異常に長かった
 
空木岳からの下りがこのルート第2番目の難所です。クサリ場が連続する急下降が続きます。夏場でも厳しい下りが雪とアイスバーンで足がすくみます。疲れた足は踏ん張りもバランスも悪くなっているので岩陰で頻繁に休憩をしながら何とか気力を奮い立たせて木曽殿小屋にたどり着きました。水不足のため義仲の力水にみずとりに行くが枯れていました。私は水取りの途中で松井さんを待っているほど疲れていた。

小屋に戻って、雪を集めて水作りをすべて松井さん一人でやってくれました。池山尾根に縦走するテント泊の若者が少しだけ飲み水を分けてくれ、ありがたく頂戴した。越百避難小屋でもう少し計画的にしていたらこんなことにはならなかったので大いに反省するところです。

日が沈み、暗くなる南駒ケ岳を見て少し落ち着く。真っ暗な避難小屋には我々のほかには宝剣に向かう縦走者が一人泊まっただけでした。余りに疲れたためか、興奮してか、熟睡が出来なかった。
 
 
夕日と木曽殿山荘

 
木曽殿山荘で
明るくなる八ヶ岳を見て下山
 11月4日 晴れ
昨日にもましていい天気です。朝日は空木岳の尾根に遮られてだめでしたが、八ヶ岳連峰がゆっくりと明るくなってくる。
8時ころ小屋を出た。枯れている力水の水場を恨めしく見ながら通り過ぎた。とても暖かく上は2枚も脱いで丁度良い、見晴台でシラビソの大木の陰に南駒ケ岳を仰ぐと、朝日がまぶしい。仙人の泉で顔を洗って、思い切り水を飲むと、乾ききった体に沁みこむ。待望の水、生き返った!!

北沢の吊り橋を渡って一休みする。この付近から樹林の中に鮮やかな紅葉を見ることが出来るようになってきた。御嶽山を望む展望場を過ぎると林道に降り立つ。うさぎ平です。林道をなだらかに下る、高度が下がり山腹の紅葉はまだ見ごろで気持ちよい。
一昨日、出かけるときは我々の車だけでしたが8台が泊まっていました。名古屋ナンバーが多かった。

 
仙人の水
復活の泉でした
 
伊奈川ダムと紅葉
 伊奈川ダムのきれいな紅葉とコバルト色の水に魅せられシャッターを押す。
来るときは暗く何も見えませんでしたが渓谷は深く、白い花崗岩の巨岩大岩の渓谷美に紅葉がマッチする。美しい眺めを楽しみながら国道19号に出る。少し南下してフォレスパ木曽の阿寺温泉で汗を流す。駐車場にはツアーバスが止まっていて、ハイカーが沢山歩いている。

地元の人に聞くと阿寺渓谷、柿其渓谷など紅葉の名所があるらしい。
風呂上りに柿其渓谷に寄ってみた。歩きつかれた足を無理やり動かして長い階段を登って牛ヶ滝を見物して戻った。
来た道を戻り、伊那ICで高速道に乗って帰郷した。
渋滞もあって家に着いたのは12時一寸前でした。