著作権
産経新聞(2002年04月16日朝刊)より
「創作的な著作物」認定  ネット書き込み東京地裁初判断  出版を差し止め

 インターネットの掲示板にハンドルネーム(ペンネーム)で書き込んだ文章を無断で書籍として出版され、著作権を侵害されたと
して、掲示板への投稿者ら十一人が出版社「光文社」(東京都文京区)などに出版差し止めや損害賠償などを求めた訴訟の判決
で、東京地裁は十五日、出版などの差し止めと投稿者らへの約百十四万円の支払いを命じた。インターネット上の投稿文を著作
物とし、著作権の侵害を認めた判断は初めて。
 判決理由で、飯村敏明裁判長は「投稿文の多くは個性が発揮されたもので創作的な著作物性がある」と認定。しかし、「文章が
比較的短く、単に事実を説明、紹介したものなどは創作性が認められない」と、投稿者の請求の一部については退けた。
 光文社については、「投稿者らの許諾の有無を確認をしておらず、著作権侵害の過失がある」と指摘した。
 判決によると、光文社は平成十三年六月、「ホテル・ジャンキーズ」という名称のホームページ内に掲載された投稿文をもとに、
「世界極上ホテル術」という本を出版、販売した。
 原告側代理人の影山光太郎弁護士は「最近のホームページには、投稿者の著作権の帰属があらかじめ記入され、トラブル回
避は進められている。今回の判決では、著作権の帰属についての記入はなかったが、投稿者らのハンドルネームがあることで、
著作権が認められた点が評価できる」と話している。
 光文社の話 「判決文の内容を検討した上で今後の対応を決めたい」

著作権法(抜粋)(利用に際しては、必ず、六法全書で条文を確認して下さい。) (昭和四十五年五月六日法律第四十八号) (目的) 第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこ  れに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保  護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。  一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲   に属するものをいう。  二 著作者 著作物を創作する者をいう。  三 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法   により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを   含む。)をいう。  四 実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行なう者及び実演を指揮し、又は演出す   る者をいう。  五 レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音をもつぱら影像と   ともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。  六 レコード製作者 レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。  七 商業用レコード 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。  七の二 公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の   送信(有線電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内   (その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあ   るものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。  八 放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的とし   て行う無線通信の送信をいう。  九 放送事業者 放送を業として行なう者をいう。  九の二 有線放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを   目的として行う有線電気通信の送信をいう。  九の三 有線放送事業者 有線放送を業として行う者をいう。  十 映画製作者 映画の著作物の製作に発意と責任を有する者をいう。  十の二 プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する   指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。  十の三 データベース 論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子   計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。  十一 二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その   他翻案することにより創作した著作物をいう。  十二 共同著作物 二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離し   て個別的に利用することができないものをいう。  十三 録音 音を物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。  十四 録画 影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。  十五 複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、   次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。   イ 脚本その他これに類する演劇用の著作物 当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、    又は録画すること。  十六 上演 演奏(歌唱を含む。以下同じ。)以外の方法により著作物を演ずることをいう。  十七 上映 著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、   これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。  十八 口述 朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達すること(実演に該当するものを除   く。)をいう。  十九 頒布 有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与するこ   とをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあつては、これら   の著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与す   ることを含むものとする。  二十二 国内 この法律の施行地をいう。   2 この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。   4 この法律にいう「写真の著作物」には、写真の製作方法に類似する方法を用いて表現され    る著作物を含むものとする。   5 この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。   6 この法律にいう「法人」には、法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定め    があるものを含むものとする。   8 この法律にいう「貸与」には、いずれの名義又は方法をもつてするかを問わず、これと同    様の使用の権原を取得させる行為を含むものとする。 (著作物の公表) 第四条 著作物は、発行され、又は第二十二条から第二十五条までに規定する権利を有する者若し  くはその許諾を得た者によつて上演、演奏、上映、公衆送信、口述若しくは展示の方法で公衆に  提示された場合(建築の著作物にあつては、第二十一条に規定する権利を有する者又はその許諾  を得た者によつて建設された場合を含む。)において、公表されたものとする。 2 著作物は、第二十三条第一項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者によつて送信可  能化された場合には、公表されたものとみなす。 4 美術の著作物又は写真の著作物は、第四十五条第一項に規定する者によつて同項の展示が行わ  れた場合には、公表されたものとみなす。 (条約の効力) 第五条 著作者の権利及びこれに隣接する権利に関し条約に別段の定めがあるときは、その規定に  よる。 (保護を受ける著作物) 第六条 著作物は、次の各号のいずれかに該当するものに限り、この法律による保護を受ける。  一 日本国民(わが国の法令に基づいて設立された法人及び国内に主たる事務所を有する法人を   含む。以下同じ。)の著作物  二 最初に国内において発行された著作物(最初にこの法律の施行地外において発行されたが、   その発行の日から三十日以内に国内において発行されたものを含む。)  三 前二号に掲げるもののほか、条約によりわが国が保護の義務を負う著作物 (著作物の例示) 第十条  この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。  一  小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物  二  音楽の著作物  三  舞踊又は無言劇の著作物  四  絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物  五  建築の著作物  六  地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物  七  映画の著作物  八  写真の著作物  九  プログラムの著作物  2  事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。 (二次的著作物) 第十一条 二次的著作物に対するこの法律による保護は、その原著作物の著作者の権利に影響を及  ぼさない。 (編集著作物) 第十二条 編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列  によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。  2 前項の規定は、同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。 (権利の目的とならない著作物) 第十三条 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることが  できない。  一 憲法その他の法令  二 国若しくは地方公共団体の機関又は独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに   類するもの  三 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により   行われるもの  四 前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関又は独立行政法   人が作成するもの (著作者の推定) 第十四条 著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは  名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの  (以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている  者は、その著作物の著作者と推定する。 (職務上作成する著作物の著作者) 第十五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人  等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等  が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その  他に別段の定めがない限り、その法人等とする。 2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の  著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等と  する。 (著作者の権利) 第十七条 著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著  作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」  という。)を享有する。 2 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。 (公表権) 第十八条 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著  作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著  作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。 2 著作者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる行為について同意したものと推定す  る。  一 その著作物でまだ公表されていないものの著作権を譲渡した場合 当該著作物をその著作権   の行使により公衆に提供し、又は提示すること。  二 その美術の著作物又は写真の著作物でまだ公表されていないものの原作品を譲渡した場合   これらの著作物をその原作品による展示の方法で公衆に提示すること。 (氏名表示権) 第十九条 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、  その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有  する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の  著作者名の表示についても、同様とする。 2 著作物を利用する者は、その著作者の別段の意思表示がない限り、その著作物につきすでに著  作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができる。 3 著作者名の表示は、著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張す  る利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することが  できる。 (複製権) 第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。 (上演権及び演奏権) 第二十二条 著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公  に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。 (上映権) 第二十二条の二 著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。 (口述権) 第二十四条 著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。 (展示権) 第二十五条 著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作  品により公に展示する権利を専有する。 (譲渡権) 第二十六条の二 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をそ  の原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作  物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。 (貸与権) 第二十六条の三 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物に  おいて複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公  衆に提供する権利を専有する。 (翻訳権、翻案権等) 第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、  その他翻案する権利を専有する。 (私的使用のための複製) 第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、  個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」  という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができ  る。  一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、こ   れに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場   合 2 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のため  の特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電  話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であ  つて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録  媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払  わなければならない。 (図書館等における複製) 第三十一条 図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設  で政令で定めるもの(以下この条において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合  には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条に  おいて「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。  一 図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一   部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個個の著作物にあつては、その全部)   の複製物を一人につき一部提供する場合  二 図書館資料の保存のため必要がある場合  三 他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難   な図書館資料の複製物を提供する場合 (引用) 第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用  は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範  囲内で行なわれるものでなければならない。 (教科用図書等への掲載) 第三十三条 公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、教科用図書  (小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校その他これらに準ずる学校における教育の用に供  される児童用又は生徒用の図書であつて、文部科学大臣の検定を経たもの又は文部科学省が著作  の名義を有するものをいう。)に掲載することができる。 (学校その他の教育機関における複製) 第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教  育を担任する者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認  められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類  及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合  は、この限りでない。 (試験問題としての複製) 第三十六条 公表された著作物は、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必  要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製することができる。 2 営利を目的として前項の複製を行なう者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権  者に支払わなければならない。 (営利を目的としない上演等) 第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名  義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条におい  て同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。た  だし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる  場合は、この限りでない。 3 放送され、又は有線放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を  受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用い  てする場合も、同様とする。 4 公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与  を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著  作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができ  る。 (時事問題に関する論説の転載等) 第三十九条 新聞紙又は雑誌に掲載して発行された政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する  論説(学術的な性質を有するものを除く。)は、他の新聞紙若しくは雑誌に転載し、又は放送し、  若しくは有線放送することができる。ただし、これらの利用を禁止する旨の表示がある場合は、  この限りでない。 2 前項の規定により放送され、又は有線放送される論説は、受信装置を用いて公に伝達すること  ができる。 (政治上の演説等の利用) 第四十条 公開して行なわれた政治上の演説又は陳述及び裁判手続(行政庁の行なう審判その他裁  判に準ずる手続を含む。第四十二条において同じ。)における公開の陳述は、同一の著作者のも  のを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。 (時事の事件の報道のための利用) 第四十一条 写真、映画、放送その他の方法によつて時事の事件を報道する場合には、当該事件を  構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な  範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴つて利用することができる。 (出所の明示) 第四十八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用  の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。  一 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十七条   第一項若しくは第三項、第四十二条又は第四十七条の規定により著作物を複製する場合  二 第三十四条第一項、第三十七条の二、第三十九条第一項又は第四十条第一項若しくは第二項   の規定により著作物を利用する場合  三 第三十二条の規定により著作物を複製以外の方法により利用する場合又は第三十五条、第三   十六条第一項、第三十八条第一項、第四十一条若しくは第四十六条の規定により著作物を利用   する場合において、その出所を明示する慣行があるとき。 2 前項の出所の明示に当たつては、これに伴い著作者名が明らかになる場合及び当該著作物が無  名のものである場合を除き、当該著作物につき表示されている著作者名を示さなければならない。 3 第四十三条の規定により著作物を翻訳し、編曲し、変形し、又は翻案して利用する場合には、  前二項の規定の例により、その著作物の出所を明示しなければならない。 (保護期間の原則) 第五十一条 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。 2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最  終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。 (無名又は変名の著作物の保護期間) 第五十二条 無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年を経過するまでの間、  存続する。ただし、その存続期間の満了前にその著作者の死後五十年を経過していると認められ  る無名又は変名の著作物の著作権は、その著作者の死後五十年を経過したと認められる時におい  て、消滅したものとする。 (団体名義の著作物の保護期間) 第五十三条 法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後五十  年(その著作物がその創作後五十年以内に公表されなかつたときは、その創作後五十年)を経過  するまでの間、存続する。 2 前項の規定は、法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作者である個人が同項の期  間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したときは、適用し  ない。 3 第十五条第二項の規定により法人その他の団体が著作者である著作物の著作権の存続期間に関  しては、第一項の著作物に該当する著作物以外の著作物についても、当該団体が著作の名義を有  するものとみなして同項の規定を適用する。 (著作者人格権の一身専属性) 第五十九条 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。 (著作者が存しなくなつた後における人格的利益の保護) 第六十条 著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後に  おいても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはな  らない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作  者の意を害しないと認められる場合は、この限りでない。 (著作権の譲渡) 第六十一条 著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。 2 著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的とし  て特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。 (相続人の不存在の場合等における著作権の消滅) 第六十二条 著作権は、次に掲げる場合には、消滅する。  一 著作権者が死亡した場合において、その著作権が民法第九百五十九条の規定により国庫に帰   属すべきこととなるとき。  二 著作権者である法人が解散した場合において、その著作権が民法第七十二条第三項その他こ   れに準ずる法律の規定により国庫に帰属すべきこととなるとき。 (著作物の利用の許諾) 第六十三条 著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。 2 前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る  著作物を利用することができる。 3 第一項の許諾に係る著作物を利用する権利は、著作権者の承諾を得ない限り、譲渡することが  できない。 (共同著作物の著作者人格権の行使) 第六十四条 共同著作物の著作者人格権は、著作者全員の合意によらなければ、行使することがで  きない。 2 共同著作物の各著作者は、信義に反して前項の合意の成立を妨げることができない。 3 共同著作物の著作者は、そのうちからその著作者人格権を代表して行使する者を定めることが  できる。 4 前項の権利を代表して行使する者の代表権に加えられた制限は、善意の第三者に対抗すること  ができない。 (共有著作権の行使) 第六十五条 共同著作物の著作権その他共有に係る著作権(以下この条において「共有著作権」と  いう。)については、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又は質  権の目的とすることができない。 2 共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができない。 3 前二項の場合において、各共有者は、正当な理由がない限り、第一項の同意を拒み、又は前項  の合意の成立を妨げることができない。 4 前条第三項及び第四項の規定は、共有著作権の行使について準用する。 (著作権者不明等の場合における著作物の利用) 第六十七条 公表された著作物又は相当期間にわたり公衆に提供され、若しくは提示されている事  実が明らかである著作物は、著作権者の不明その他の理由により相当な努力を払つてもその著作  権者と連絡することができないときは、文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相  当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために供託して、その裁定に係る  利用方法により利用することができる。 (実名の登録) 第七十五条 無名又は変名で公表された著作物の著作者は、現にその著作権を有するかどうかにか  かわらず、その著作物についてその実名の登録を受けることができる。 2 著作者は、その遺言で指定する者により、死後において前項の登録を受けることができる。 3 実名の登録がされている者は、当該登録に係る著作物の著作者と推定する。 (出版権の設定) 第七十九条 第二十一条に規定する権利を有する者(以下この章において「複製権者」という。)  は、その著作物を文書又は図画として出版することを引き受ける者に対し、出版権を設定するこ  とができる。 2 複製権者は、その複製権を目的とする質権が設定されているときは、当該質権を有する者の承  諾を得た場合に限り、出版権を設定することができるものとする。 (出版権の内容) 第八十条 出版権者は、設定行為で定めるところにより、頒布の目的をもつて、その出版権の目的  である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製す  る権利を専有する。 