▼いきさつなど

 1999年、完全手作りの私家版歌集『虚界』が3冊できた。できたできた!と喜んだのは作者だけであった。おおかたの反応は今にいたるまで「そういう道楽みたいなことやってないでもっとちゃんとしたら」であるが、ちゃんとした行為で満足できていたらそうしていた。

 この形だった。ここにたどり着いて、やっと成仏できたんだ、魂、という感じだ。なぜ、そうなのか、ほかに何か和解が成立する方法はないものか、といったことはあっても、とりあえず、これなのだ。

 ただ、どうしても歌集にしたいモノを持っていたわけではなかった。偶然目にした歌集がとてもおしゃれだったので、作ってみたくなったのが直接の動機。素材は何でもよかったから作品からまとまりのよさそうなものを選んだ。この安易さが批評会の場で多くの方から指摘されたことは言うまでもない。

 歌集制作を記念して、エキスパンドブック版『虚界』をつくってみた。これはこれで、大勢に見てもらうことができるし、なかなかいい、と思って自分のサイトに置くことにした。こちらも、まれに感想をいただくこともあったがほとんど自己満足の範疇に過ぎなかった。

 そうこうするうち、所属する短歌グループ「環」の例会で『虚界』を読むことになった。これも、テーマが何もなかったので苦し紛れにそうなっただけで、だいたい、3冊しか実物がないのだから、エキスパンドブックからテキストをコピーして、そのプリントを配る、という情けないことになる。

 このあと、メンバーの方たちが批評会に向けて動き出したのである。これはわたしの予想もしていなかった展開で、だいたい、3冊しか実物がない歌集についての批評会とか出版記念会なんてふつうできるわけないでしょう。しかし日取りが決められ「プリント」がまず配られ、案内状が出され、前代未聞の「プリント」を読む批評会が実行された。

 これは、幹事のみなさんの覚悟のたまもので、その強烈な力にまずお礼申し上げたい。また、無謀とも冗談ともとれるこのような会に出席された20人もの皆さん、その勇気には感服しました。場所を提供いただき、心のこもったお料理で祝ってくださった「とまとまと」の藤田慎さんほかスタッフの皆さんにも感謝します。

 このようなわけで、自分の身に過ぎたことが起こったのであり、たとえば泉で目を洗ったら病気がなおった人のように(ちょい大げさ)、このことを記録、公表することはボクのよろこびです。


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