地震に強い木造住宅計画とは


『考察』

再度地震と木造住宅について考えると


阪神淡路大震災で被害の大きかった建物はいったいどの様な物であり、又倒壊せずに残った建物とは何だったのかと考えますと、

被害の大きかった建物重い瓦屋根を持ち、壁は土壁の真壁(真壁とは簡単に言うと柱を見せる為柱より壁を控えてある壁)や木づり下地にラスモルタル塗壁等又間口に壁のない開口部にしている商店や筋違や耐力壁の接合不十分や間違った施工、木部材の腐蝕、平面バランスの不安定等による倒壊がほとんどでありました。

では、倒壊せずに残った建物は?構造計算の必要のある最近の木造3階建住宅やプレハブや2×4は殆ど皆無でありました。

それは、在来木造住宅が弱かった?はたまた弱いのでしょうか?
鉄筋コンクリート構造(RC)も倒壊していた・・・そうなると、何か重要な事があるのでは?

在来木造住宅が地震に弱いのでは無くて、

屋根・壁・積載重量、外壁材料、耐力壁量・平面配置計画のバランス・主要部材断面量、各仕口及び継手部分の接合の緊結部材の腐蝕防止措置、構造計算による基礎施工等を適正に行えば、
重量的に軽い木造は非常に耐震性に関して有利であります。

あたりまえに、言われてきている事があたりまえに出来ていないところで、問題が生じてきてます。

耐震性が低いのではなく、
耐震性を考えた設計及びそれにそった施工によってどうにでも転ぶと言う事です。これは、どんな構造体にも言える事!


『考察』

本題である地震に強い木造住宅計画とは


@壁量及び平面配置バランス

建築基準法施工令46条の壁量計算を満たしなおかつ東西南北の各壁面に1/5以上の壁量が存在する事。外周出隅部分は梁間方向及び桁行方向どちらか一方にか耐力壁があるのが望ましいが双方でL型で締結されている場合は特に良い。

「建築基準法施工令46条 抜粋」

(構造耐力上必要な軸組等)
第46条

 構造耐力上主要な部分である壁、柱及び横架材を木造とした建築物にあつては、すべての方向の水平力に対して安全であるように、各階の張り間方向及びけた行方向に、それぞれ壁を設け又は筋かいを入れた軸組を釣合い良く配置しなければならない。

2 前項の規定は、次の各号の一に該当する木造の建築物又は建築物の構造部分については、適用しない。

1
次のイからホまでに掲げる基準に適合するもの
 構造耐力上主要な部分である柱及び横架材(間柱、小ばりその他これらに類するものを除く。以下この号において同じ。)に使用する集成材その他の木材の品質が、当該柱及び横架材の強度及び耐久性に関し建設大臣の定める基準に適合していること。
 構造耐力上主要な部分である柱の脚部が、一体の鉄筋コンクリート造の布基礎に緊結している土台に緊結し、又は鉄筋コンクリート造の基礎に緊結していること。
 構造耐力上主要な部分である柱及び横架材が次の基準に適合していること。ただし、2以上の部材を組み合わせるものであつて、構造計算又は実験によつて構造耐力上安全であることが確かめられたものについては、この限りでない。
(1)
 小径が15センチメートル以上であること。
(2)
 木材の繊維方向と直交する断面の面積が300平方センチメートル以上であること。
 構造耐力上主要な部分である継手又は仕口が、構造計算又は実験によつてその部分の存在応力を伝えるように緊結していることが確かめられたものであること。
 イからニまでに掲げるもののほか、建設大臣の定める基準に従つた構造計算によつて、構造耐力上安全であることが確かめられた構造であること。
2
 方づえ(その接着する柱が添木等によつて補強されているものに限る。)、控柱又は控壁があつて構造耐力上支障がないもの

3 床組及び小屋ばり組の隅角には火打材を使用し、小屋組には振れ止めを設けなければならない。ただし、構造計算又は実験によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。

4 階数が2以上又は延べ面積が50平方メートルを超える木造の建築物においては、第1項の規定によつて各階の張り間方向及びけた行方向に配置する壁を設け又は筋かいを入れた軸組は、それぞれの方向につき、次の表1の軸組の種類の欄に掲げる区分に応じて当該軸組の長さに同表の倍率の欄に掲げる数値を乗じて得た長さの合計を、その階の床面積に次の表2に掲げる数値(特定行政庁が 第88条第2項の規定によつて指定した区域内における場合においては、表2に掲げる数値のそれぞれ1.5倍とした数値)を乗じて得た数値以上で、かつ、その階(その階より上の階がある場合においては、当該上の階を含む。)の見付面積(張り間方向又はけた行方向の鉛直投影面積をいう。以下同じ。)からその階の床面からの高さが1.35メートル以下の部分の見付面積を減じたものに次の表3に掲げる数値を乗じて得た数値以上としなければならない。