2 出版権の存続期間中に当該著作物の著作者が死亡したとき、又は、設定行為に別段の定めがあ  る場合を除き、出版権の設定後最初の出版があつた日から三年を経過したときは、複製権者は、  前項の規定にかかわらず、当該著作物を全集その他の編集物(その著作者の著作物のみを編集し  たものに限る。)に収録して複製することができる。 3 出版権者は、他人に対し、その出版権の目的である著作物の複製を許諾することができない。 (出版の義務) 第八十一条 出版権者は、その出版権の目的である著作物につき次に掲げる義務を負う。ただし、  設定行為に別段の定めがある場合は、この限りでない。  一 複製権者からその著作物を複製するために必要な原稿その他の原品又はこれに相当する物の   引渡しを受けた日から六月以内に当該著作物を出版する義務  二 当該著作物を慣行に従い継続して出版する義務 (著作物の修正増減) 第八十二条 著作者は、その著作物を出版権者があらためて複製する場合には、正当な範囲内にお  いて、その著作物に修正又は増減を加えることができる。 2 出版権者は、その出版権の目的である著作物をあらためて複製しようとするときは、そのつど、  あらかじめ著作者にその旨を通知しなければならない。 (録音権及び録画権) 第九十一条 実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。 (複製権) 第九十六条 レコード製作者は、そのレコードを複製する権利を専有する。 (送信可能化権) 第九十六条の二 レコード製作者は、そのレコードを送信可能化する権利を専有する。 (著作権紛争解決あつせん委員) 第百五条 この法律に規定する権利に関する紛争につきあつせんによりその解決を図るため、文化  庁に著作権紛争解決あつせん委員(以下この章において「委員」という。)を置く。 2 委員は、文化庁長官が、著作権又は著作隣接権に係る事項に関し学識経験を有する者のうちか  ら、事件ごとに三人以内を委嘱する。 (あつせんの申請) 第百六条 この法律に規定する権利に関し紛争が生じたときは、当事者は、文化庁長官に対し、あ  つせんの申請をすることができる。 (差止請求権) 第百十二条 著作者、著作権者、出版権者又は著作隣接権者は、その著作者人格権、著作権、出版  権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を  請求することができる。 2 著作者、著作権者、出版権者又は著作隣接権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害  の行為を組成した物、侵害の行為によつて作成された物又はもつぱら侵害の行為に供された機械  若しくは器具の廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置を請求することができる。 (侵害とみなす行為) 第百十三条 次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行 為とみなす。  一 国内において頒布する目的をもつて、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者   人格権、著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によつて作成された物を輸入す   る行為  二 著作者人格権、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為によつて作成された物(前号   の輸入に係る物を含む。)を情を知つて頒布し、又は頒布の目的をもつて所持する行為 3 次に掲げる行為は、当該権利管理情報に係る著作者人格権、著作権又は著作隣接権を侵害する  行為とみなす。  一 権利管理情報として虚偽の情報を故意に付加する行為  二 権利管理情報を故意に除去し、又は改変する行為(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的   な制約による場合その他の著作物又は実演等の利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認   められる場合を除く。)  三 前二号の行為が行われた著作物若しくは実演等の複製物を、情を知つて、頒布し、若しくは   頒布の目的をもつて輸入し、若しくは所持し、又は当該著作物若しくは実演等を情を知つて公   衆送信し、若しくは送信可能化する行為 5 著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著作者人格権を  侵害する行為とみなす。 (名誉回復等の措置) 第百十五条 著作者は、故意又は過失によりその著作者人格権を侵害した者に対し、損害の賠償に  代えて、又は損害の賠償とともに、著作者であることを確保し、又は訂正その他著作者の名誉若  しくは声望を回復するために適当な措置を請求することができる。 (著作者の死後における人格的利益の保護のための措置) 第百十六条 著作者の死後においては、その遺族(死亡した著作者の配偶者、子、父母、孫、祖父  母又は兄弟姉妹をいう。以下この条において同じ。)は、当該著作者について第六十条の規定に  違反する行為をする者又はするおそれがある者に対し第百十二条の請求を、故意又は過失により  著作者人格権を侵害する行為又は第六十条の規定に違反する行為をした者に対し前条の請求をす  ることができる。 2 前項の請求をすることができる遺族の順位は、同項に規定する順序とする。ただし、著作者が  遺言によりその順位を別に定めた場合は、その順序とする。 3 著作者は、遺言により、遺族に代えて第一項の請求をすることができる者を指定することがで  きる。この場合において、その指定を受けた者は、当該著作者の死亡の日の属する年の翌年から  起算して五十年を経過した後(その経過する時に遺族が存する場合にあつては、その存しなくな  つた後)においては、その請求をすることができない。 (無名又は変名の著作物に係る権利の保全) 第百十八条 無名又は変名の著作物の発行者は、その著作物の著作者又は著作権者のために、自己  の名をもつて、第百十二条、第百十五条若しくは第百十六条第一項の請求又はその著作物の著作  者人格権若しくは著作権の侵害に係る損害の賠償の請求若しくは不当利得の返還の請求を行なう  ことができる。ただし、著作者の変名がその者のものとして周知のものである場合及び第七十五  条第一項の実名の登録があつた場合は、この限りでない。 2 無名又は変名の著作物の複製物にその実名又は周知の変名が発行者名として通常の方法により  表示されている者は、その著作物の発行者と推定する。 第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処す  る。  一 著作者人格権、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第   一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実   演等の複製を行つた者又は第百十三条第三項の規定により著作者人格権、著作権若しくは著作   隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号   において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)  二 営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著   作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者 第百二十一条 著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示した著作物の複製物  (原著作物の著作者でない者の実名又は周知の変名を原著作物の著作者名として表示した二次的  著作物の複製物を含む。)を頒布した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。