爽快に生きる!
自然治癒力を高める根本健康法

 薬を飲まずにおいしいごはんを食べよう。


爽快に生きる!
自然治癒力を高める根本健康法
 
綿谷 浩史  (株)メディアパル
 薬を飲まずにおいしいごはんを食べよう。もともと備わる自然治癒力を高めることが医者いらずの身体づくりにつながる。
 あなたは漠然と「病気になったら医者に行けば治してくれるだろう」と考えていませんか? 現代医学では健康状態は良くなりません。「自然治癒力」を高めることで病気を治し、健康を保つ根本健康法を紹介。
目次

序章 自然治癒力とは


第1章 根本健康学のすすめ

  病気について考える
  健康について考える
  健康を保つしくみT 恒常性のしくみ
  健康を保つしくみU 消化・吸収一同化のしくみ
  恒常性が維持されないとき
  根本健康学のすすめ


第2章 からだにやさしい生活

  生活習慣がそのまま現れる糖尿
  健康体へのアプローチ
  食性の欧米化について考える
  食物の安全性について考える
  食生活のポイント
  食生活とアレルギー
  人生の先達に学ぶ
  運動と健康


第3章 こころとからだの健康

  ストレスと身体の適応
  ストレスとつきあう
  利他的利己主義のすすめ
  健康の源は基本的な信頼感から


第4章 これだけは気づいて欲しいチェツクポイント


おわりに あなたは生きていますか?


[対談]奥田拓道vs綿谷浩史
  健康の基本は食事にあり
著者紹介

綿谷浩史[ワタヤヒロフミ]

 1940年(昭和15年)三重県四日市市に生まれる。1972年(昭和47年)健康運動の理念を元に、自然・健康食品を取り扱う。故千島喜久男先生に師事し、また杉靖三郎先生の教えを受けて「根本健康法」「心身一如の健康学」を確立する。四日市市に「四日市健康生活センター」を開設。健康講座、自然食料理教室、体操教室などを開催し、地域密着型の健康啓蒙普及を行う。1984年(昭和57年)名古屋に「健康生活グループ友愛」を設立。健康生活情報誌「ゆうあいひろば」(月刊)を発刊。健康・食生活に関して、講演会や研修会の講師として活躍中

上記書籍内容の一部抜粋です
ストレスと身体の適応

 "病は気から"といわれるようにストレスは身体の障害に大きな関わりを持っています。ストレスが原因でおこる病気には、ぜんそく、胃潰瘍、などの免疫機能の低下するものが多くあります。また病気に到らなくても、胃が痛くなったり、心臓がキューツと痛むなどの変調を身体にきたします。

 精神的な緊張をはじめとして気温の変化、栄養の過不足等…私たちの身体は常にストレスの原因、ストレッサーに囲まれています。およそストレスのない社会などはないのですから、発想を変えてむしろどのようにストレスとつきあっていくかを考えることが重要です。


ストレスの意味について考える

 ストレッサーは私たちにとって悪い作用ばかりもたらすのでしょうか。

 アメリカの心理学者が面白い実験をしました。ストレス刺激の全くない部屋で過ごすと人はどうなるのか調べたのです。結果は体温調整の低
下、暗示にかかりやすくなる、幻想を見る…などの影響がでました。

 ストレスは私たちにとってむしろ適度に必要なものなのです。

 またこんな話を聞きました。

 最近原因不明で発熱する小学生が多いそうです。それは今の子供たちが生まれてからクーラーのよく効いた部屋で汗を流すことなく育ったためです。人間が持つ汗を流して体温を調整するという能力が未発達のため発熱してしまうそうです。