1
  軸組の種類 倍率
(1) 土塗壁又は木ずりその他これに類するものを柱及び間柱の片面に打ち付けた壁を設けた軸組 0.5
(2) 木ずりその他これに類するものを柱及び間柱の両面に打ち付けた壁を設けた軸組 1
厚さ1.5cmで幅9cmの木材若しくは径9mmの鉄筋又はこれらと同等以上の耐力を有する筋かいを入れた軸組 (2)
(3) 厚さ3cmで幅9cmの木材又はこれと同等以上の耐力を有する筋かいを入れた軸組 1.5
(4) 厚さ4.5cmで幅9cmの木材又はこれと同等以上の耐力を有する筋かいを入れた軸組 2
(5) 9cm角の木材又はこれと同等以上の耐力を有する筋かいを入れた軸組 3
(6) (2)から(4)までに掲げる筋かいをたすき掛けに入れた軸組 (2)から(4)までのそれぞれの数値の2倍
(7) (5)に掲げる筋かいをたすき掛けに入れた軸組 5
(8) その他建設大臣が(1)から(7)までに掲げる軸組と同等以上に耐力を有するものと認めて定める軸組 0.5から5までの範囲内において建設大臣が定める数値
(9) (1)又は(2)に掲げる壁と(2)から(6)までに掲げる筋かいとを併用した軸組 (1)又は(2)のそれぞれの数値と(2)から(6)までのそれぞれの数値との和
2
建築物 階の床面積に乗ずる数値(単位 cm/m2)
階数が1の建築物 階数が2の建築物の1階 階数が2の建築物の2階 階数が3の建築物の1階 階数が3の建築物の2階 階数が3の建築物の3階
第43条第1項の表の(1)又は(3)に掲げる建築物 15 33 21 50 39 24
第43条第1項の表の(2)に掲げる建築物 11 29 15 46 34 18
この表における階数の算定については、地階の部分の階数は、算入しないものとする。
3
  区域 見付面積に乗ずる数値(単位 cm/m2)
(1) 特定行政庁がその地方における過去の風の記録を考慮してしばしば強い風が吹くと認めて規則で指定する区域 50を超え、75以下の範囲内において特定行政庁がその地方における風の状況に応じて規則で定める数値
(2) (1)に掲げる区域以外の区域 50

 

 

A立面計画

直上階の耐力壁及び柱に力が加わった時、1階の柱から土台・基礎への力の流れが明確であること。簡単に言えば2階の壁・柱の下には同じ様に壁・柱があるのが理想であり大きく違ったりする事のないようにしたい。(上階の持出しや2方向下屋等)さけられない場合は梁材・柱材の断面と接合部の引抜及びせん断力の検討を十分行う。

 

B外壁の計画

ラス下地は木ずりをさけ、構造用合板やラスボードを用いる。外周壁面全面に土台から覆う様に釘止めする。釘ピッチも広くしない。ボード継目下地にも補強の横桟を入れる等する。サイディングにしても、釘ピッチを適正に行い継目部分には縦横補強を入れる。火災についても考えなければいけません。使用材料が火に強い難燃材料なのか不燃材料なのか・・。

 

C耐力壁の構造と接合部

外壁下地に構造用合板を使用する場合基本的には筋違は不要です。そうでない場合には、筋違部材をいれるのですが、接合部分の緊結を十分に行う事が重要で、Z金物等の使用により適正に緊結する。

 

D柱・梁等の引抜け対策

耐力壁に関わる柱は、地震時に大きな引抜き力が加わります。柱と土台を金物で固定し基礎と土台を緊結するアンカーは柱より200以内に設置を行う。さらに木造3階建てに使用するホールダウン金物(アンカーに柱の引抜き力を直接負担させる)での緊結。 柱と梁はZ金物等を使用し適正に緊結する。

 
 

E基礎の検討
 
布基礎・フーチングとも鉄筋コンクリート製とする。無筋基礎は論外。配筋ピッチ・鉄筋加工・配筋要項「端部処理・継手処理・継手位置・開口部等」の検討・コンクリート強度等注意する。地耐力により布基礎の場合フーチング幅が変わるので要検討する。フーチング幅は、地耐力5t/u以上の場合450・3t/uまでは600・3t/u未満の軟弱地盤ではべた基礎が必要です。

 

F床の水平力

床の水平剛性と一体性を確保するためには、火打ちも有効なのですが、下地合板を各梁・桁材に固定するとより強固になります。

 

