阿弥陀杉 Cryptomeria japonica
(スギ科スギ属)国指定天然記念物 熊本県阿蘇郡小国町
H13.3.10 訪問
以前訪れた兵庫県加美町岩座神にある通称「千本杉」と呼ばれている高さ14m、目通り3.0m、根まわり4.35mのスギの案内板に書かれていた・・「巨木ではないが、このスギは樹幹6〜7mのところで多数(約80本)枝分かれしている。このようなスギは非常に珍しく、全国約50件の天然記念物スギのうち2件がこれに類する。そのひとつは熊本県阿蘇郡大国町の「阿弥陀スギ」と呼ばれているもので、大きさは本樹の倍あり、樹形は卵形を呈している。」
これを見て訪ねてみたいと思っていた阿蘇山に近い小国町に阿弥陀スギを訪ねた。高さ38m、目通り12.6m、根まわり37.5m、樹齢1300年と言われている。
しかし地元の人に道を聞いたところ昨年の台風で無残にも主幹が折れたということでがっかりして訪れた。やはり天然記念物の写真集で見た憧れの巨木の面影は既に無かった。しかし地元の人に大切に扱われ惜しまれていることが感じられた。
阿弥陀杉
阿弥陀スギは主幹が折れ卵の樹形は無く下部の枝だけが残されていた。
「熊本県を代表するこの大杉は幹の途中から十数本の大枝が立ちその枝から無数の小枝にわかれており、その偉大な姿は、大きな卵形となり他の杉の常形と異なり壮観である。またこの木の近くに阿弥陀仏が杞られていたからとも伝えられている。 幹囲12.6m、樹高38m、枝張り37.5mにも及ぶ県内最大のスギである。 明治35年にこの木が人手にわたり伐採されようとしたとき、当時の北小国、南小国の人々が募金を募って買い戻し、共有の宝として後世に伝えることにしたことは天然記念物の保存に関する美談として全国に知られた。現在小国町、南小国町共有財産組合の所有となっており、まさに小国郷のシンボルとして地元で大切に保護されている。」…現地案内板より
折れた阿弥陀スギ
写真のように折れた主幹にはスギ皮の板が張りつけられ保護されている。根廻りも写真のように保護され今でも大切に扱われている。
九州から帰ってきて再び兵庫県加美町の「千本スギ」を訪れてみた。この木は阿弥陀スギの二世のような気がした。何百年か経てばやがて阿弥陀スギのような銘木になることだろう。