 ストレッサーを避けてばかりいると、ストレスに対する抵抗力が低下してしまうようです。

 "おばあちゃん子は三文安い"などといわれますが、子どもを可愛がりすぎると子どもはちょっとした寒さに耐えられずすぐ風邪をひくようになってしまします。


ストレスに対して強くなるには

 避けて通れないストレスに対して強くなるには、特に関わりの深い抗ストレスホルモンを分泌する副腎を鍛えることが重要です。

 筋肉を鍛えるのに"ルーの原則"があります。

 「筋肉を使いすぎると破綻し、使わないでいると萎縮し、適度に使うときのみ発達する」というものです。

 ストレスに対する抵抗力を高める場合も、全く同じことがいえます。

 意識的に反ショック相を活用し、副腎皮質から分泌される防衛ホルモンの分泌を活発にし、適応力を高めるようにします。

 そのためには"自らすすんで、少しイヤなことをする"つまり軽いストレッサーを自らに与えることです。

 ストレッサー〈作因〉により身体に歪みが生じますと、

 ・間脳視床下部より、脳下垂体に、ある種のホルモンが分泌され、脳下垂体から副腎皮質に"適応するホルモンを分泌せよ"と命令するホルモン(ACTH)が分泌されます。

 ・命令を受けた副腎からは色々なステロイドホルモン(コーチゾン、コルチコマテロンなど30種以上)が分泌されます。

 このように毎日少しずつ刺激を与えることで私たちの副腎の防衛ホルモンの分泌は活発になり、少しずつ適応力が増していきます。

 注意したいのはストレッサーを受けて、身体が一生懸命に適応する抵抗期の期間が、普通1週間位といわれているので、長期間に及ぶもの、また強すぎる刺激は避けることです、逆に身体を傷つけてしまいます。"自らすすんで少し嫌なこと"を明日まで疲れが残らない程度に実行しましょう。

 また昼夜を問わず長くストレス刺激が続きますと、副交感神経が主に働く時に緊張する交感神経が引き続き作用してしまい、自律神経が失調をきたしホルモンのバランスは乱れてしまいます。内臓や血管をゆがませ、やがて何となくヤル気がないなどの慢性疲労の症状になって現れてしまうので、一日の中ではメリハリをつけるようにしてください。


間脳を活性化させることは…

 私たちの適応力は適度のストレッサーによって鍛えられます。しかし足や身体の筋肉を使わないと自然と減少し弱くなるように、適応力も同じように適度の刺激がないと弱くなってしまい、マイナスの適応力、すなわち退化してしまいます。

 アメリカの実験ですが、捕獲した直後の野生のネズミと快適な環境で何代にもわたって人工飼育されたネズミの臓器を比べたところ、大きさがまったく違いました。

 野生のネズミは肝臓も脾臓も心臓も大きかったのですが、特に副腎は飼育ネズミの2〜3倍もの大きさでした。そして両方のネズミにホルマリン系の毒物を注射したところ野生のネズミが毒に耐えうる力は飼育ネズミの360倍もありました。

 野生のネズミは気温の変化、外的の脅威などのストレッサーに常にさらされ、これを克服し、抗ストレスホルモンの分泌を活発にして適応したものと思われます。

 私たち人間も困難なことや厳しい環境に積極的に自らすすんで立ち向かうことに、より身体全体の適応力を増す秘訣があるに違いありません。

 精神的ストレッサーを利用して副腎を鍛える時、ストレッサーはまず間脳〈視床下部〉を刺激します。

 刺激された間脳〈視床下部〉は自律神経系・ホルモン系そして免疫系を駆使し、全体の各器官(内臓・筋肉・その他)の働きを調整します。

 間脳〈視床下部〉は恒常性の維持の中心的な役割を担っています。間脳〈視床下部〉を老化させないこと、つまり間脳<視床下部>を活性化することは心と身体のシグナル(血糖が高い、低いなど)にうまく反応し健康で生きていくための秘訣です。

 食べ物でも薬でも受け入れる側の身体が正しく反応しなければ、それらの効果はあまり期待できないのです。

 適度なストレッサーにより適応力を鍛えることは、間脳〈視床下部〉を鍛えることにつながり、あらゆる病気に強くなる、健康の基礎を強化するという深い意味があるのです。


ストレスとつきあう

 様々なストレッサーのうち精神的なストレッサーは日常生活のなかで大きな比重を占めています。現代はまさに「ストレス社会」といわれ、老若男女を問わずストレスを感じ数限りない緊張と圧迫は年々高まっているように思われます。自殺者は交通事故死者よりも多く年間3万人以上になります。こころの問題は健康を考える時重要な要素です。屈強な身体の持ち主であっても、心配ごとや悩みが多いとほどなく病気になってしまうでしよう。

 ストレスとどのように付き合っていくか? そのヒントは大脳新皮質の利用にあります。


快ストレツサーと不快ストレツサー

 同じ刺激、ストレッサーでも、自分自身の心構えや、気持ちの持ち方で、身体に良い刺激と悪い刺激になるようです。

 例えば、奥様方が、早起きをする場合、子供の早朝クラブ活動のための弁当を作らなくてはならない時と、自分が温泉地とか、宝塚歌劇に行く時はストレスの感じ方が変わってきます。

 同じ朝5時に起きることでも、自ら進んで行動する場合と、イヤイヤながら行動するのとでは、ホルモンの働き、自律神経の働きが全く違います。目的を持ち、自らすすんで実行することや楽しいことには、快感ホルモンが分泌され、脳が活性化されますがイヤだと思うと身体に障害を引き起こしてしまうのです。

