いとしろ(今清水)大杉 Cryptomeria japonica(スギ科スギ属)

岐阜県郡上郡白鳥町石徹白  国指定特別天然記念物

H11.10.11 訪問

高さ25m、目通り13.1m、根まわり18m、推定樹齢1,800年。老齢で樹勢は衰え高さも半分ぐらいになっていると思われる。この杉は白山を開いた泰澄大師の杖がこの大杉になったとの伝説がある。

上在所から細い林道で九頭竜川の源流に20分ほど行った舗装道の終点で、トイレと駐車場があり「石徹白の大杉」の看板もある。道路の右手の看板のところから石の420段の階段を登ると開けた所に出る。そこに大杉が立っている、今清水の名の通り杉の奥根元から涌き水が出ている。杉の左には白山への南縦走路の標識があり、ここから山中1泊(避難小屋)で白山に至る。


いとしろ大杉

撮影日       1999年10月11日

 元・今清水神社の境内にある神木で、推定樹齢1,800年の老木で樹勢も衰えており痛々しく見える。ここは白山参道の入り口にあり、かつての白山信仰の象徴として登山道の道しるべとも言われている。しかし、長年風雪にさらされ、木肌がめくれて白骨のような感じである。「白スギ」とも呼ばれ、また大人12人が両手を広げて囲まねば抱えきれないところから「12抱えのスギ」とも呼ばれていた。


大杉を見上げる

主幹の上部は十数本の枝があるが、ほとんどが枯れており、又そこには広葉樹の若木(色が違う葉が確認できる)も見える。また枝を支える添え木も痛々しい。


大杉の裏

 大杉の裏の根元から今清水が湧いている、昔はこの清水で参拝者たちはのどを潤し、ここで休憩して登り始めたと思われる。白山参道を開いた泰澄がこの付近にやって来ると一頭のクマが現れ、手招きするのでそこへ行くと、こんこんと清水が湧き出ていた。泰澄はそこへ杖をさして白山に登り、帰りに立ち寄ってみると、その杖は根付いていてそのまま成長してこの「いとしろの大杉」になったと言う。


淨安杉

白山を源流に持つ川は、加賀の手取川、越前の九頭竜川、美濃の長良川がある。かつて、白山信仰の高まりにつれて、加賀、越前、美濃の「三方の馬場」(馬場=道場)が開かれた。その美濃の馬場にあたるのが白山長滝神社であり長良川沿いにある。ここから九頭竜川の最上流部の石徹白川の上在所地区にある白山中居神社(この奥には人家は無い)を通り、また今清水神社から白山に向かったと思われる。そういった歴史もあり、かつては福井県に所属していたが住民の強い要請で昭和33年に岐阜県白鳥町に編入された。

その上在所にはうっそうたる大杉の老木に囲まれた白山中居神社があり、昔の白山信仰登山の基地になっていた。裏山を15分ほど登ると「淨安杉」目通り12m、樹高35m、樹齢1,000年、がある、この杉は裏杉に近く、根はひとつで幹は4本に別れている(写真)。


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