ユーロファイター タイフーンは、イギリス、イタリア、スペイン、ドイツの4ヶ国が共同開発（当初はフランスも共同開発に参加していたが、艦載機としての運用も考慮していたフランスは機体の大きさに妥協できず脱退、ラファールを独自開発）した戦闘機で、4ヶ国が共同設立した国際合弁企業ユーロファイター社が開発プログラムの管理を行っている。
デルタ翼とコクピット前方に全遊動式カナード翼を備えているのが機体構成上の特徴で、4重のデジタル式フライ・バイ・ワイヤシステムとあいまって“ケアフリー・ハンドリング”と呼ばれる優れた操縦性と機動性を獲得している。第4.5世代のジェット戦闘機として、F-22程ではないもののRCS(レーダー断面積)がF/A-18E/Fやラファールよりも小さくステルス性に優れており、アフターバーナーなしでのスーパークルーズ性能も備えている。マルチロール性にも優れており、空中戦闘能力と対地攻撃能力の両方を1機種でカバーできるフォース・ミックスの観点ではF-22の能力をはるかに凌ぐ能力を発揮する。特に搭載レーダーは高性能で、空対空および空対地／対艦モードを備え、戦闘機大の目標を最大160kmの距離で探知、その中の20目標を同時に追跡する能力を備えているとされている。ヘルメットに連動して視線移動でロックオンできるヘッドマウントディスプレイを介し、豊富なバリエーションの搭載兵装で攻撃が可能であるだけでなく、各種警戒装置とECMシステムを自動統合・制御するDASS（防御支援サブシステム）により極めて高い生存性も実現している。
Photo：BAE Systems