G屋根の水平力

屋根に関しても下地合板を垂木に釘止し一体化を行う。軒桁や母屋に垂木は釘止めだけでなく金物によって固定を行う。

 

H床組・小屋組
 
梁・桁・胴差の接合部分はせん断力の伝達はもちろん引抜き対策として金物固定をする。小屋組みには当然の事ながら小屋筋違を設ける。又屋根が水平な場合は耐力壁を上まで立ち上げる。

 

I外装仕上げ材料の吟味

外壁も軽重量になるサイディングやボードが有効であるのは言うまでもありません。モルタル塗りが絶対駄目では無いのですが、下地の考慮が必要です。屋根に関しても重量が軽い方が望ましいのですが、建築計画中に屋根重量の検討がなされているのであれば、瓦葺きが非であるとは言えません。

 

J防腐防虫対策

土台や柱は耐朽性のあるヒノキ・ヒバ等を用いるか防腐防虫処理した木材を使用する。床下は防湿コンクリートを打設して湿気を防ぐ対策を行い、床下換気口を適正に設ける。

 

「上記の内容に、対して平尾建築は?」



建築主さんは、十人十色。
土地も気候も風土も何もかも同じものなんて存在しません。
プランもまさに同じで、同様なものなんて存在しません。
完全なオーダー住宅になります。
それは、各住宅によって力の働き方なども変わってくると言うことです。基礎の形状も何もかもです。
裏をかえせば、住宅メーカーさんの一定規格住宅では、条件によっては規格が不足する事もあるって事です。

そんな多種多様する建物を、
平尾建築に併設する
1級建築士事務所<平尾建築事務所>で、1級建築士によるプランニング及び設計を行い、耐震診断のところで表記させていただいております構造壁計算は当然のことながら実施いたしております。

良く言われる1級建築士資格を持っているだけの名前だけの・はくをつけるだけの設計事務所ではなく、設計業務を単独でおこなっております。(過去の設計・設計監理内容をご確認くだされば明確)

特に構造検討が甘いとされている(施工令にうたわれているものをパスすればOKとされている)一般木造2階建にも、きちんと構造検討を致しております。

又必要に応じて平尾建友会会員・構造設計事務所<鰍jM構造事務所>による構造計算及び検討も行っております。
建築基準法施工令に適合することはもちろんの事、更に品確法にも適合する構造体としております。(施工例を参照してください)

細かくは、
施工は有資格者による管理!設計図通り工事が行われているか、設計事務所からの監理!
それを元に、
各部材を設計計画に基づき配置しております。
各部材ごとの緊結方法はZ金物(もしくは品確法に適合する試験適合品)を使用しています。

通し柱と梁(主要構造軸組)はすべて耐震金具工法
クレテックを使用しています。いままでの在来工法とは、大きく異なり鉄骨造や2×4構造以上の強度・耐震性能が出せます。木造3階建てに関してもクレテック金物を使用し足元緊結にはホールダウン金物を使用しております。その他の金物、部材締結金物の詳細に関しては、木造金物補強知識をご参照下さい。

基礎は、配筋形式・アンカーボルト等は基本的に住宅金融公庫仕様を最低ラインとして計画実施を行っています。仕様により更に強度を上げると言う事です。
基礎形状は、通常仕様で、べた基礎で施工(但し、一定規格ではなく、上屋の仕様により専用設計)しており、それでも地耐力に不安な所は設計事務所の決定で、ラップルコンクリート又は杭を打設したり、基礎設計をやり直しその地盤及び建物に適した強固な基礎を提案させていただき、ご承認の上、施工しております。
建築単価が上がっても、これは譲れません!

配筋チェック及びコンクリート強度、打設指示は1・2級建築士及び2級施工管理技士により行っております。又床束で取合う部分は、べた基礎ベース部分よりアンカーによる引抜き対策を行っています。

屋根の加重に対しては、下地合板を垂木に釘止し一体化を行います。又頭重量を軽くするためもあるのですが、最近は基本的にカラーベストコロニアル葺 不燃(個)1003を使用しています。軒桁や母屋に垂木は釘止めだけでなくZ金物によって固定を行っています。
梁・桁・胴差の接合部分はせん断力の伝達は引抜き対策としてZ金物やかすがい等で固定しています。小屋組みには当然の事ながら小屋筋違を設けています。
土台木材を耐朽性のある材料を使用しかつ防腐剤塗布を行い棟上後腰高1000まで防腐防虫剤の塗布を行っています。べた基礎施工の後に防湿コンクリート施工を行い適正な床下換気口の設置をしております。

簡単な説明になりましたが、詳しくは施工例をご覧下さい。

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