 好きな趣味、けいこ事は、アッという間に時間がたち、押しつけられた仕事は、なかなか時間が過ぎないもの。ストレッサーに対してどのように取り組むのかは、要は自分自身のものの捕えかたです。大脳を働かせてなるべく多く"快ストレッサー=よいストレッサー"に自分のなかで変えていくのもストレスとの付き合い方のひとつの方法です。

 それには何事も前向きに受けいれていくことです。


気分転換をはかる

 日本では、運動でも趣味でも、体で感じ、体を動かしながら勉強し、楽しむ事に"道"をつけて、柔道、剣道とか、芸道、華道、茶道といっています。

 このように、体から心の解放、修養につなげることが多くあります。またヨガ、座禅など、呼吸のし方などから、悩みなどのストレスを解消する方法もあります。精神と肉体と丸ごと一緒に働き合っているのですから、精神的な疲れは、体を動かすことによってもスッキリとするものです。


利他的利己主義のすすめ
脳の快感

 私たちの本能的な欲望……食欲、性欲、集団欲などを、人間として、当たり前と認め、上手に活用することが大切です。

 世界保健機関のWHO憲章には、「健康とは完全に身体的、精神的および社会的に良い状態であって、単に病気あるいは欠陥のないことだけではない」といっています。社会的に良い状態とは、日々の暮らしの中で、人と仲良く協調し、他人に迷惑をかけずに行動できることです。人々や社会に害を及ぼさず、健康な心と体を持って、はじめて真の健康といえるのでしよう。

 私たちは、一人だけで生きているのではなく、絶えず他人との関わりの中で生きています。自分と夫または妻、そして子供を含めた家族、そして友人や他人など、自分自身をとりまく大勢の人とともに生活しています。考え方も、価値観も、行動様式も異なります。

 人間は、生きている以上、誰もが自分が一番大切で、自分が一番他人に認められたいし、楽しい思い、快感を味わいたいと思っています。このような感情は、心の奥にあり、ストレートには出てきませんが、無意識のうちに全ての人が強く持っています。食欲、性欲、集団欲などの本能的な欲望もまた根強く、深く秘められており、これらがたくましく意識的に活動する原動力にもなっています。

 脳のうちの大脳辺緑系<たくましく生きる脳>は、食欲や集団欲が満たされた時に、快感が生まれます。うれしい、楽しいなどの感情は信号として間脳〈視床下部〉に伝えられ、内臓や体によい影響を与えます。しかしたくましく生きる脳の欲望のままに行動すれば、他人に迷惑をかけることになってしまいます。

 たくましく生きようとする脳の欲望(本音)とそれを抑えようとする理性(建て前)との葛藤はストレスとなって感じられるのです。

 ここで大脳新皮質〈意識的に活用できる脳〉の理性を少し働かせて、自分が快感を得ること、幸せ感にひたることに対して、少しまわり道をしてみるのです。誰もが快感、幸せ感を味わいたいわけですから、まずまわりの人、つまり自分以外の他人にその幸せ感を味わって貰うようにして最後に自分が快感を感じ、幸せ感を得るように他人に接するわけです。

 それには、自分のことは少しあとにして、他人に対して喜んでもらえるような言葉をかけ、行動をすればいいわけです。相手の趣味や自慢話を聞いてあげたり少しでも良いところがあればすばらしいとほめてあげたり相手が喜びや幸せ感を感じていただいたらいいでしょう。

 ストレス学説を発表したハンス・セリエ博士は、このことを"他人の感謝を集める"と表現しています。

 他人の感謝を集める努力をまず実行すれば、他人は自分の敵にならずに、味方になってくれます。他人がストレス刺激にはなりません。

 逆に、他人から"あなたのおかげで…"とか"あなたにあのようにいっていただいて"などと感謝されるようになります。自分が認められることは強い快感が得られ、うれしい幸せ感につつまれます。

 感謝され認められるようになることは"相手を認め、話を聞く、ほめる"ことからはじまります。

 最初は、自分の快感を得る目的で他人の感謝を集める実践を行って、他人から"ありがとう""おかげさまで"などと感謝されていると、いつのまにか目的を意識しなくても"自分が一番幸せ"が"他人の幸せも自分の幸せ"になり、真の快感、喜びを味わうことができるようになります。

 利他的利己主義。人間は誰もが利己主義ですから、これを当たり前のこととして認め、"他人の感謝を集めること"を習慣化すれば、敵をつくらず結果として自分が幸せになります。

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