登山講座 その9  Written by T.saito 2001/5/7              表紙ページに戻る


今回は技術編として基本登高技術について説明します。 ここでは難しい登攀技術については述べませんが自分の

手足で登るという基本的なことについて説明します。


1.姿勢

  平地では姿勢よく歩けるものですが、登山ともなると荷物の重さ、疲れ、高度による恐怖感により腰が曲ったり

  立ち木に頼ってしまいがちですが基本はまっすぐに重力方向と平行を保つことです。 そうすることによって

  疲れやバランスの崩れから避けることができます。


2.鎖場

  一般コースでも鎖場は出現します。 初心者はどうしても鎖にたよりがちになりますがあまり感心できません。

  鎖にしがみつくことにより岩壁に近づきすぎ足は滑りやすくバランスを失いがちになります。 

  さらに鎖は完全に固定されているとは限らず腐食していることもあります。 鎖は補助的なもので自分の手足で

  登ることを心掛けてください。 では自分の手足で安全に登るにはどうしたらよいか? どの登山の書籍にも書いて

  ありますが"3点支持"をするということです。 人間の手足4本のうち3本で体を保持し残りの1本で体を移動させ

  ます。 鎖の登り方は3点支持を基本にするということですが他に気をつけなければいけないことは一本の鎖には

  1人だけいるようにしてください。 2人以上鎖につかまると振られて危険です。

3.岩場  

  岩場の通過は慎重かつ迅速に通過しなければなりません。 3点支持を基本とします。 登りでは上からの落石

  に気をつけ、かつ自分からも落石を起こさないようにします。  かならず落石を起こしたり、発見した時は

  "ラクセキー"や"ラクー"と叫び ゴルフの"ファー"と同様 回りに注意を喚起させます。 自分に落石が近づいて

  きたときにはやみくもに慌てないで落下方向を見極めます。 実際に当たる確率は低く、かえって慌てて移動

  したために滑落することの方が多いようです。


4.はしご

  とくに傾斜がきつい場合にははしごが懸かっていますがコツと注意点は足元を良く見て靴底の足踏まずの部分を

  段にのせ、手は手すりではなく段を握るようにすれば滑ることを防げます。 はしごを下る時は必ずザックを

  外側にはしごに正対してくだります。 逆にするとザックがはしごにあたり反動で空中に放りだされる危険が

  あります。

  

5.雪渓

  有名な白馬大雪渓、剣沢雪渓のように雪渓を登ることもあります。 安心のためにも軽アイゼンを着用し、

  緩い斜面では足を平らに雪面にのせ(フラットフット) アイゼンのグリップを効かせて登り、傾斜のきつい

  斜面ではつまさきを雪に蹴り込み(キックステップ)ます。  夏の雪渓では雪面がえぐられた(スプーンカット)

 状態になっている場合が多いので自分の歩幅と合わないですが足をフラットに載せられるので利用できます。




今回の登高編はいかがでしたしょうか、わが会でも岩登り訓練等がありますが実際にザイル等の登攀具を使わないに

しても経験しておくことにより一般コースで出会う鎖場、岩場の練習になり本番でも慌てなくなります。 数多く

ある機会ではないので是非とも参加してみてはいかかでしようか。  

登山講座と銘打って登山の基本を連載してきましたが 次回は最終回 総集編となります。