登山講座 その8  Written by T.saito 2001/5/7              表紙ページに戻る


前回のその7から発行に間があいてしまいました。 連載続行します。 今回はセオリー編です。

1.バックパッキングの仕方

  現在はキスリングザックはほとんどなくなり重量バランスの良いアタックザックが主流ですがこの利点を生かす

  ためにもきちんとパッキングしたいものです。 基本としては重量の軽いものを下に、重い物を上にするように

  します。シュラフや衣類を下に、食料等を上にするということです。ただし雨具だけは取り出しやすいように

  しておいてください。 ある程度の大きさのザックにはウエストベルトがついているので必ずするようにします。

  そうすることによって肩にかかる重量が分散し痛くなることがなくなります。 あとは濡れてはこまる衣類等は

  ビニール袋を利用して二重梱包としさらにザックカバーも用意しておいた方が良いでしょう。


2.歩くペース

  ベテランの歩き方を見るとわかりますが決して速いことが良いことではありません。 コンスタントであることが

  重要です。  ペースが速すぎる歩き方をして休憩時間を長くとることは好ましいことではありません。 筋肉が

  緩み足が重たくなり、発汗したあとの気化熱により体は冷えてきます。 休みをとりすぎす、ペースは遅くても

  コンスタントであるほうが結局速く到達することになります。 登り始めの30分から1時間はデットタイムと呼ばれ

  酸素の補給が追い付かなく大変苦しい時です。 この登り始めのペースが速すぎると終始ペースが乱れバテやすく

  なります。最初は遅いくらいのペースが良いといえます。 歩くペースというのは個人個人で違い、大勢のパーティ

  では足並みを揃えるは大変難しいものです。  特に元気の良い初心者はペースが速すぎて、後でバテる傾向に

  ありますのでリーダーはきちんと指導すべきです。

3.体を冷やさないこと  

  体より熱が奪われると糖質からエネルギーへの変換効率が落ち最悪の場合、命を奪う(疲労凍死)ことにもなります

  のでいろいろと工夫し体熱を奪われないようにします。

  a) 汗をかいたりして下着が濡れた時は着替えること(着過ぎて汗をかきすぎないこと)

  b)重ね着をして効率の良い防寒をすること。中間着には空気の層をつくるものを、外側には防風の働きがあるもの

   を着ること。 つまりセーター等を中間着にレインウェア等を外側に着ることによりぐっと暖かくなります。

   セーターを着ただけでは風により熱が奪われるのであまり暖かくなりません。

  c)体の内部よりあたためること。 気温の低い時は暖かいコーヒーなどをとり体内部よりあたためると効果抜群です。


4.道に迷った時

  道に迷った時はとにかく焦らず現在位置を知ることが大切です。 そのためにも地形図の理解は必要なことです。

  もし間違った場合は間違ったと思われる場所まで戻るのが基本で、決してわからないまま前進してはいけません。

  特に踏み跡もままらない下山路では前進不能(絶壁等)に陥いることになりかねません。

5.水分の補給

  水分の補給というのはとても大切なことで気温の高い時は日射病のおそれもあり適量補給しなければなりません。

  しかしながら山中では常に水を得られるわけではなく、水筒の容量もかぎられますので工夫が必要です。

  決しがぶ飲みするのでなく、何回にも分けて飲むようにし、水の豊富なところでは十分に摂取し、水筒を満タンに

  しておいてください。



今回のセオリー編は参考になりましたでしょうか。 次回は
その9基本登高技術について説明します。